富山地方鉄道の電鉄富山駅は、JR富山駅に隣接するビルの奥にあります。バブル期に完成した立派なターミナルで、現在は高架化工事中。
ホームには東急線で使われていた車両が2両編成で停車しています。富山地鉄本線の宇奈月温泉行きの列車です。電鉄富山駅を出ると、しばらくは富山市街地を走ります。
平日午後、高校生の下校には早い時間帯でしたが、中高年の地元住民で座席が埋まるくらいの混み具合でした。郊外へ出るにつれて、少しずつ降車があり、上市で方向転換すると、車内の客はまばらになりました。
滑川から魚津にかけては、あいの風とやま鉄道と並行して走ります。駅数は多く、小さな駅にも一つずつ停まりますが、乗降はあまりありません。この区間では、あい鉄が便利なのでしょう。
新魚津駅を過ぎるとあい鉄から離れ、新黒部駅では北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅と連絡します。さらに進んで、次第に車窓に山が迫ってくると、終点宇奈月温泉駅でした。
電鉄富山―宇奈月温泉間は53キロもあります。地方私鉄としては長距離路線ですが、近年は赤字が深刻となり、県や沿線自治体などが今後のあり方を協議してきました。
本線では、利用者の多い電鉄富山―上市間や、観光利用もある新魚津―宇奈月間は、早い段階で存続の方向性が固まりました。一方、あい鉄と並行する滑川―新魚津間は、旅客営業をやめる案や、全面的に廃止する案が検討されました。
ただ、途中区間を廃止すると不都合も多く、残った区間で経費が増える側面もあります。検討を重ねた結果、廃止をせず、全線を維持する方向でまとまりました。電鉄富山から宇奈月温泉まで、現在の形で残ることになります。
27年度からは、行政と富山地鉄が維持管理費を分担する「みなし上下分離」に移ります。維持管理費を鉄道会社と地元で分担する一方、鉄道事業を再構築する制度を活用し、車両や設備の更新も進めます。
地方鉄道の存廃を巡る議論が各地で浮上しています。その中で、富山県は鉄道維持に積極的で、今回も地元と鉄道会社が協力して存続を決断しました。
これから車両や設備が更新され、面目を一新するのでしょう。どんな姿になっていくのか、数年後、もう一度同じ列車に乗り、確かめてみたいと思います。
(旅行総合研究所タビリス代表)




