ブランド USA は10月1日、2027年に迎えるアメリカの鉄道開業200周年に向け、全米各地で楽しめる鉄道旅行や関連施設などの情報を集約した特設ウェブページを公式サイト上に開設した。大都市から国立公園、砂漠、山岳地帯、海岸線まで、鉄道で巡るアメリカの多彩な魅力を一覧できる構成となっている。ロッキー山脈を越える旅、ルート66に沿って進む旅、ヴィンテージ列車での旅、復元された鉄道車両での宿泊——200年の鉄道史を体感できるユニークな旅の楽しみ方が幅広く紹介されている。
ブランド USA のプレジデント兼最高経営責任者、フレッド・ディクソンは次のようにコメントした。「アメリカの旅の歴史は鉄道とともに始まり、200年を経た今も、鉄道旅行ならではのロマンは色褪せていない。鉄道200周年を迎える2027年は、旅のペースを少し落とし、車窓を眺めながら、一マイルごとに移り変わるアメリカならではの美しい風景を楽しむ絶好の機会だ。線路に導かれるままアメリカを旅するなら、2027年ほどふさわしい年はない」。
車窓から大陸の風景を眺める長距離列車の旅
広大な国土を持つアメリカでは、都市間の移動に時間がかかるからこそ、長距離列車ならではの旅の魅力がある。飛行機では山々や砂漠、森林の上空を通過するだけだが、列車であれば車窓の向こうで少しずつ移り変わる風景を眺めることができ、目的地だけでなく、そこへ向かう時間そのものを旅の楽しみにすることができる。
アメリカ西部を走る「キャニオン・スピリット」は、数日間にわたる鉄道旅行を提供している。景色を存分に楽しめるよう日中のみの運行とし、壮大な渓谷や山々、赤い岩が織りなす風景を眠っている間に通り過ぎることなく車窓から眺められるのが特徴だ。デンバーやソルトレイクシティなどの主要都市と国立公園をはじめとする自然豊かな地域をつなぐルートで、アメリカ西部の周遊旅行に組み込むこともできる。
アムトラックが運行する長距離路線も、アメリカ鉄道旅行の醍醐味として挙げられている。「カリフォルニア・ゼファー」はシカゴとサンフランシスコ・ベイエリアを結び、途中でロッキー山脈やシエラネバダ山脈沿いを走る。「コースト・スターライト」はシアトルとロサンゼルスを結び、太平洋岸北西部からカリフォルニアまでを走破する路線だ。さらに北を走る「エンパイア・ビルダー」は、シカゴと太平洋岸北西部を結び、グレーシャー国立公園に停車しながら平原や山岳地帯を走り抜け、アメリカの国土の雄大なスケールを体感できる。
新型車両と新サービスで変わるアメリカの鉄道
新型車両の導入や運行サービスの拡充によって、アメリカの鉄道旅行は旅先の選択肢だけでなく、旅のスタイルも変わりつつある。
太平洋岸北西部では、アムトラックがシアトルやポートランドなどの都市を結ぶ「アムトラック・カスケーズ」に新型車両「アイロ」を導入する予定だ。都市での滞在に森林や山々、ワイン産地、海岸への旅を組み合わせ、太平洋岸北西部を代表するさまざまな魅力を鉄道で巡る旅を楽しめる。
メキシコ湾岸では、新たな旅客鉄道サービスが沿岸の地域を再び結んでいる。アムトラックの「マルディグラ・サービス」はニューオーリンズとアラバマ州モービルを結ぶ路線だ。ニューオーリンズのジャズクラブやクレオール料理、ケイジャン料理、歴史ある街並みを楽しんだ後、鉄道で東へ向かい、途中に点在する小さな海辺の町に立ち寄りながら旅を続けることができる。
「マザー・ロード」を鉄道で辿る
2026年に開通100周年を迎えた「ルート66」は、アメリカの旅を象徴する存在として広く知られている。シカゴとロサンゼルスを結ぶこの伝説的なハイウェイは、小さな町や砂漠の風景、アメリカらしいロードサイドの景観を巡るロードトリップとして、世代を超えて多くの旅行者を魅了してきた。
鉄道を利用すれば、歴史あるルート66の一部に沿って旅をしながら、アメリカを代表するロードトリップを異なる視点から楽しむことができる。シカゴからアムトラックの「サウスウェスト・チーフ」に乗れば、マザー・ロード沿いの町を巡りながら西へ進み、南西部の砂漠や森林、都市の風景を楽しむことができる。
ニューメキシコ州アルバカーキでは、南西部ならではの建築や食文化、地域文化に触れられる。その後はアリゾナ州へと進み、フラッグスタッフがグランドキャニオンへの玄関口となる。旅は最終的にロサンゼルスへと続く。この鉄道旅行はルート66のルートをそのままたどるものではないが、ルート66沿線を鉄道で巡ることで、アメリカを象徴するロードトリップとはひと味違った旅を体験できる。一度の旅で、それぞれに異なる魅力を持つ複数の地域を訪れることができるのも特徴だ。
復元された列車でアメリカの鉄道史を体感する
アメリカには、鉄道の歴史そのものが旅の魅力となっている路線が数多くある。全米各地では往年の機関車や路線、駅舎を保存しながら現在も列車が運行されており、昔から変わらない面影を残す風景の中を旅することができる。
コロラド州をはじめとするマウンテン・ウエスト地域では、歴史ある列車が険しい山岳地帯を走り抜け、かつて鉄道が重要な役割を果たした鉱山地域を巡る。「デュランゴ&シルバートン・ナローゲージ鉄道」はコロラド州の歴史ある2つの街を結び、サンファン山脈沿いを走る路線だ。「カンブレス&トルテック・シーニック鉄道」はコロラド州とニューメキシコ州の州境を越え、人里離れた高地の雄大な風景の中を運行する。同鉄道では、沿線の地質について学べる蒸気機関車の旅をはじめ、ライブ音楽やディナー、ビールのテイスティングを楽しめる特別運行も行っている。
ペンシルベニア州の「ストラスバーグ鉄道」はアメリカで最も古い鉄道地域のひとつを走る路線だ。ウェストバージニア州の「キャス・シーニック鉄道」は、かつて林業に使われていた線路を利用し、アパラチア山脈へと向かうルートを運行している。ニューヨーク州フィンガー・レイクス地域の「フィンガー・レイクス・レイル・エクスペリエンス」では、観光列車をはじめ、サンセットや紅葉、ホリデーシーズンをテーマにした列車を年間を通じて運行。歴史ある列車に乗るだけでなく、歴史ある街やのどかな田園風景など、通常の旅行では見過ごしがちな地域にも足を延ばせる点が魅力だ。
駅舎・博物館でアメリカ鉄道200年の歴史を知る
鉄道がアメリカの発展にどれほど大きな役割を果たしてきたかを知るには、列車を降りて、その歴史を今に伝える博物館やかつての鉄道施設を訪ねるのもひとつの楽しみ方だ。
鉄道200周年を迎える2027年には、アメリカの鉄道史の礎を築いたボルチモア・アンド・オハイオ鉄道ゆかりの地、メリーランド州ボルチモアが鉄道の歴史を巡る旅の出発点のひとつとなる。「ナショナル・ミュージアム・オブ・レイルロード・ヒストリー&イノベーション」(旧B&O鉄道博物館)では、アメリカ有数の鉄道関連資料や歴史的な鉄道車両を収蔵している。2027年には鉄道200周年を記念した展示やプログラムが予定されており、1月には新施設「イノベーション・ホール」もオープンする予定だ。
ペンシルベニア州ストラスバーグの「レイルロード・ミュージアム・オブ・ペンシルベニア」では、2027年初頭にバリアフリー対応の新施設「ラウンドハウス」がオープンし、6両の歴史的な蒸気機関車を間近で見学できるようになる。
全米各地では、歴史ある駅舎が新たな観光スポットとして生まれ変わっている。「デンバー・ユニオン・ステーション」は現在も交通拠点として機能しながら、レストランやショップ、ホテルを備えており、駅舎内の「クロフォード・ホテル」にはヴィンテージの寝台車をイメージした客室もある。
ネブラスカ州オマハの「ダーラム博物館」は1931年に建てられたアールデコ様式のユニオン・ステーションを利用した歴史博物館だ。館内では復元された1940年代の旅客車両に乗り込んで見学できるほか、1931年当時の趣を残すカウンターでミルクシェイクを味わうことができる。
カンザスシティの「ユニオン・ステーション」やシンシナティの「ユニオン・ターミナル」では、美術展や映画上映、鉄道模型の展示、ヨガクラス、歴史講座、料理のデモンストレーションなどを開催。かつての壮大な鉄道駅が現在も街の中でさまざまな役割を担っている。「ロサンゼルス・ユニオン・ステーション」は南カリフォルニアを代表する歴史的建築のひとつで、駅舎のデザインや歴史、数多くのアート作品を紹介するツアーを開催している。
鉄道の歴史に包まれた宿泊施設
アメリカの鉄道の歴史を体感できるのは列車の旅だけではない。全米各地では、歴史ある鉄道施設やかつて使用されていた鉄道車両を活用したユニークな宿泊施設も登場している。
テネシー州チャタヌーガにある「ホテル・シャレー・アット・ザ・チューチュー」では、歴史ある鉄道施設内に復元された寝台車に宿泊できる。同ホテルはチャタヌーガの旧ターミナル・ステーション内にあり、現代的なホテルステイを楽しみながら、旅客鉄道と深く結びついてきた街の歴史に触れることができる。同じくチャタヌーガにある「テネシー・バレー鉄道博物館」では、鉄道旅行の歴史に触れながら、歴史ある車両や復元された列車によるさまざまな企画列車に実際に乗車できる。
かつての鉄道駅を再生し、大手ホテルチェーンが運営する現代的なホテルとして生まれ変わった施設もある。ソルトレイクシティの旧ユニオン・パシフィック・デポは「アッシャー・アダムス」として再生され、歴史を感じられる13室のスイートを備えている。ミネアポリスの「ルネッサンス・ミネアポリス・ホテル・ザ・デポ」では、建物の外観をはじめ、イベントスペースやバー、レストランなどに歴史的な建築の面影を残している。マリオットをはじめとする大手ホテルチェーンがこうした再生施設を運営している。
アイダホ州ディアリーにある「アイダホ・トレイン・ステイズ」では、復元された1909年製の鉄道車両や車掌車、客車を利用した客室に宿泊できる。アイダホ州北部の自然に囲まれながら、鉄道へのノスタルジーに浸るとともに、普段の旅行ではなかなか訪れる機会のないアメリカ西部の魅力に触れることができる。
ニューメキシコ州マドリードにある「アンティグア・イン」では、復元された車掌車をパティオやアメリカ南西部の伝統的な暖炉を備えた居心地のよい客室として利用できる。近郊のラミーにある「ザ・ハミルトン」では、歴史あるラミー駅のそばに停車する復元された1920年代の鉄道車両に宿泊できる。ラミーやサンタフェからは、1880年にさかのぼる歴史を持つ「スカイ・レイルウェイ」に乗車することができ、同鉄道の再生・復元には、テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作小説の著者、ジョージ・R・R・マーティンも携わっている。「イマジネイティブ・アドベンチャー・トレイン(趣向を凝らした体験型列車)」と呼ばれる企画列車では、星空観賞やマーダーミステリー、ジャズの生演奏、マルガリータのテイスティングなど、多彩なテーマの鉄道体験を楽しめる。
ネブラスカ州オマハ近郊の「トゥー・リバーズ州立レクリエーション・エリア」では、比較的暖かい時期にかつてユニオン・パシフィック鉄道で使用されていた10両の車掌車を復元した宿泊施設に泊まることができる。各車両にはフルキッチンが備わるほか、焚き火も楽しめる。
全米各地で鉄道200周年を祝う記念イベント
2027年には、通常運行の列車や常設の観光施設に加え、全米各地で鉄道200周年を記念したさまざまな特別企画が予定されている。全米各地の博物館や歴史ある駅舎、歴史を受け継ぐ鉄道、そして鉄道とともに発展してきた街では、特別展や記念列車の運行、周年記念イベントなどが催される。
メリーランド州では、州内各地の鉄道をテーマにした博物館や観光列車など、鉄道にまつわるさまざまな魅力を発信している。
新たな記念イベントが企画される一方、長年続く伝統的なイベントも開催される。サウスカロライナ州ブランチビルでは、1969年に始まった「レイルロード・デイズ・フェスティバル」が開催される。チャールストンから西へ約90分の場所に位置するブランチビルには、アメリカ最古の鉄道分岐点があり、「ブランチビル鉄道博物館」もある。
アメリカの鉄道の歴史が始まってから200年を経た今も、鉄道は単なる移動手段にとどまらない。2027年には、鉄道でアメリカの歴史や風景、さまざまな街を巡りながら、これまでとは異なる視点でアメリカの魅力を発見することができる。鉄道が3世紀目へと歩みを進める2027年には、鉄道だからこそ出会える新たなアメリカの旅が広がる。
アメリカで楽しむ鉄道旅行の計画や詳細情報は、「AmericaTheBeautiful.com」で確認できる。





