9月21日、千葉県内を襲った台風25号は、私の実家がある木更津にも大きな被害をもたらした。発生から5日後の26日に、私も木更津市と君津市を訪れたが、普段走り慣れている道路が土砂崩れで通行止めになり、各地で土砂の撤去作業が続いていた。見慣れた風景に残る爪痕を前に、被害の大きさを実感した。
中でも衝撃を受けたのが、JR内房線の長浦―姉ケ崎間で発生した土砂崩れだ。複数の箇所で線路が土砂に覆われ、復旧には少なくとも3カ月を要するとのことだ。私が生まれてから48年、これほど長期間にわたって内房線が使えなくなる事態は初めてである。通勤や通学はもちろん、観光への影響も避けられない。
その一方で、改めて存在の大きさを感じたのが東京湾アクアラインだ。川崎と木更津を約15キロで結び、1997年12月18日に開通した。木更津、君津、館山、鴨川方面と東京、神奈川方面を結ぶ高速バスが充実しており、鉄道が途切れた今回も、人々の生活を支える重要な足となっている。
高速バスは現在増便で対応しているものの、一部では満員で乗り切れないケースも出ているが、それでも、東京や神奈川方面への移動手段が確保されている意味は大きい。千葉市、船橋市、市川市、浦安市など県内の目的地へ向かう場合でも、アクアライン経由で移動する人もいるという。
アクアラインがなかったら、地域の交通はどれほど厳しい状況に置かれていただろうか。普段は観光やビジネスを支える交通網が、災害時には地域住民の暮らしを守る役割を担っている。改めて代替手段の重要性を感じた。
ただ、アクアラインだけでは解決できない課題もある。内房線の木更津駅―姉ケ崎駅間で予定されていた代行バスは、必要な車両を確保できず、運行開始が延期された(9月28日現在)。関係者が調整を重ねており、1日も早い代行バスの運転を開始してほしいが、鉄道沿線を移動する人にとっては切実な問題だ。
特に心配なのが、2学期が始まった高校生や、後期の授業が始まったばかりの大学生らの通学である。自分で車を運転できない人にとって、鉄道の長期運休は日常生活そのものを揺るがすことになる。通学時間の増加で部活動への影響も懸念されるなど、代行輸送を含め、地域内を移動する足をどう確保するかが大きな課題となる。
今回の被害は、地域を結ぶ交通手段を複数持つことの重要性を改めて示した。復旧作業や移動手段の確保に奔走する関係者には感謝しかない。これ以上被害が広がらず、一日も早く日常が戻ることを願いたい。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)




