にぎわう熊本県のブース
旅の総合イベント「ツーリズムEXPOジャパン(TEJ)2026」が、業界・プレス日、一般日を合わせ、9月24~27日の4日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。国内46都道府県、海外74カ国・地域から1420の企業・団体が参加。国・地域それぞれに受け継がれてきた文化や自然、食などの魅力を深掘りし、高付加価値化した新たな旅の提案が目立った。旅行・観光を通じて地域の持続可能な発展につなげたいとの期待が詰まった出展も多く見られた。
■新たな旅の切り口
従来の「特別コーナー」「特集エリア」が刷新され、テーマ別に出展者を募ったエリア「TEJコレクション~選べる旅、ひろがる世界~」が新設された。多様化する旅のニーズを踏まえ、「アドベンチャーツーリズム(AT)」「ガストロノミーツーリズム」などのテーマを設定し、さまざまな切り口から新たな旅の魅力を提案した。
テーマの一つ「AT」では、阿寒アドベンチャーツーリズム(北海道釧路市)が出展。体験型ナイトエンターテインメント「阿寒湖の森ナイトウォーク カムイルミナ」をはじめトレッキングやカヌー、サイクリングをPR。マリモの希少性を学ぶ造成中のプレミアムツアーも紹介した。
「AT」では、青森市が青森県内の今別町、外ヶ浜町、蓬田村と連携して出展。波が穏やかな陸奥湾でのカヤックやSAP、海岸線を走るサイクリングなどをPR。暮らしや食文化を合わせて体験できるATの適地として売り込んだ。
「ガストロノミーツーリズム」では、全国農協観光協会が出展。「東北・食と暮らしの旅」をテーマに、農泊や食文化体験など30種のプログラムを提案した。例えば、岩手県久慈市山形町に伝わる、クルミと黒砂糖を包んだ団子の郷土料理「まめぶ」の手作り体験、江戸末期に建てられた豪農の蔵に滞在する青森県黒石市の蔵泊などをPRした。
「コンテンツツーリズム」では、日本酒蔵ツーリズム推進協議会がブースを開設した。ブース内には、酒蔵滞在・酒づくり体験を提供するKURABITO STAY(長野県佐久市)をはじめ、日本地酒協同組合、佐々木酒造(京都市)、笹祝酒造(新潟市、新潟酒蔵ツーリズム推進協議会)が出展。92の蔵を有する新潟県。新潟酒蔵ツーリズム推進協議会は、イベントの開催時だけでなく、通年を通じて県内各地に誘客できるコンテンツとして酒蔵ツーリズムの魅力をPRした。

TEJコレクション」エリアで酒蔵ツーリズムをPR
■国内エリアに活気
国内旅行エリアは、地域特性に応じてブースのデザインや展示、イベントに工夫が凝らされた。
最も会場を盛り上げたブースを表彰する「ブースグランプリ」は、業界・プレス日、一般日いずれも福井県が受賞した。県のキャッチコピー「いいとこ、掘りだくさん。」をテーマに、まだ知られていない福井の魅力を掘り出す展示を展開。地層や恐竜化石の発掘現場をイメージした装飾に、福井で発見された新種恐竜のロボットを配置した。
福井県のブースは、発掘現場の調査資料をイメージした展示で、「年縞博物館」や「一乗谷朝倉氏遺跡」などの観光資源を来訪者の声も交えて紹介。土産品や伝統工芸品の展示や、昨年好評だった「油あげ」の試食・販売も行い、ブース内の商談会には、過去最多となる県内28事業者が参加した。
初出展となる地域も懸命にPRを展開した。新温泉町(兵庫県)は、東京から約2時間半でアクセスできることや、松葉ガニや但馬牛などの美食、約1200年の歴史を誇る湯村温泉を中心に、町の魅力を紹介した。優れた日本酒の醸造技術を持つ「但馬杜氏」にも焦点を当て、酒造りの文化をPR。酒造り文化に触れる機会として杉玉づくり体験も今秋、初開催する予定だ。
三重県松阪市、多気町、明和町、大台町の4市町も、「三重のまんなか」として共同で初出展。松阪牛をはじめ、明和のひじき、多気の伊勢イモ、奥伊勢ユズなどの名産品やグルメを中心に紹介し、「歴史、自然、食、体験が詰まった『三重のまんなか』にぜひお越しください」と呼び掛けた。

初出展の新温泉町(兵庫県)
■地震から復興へ
7月の熊本地震で被害を受けた熊本県のブースが多くの来場者でにぎわった。観光スポットや震災からの復興に関する情報を発信。東京・銀座のアンテナショップ「銀座熊本館」も出店し、県の特産品を販売した。
今回の地震による熊本県内施設の宿泊キャンセルは約19万人泊、被害額約27億円。「『今、この時期に観光に行ってもいいものか』と、心配する声を多くいただいた」と同県観光文化部観光振興課国内観光推進室の木村元洋主幹(DC推進担当)。
一方で、熊本県内の観光インフラは徐々に整ってきている。一時休園していた熊本城が8月13日に公開を再開。国宝の通潤橋も同日、放水を再開した。9月15日には、県内の宿泊や旅行代金が最大6割引になる「九州ふっこう応援割」が販売を開始。「かなりのインパクトがあり、『いつから販売するのか』『予約はどうすればよいのか』と、お尋ねの電話を多くいただいた」(木村主幹)。
熊本県のブースには「買って応援、食べて応援、旅して応援」と記したポスターを掲示。「この三つのワードをもとに、息の長い応援をお願いしたいと、県全体で取り組んでいる」(同)。

にぎわう熊本県のブース
■海外旅行の需要喚起
日本人の海外旅行は、コロナ禍前の状況にいまだ回復していないが、海外からは合計で597小間の出展があった。このうち韓国観光公社は60小間を使い、最大の出展規模となった。「今日行く?韓国!」をテーマに、気軽に旅行できる身近な外国を全面に押し出した。ソウルだけでなく、日本から直行便で行ける各地方都市の魅力や、グルメ、ショッピングなどの最新情報を展示した。
ハワイ州観光局は、キッチンコーナー「ハワイグルメエリア」の隣接地にブースを開設。ハワイグルメエリアでは人気のローカルフードが販売され、一般日には、昼食の時間帯以外にも長蛇の列が見られた。
コロナ禍前の2019年以来の出展となる国・地域もあった。トルコ観光広報・開発庁は、カッパドキアの魅力を紹介。ポルトガル政府観光局は、エッグタルトの伝統菓子「パステル・デ・ナタ」を用意し、現地の食や文化をPRした。
【TEJ取材班】

海外からの出展エリア




