跡見学園女子大学で教べんを取って丸10年となります。
「観光温泉学」と「観光取材学」を受け持っており、「観光取材学」の方は6年目となりました。毎年夏に、集中講義という授業スタイルで実施しています。
例年、「取材学」を履修したからといって就職先にマスコミを選ぶ学生はごくわずか。むしろ卒業論文の作成のために取材を学びたいという学生が多いです。
よって、基本的な取材のノウハウは教えますが、最も重要視するのは取材のための、人とのコミュニケーション術を身につけることです。その上で地域の魅力を発信する際の情報取集と情報精査について学ぶという構成の授業です。
本授業では実践的な話をしてくださるゲストスピーカーをお招きするのも特徴です。
マスコミ関係者からは、文藝春秋から発行されている女性のライフスタイルマガジン「CREA」の副編集長が、雑誌制作の中でのリアルな取材の風景をお話ししてくださいました。特に、取材前の下調べの大切さを説かれ、特集のテーマを決めた後、そのテーマを取り組むために「事前に50冊の書籍を購入する」といった発言には、学生も驚きを隠せませんでした。
取材対象者とは事前に提出していた質問項目以外に、雑談から面白い話を聞くことができる。取材で得たたくさんの情報から発信するべき情報を選ぶコツは、一歩引いてその情報の価値を精査すること。取材直後だと、取材対象者の熱量の影響もあって冷静に判断できない。そんな時は取材に同行していない上司や同僚に意見を求める。
また見出しの付け方やキャッチーな写真の選び方など、非常にプロフェッショナルな技を語ってくれました。
講談社で長く漫画や小説の編集をしてきた方からは、大ヒット作品の舞台裏としての取材を話してもらいました。フィクションでも取材をするのですね。そして、やはり雑談の大切さを説かれました。そして人の心に残るのはストーリー、キャラクター、世界観の「意外性」であること、人の心に届く伝え方のヒントも教えてくださいました。
こうした座学の後、新潟県に全面的にご協力頂きまして、「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」で「新潟を取材し、執筆する」というテーマで、学生たちに取材・フィールドワークをさせました。
新潟県の広報広聴課の方から新潟県に関する基礎的な知識をご講義いただき、新潟県側からも学生に取材をしてもらいました。
その取材項目は、新潟県の知名度に関すること、学生が使う情報ツールについて、学生の興味、生活する上での重視すること、居住や仕事先として地方(新潟県)と首都圏を選ぶメリットとデメリットなどでした。
といっても、実のところ、新潟県の方も学生も肩肘張った取材・ヒアリングより、ちょっとした雑談から本音を聞きだすことができている瞬間を私は目にしました。
観光産業においても、地域に入っていくためには取材スキルが必要です。
誰に、何を伝えるのかを常に念頭に置くことが大切です。
情報の集め方、収集した情報の精査など、伝えるプロの技を学ぶことも大切だと考えています。
観光地、温泉地、自治体の皆さん、「取材学」を取り入れてみませんか。ご興味あれば、ご一報ください。
(温泉エッセイスト)




