「IMMERSIVE JOURNEY」(イマーシブジャーニー)は、2024年12月に横浜で開館した国内最大級の大型XRエンタテインメント施設だ。26年1月には名古屋にも開館、12月に大阪、来年3月には広島での開館が予定されている。XRは、「VR(仮想現実)」「AR(拡張現実)」「MR(複合現実)」の総称で、来場者はヘッドマウントディスプレイを装着し、自分の足で歩き回りながら、異世界を旅するかのような没入体験を味わえる。口コミで人気が高まる中、企業・団体の利用も広がっている。

「イマーシブジャーニー 横浜」の館内
運営会社のCinemaLeap(シネマリープ、本社・東京都品川区、大橋哲也代表取締役)は、ストーリーを軸とした新しいXR体験を提供するクリエイティブカンパニー。XR映画のプロデュースのほか、さまざまなパートナーと共にXRを駆使したプロジェクトを手掛けている。
「イマーシブジャーニー 横浜」では現在、3作品が公開されている。
「Horizon of Khufu(ホライゾン・オブ・クフ)」は、古代エジプトを舞台にしたクフ王とピラミッドにまつわる作品。ピラミッドの頂上からカイロの景色を眺め、「太陽の船」でナイル川を航行、ピラミッド内を探検し、古代エジプト人の神聖な儀式を目の当たりにする。フランスの制作スタジオ、Excurio(エクスキュリオ)社が製作。臨場感あふれるVR体験に加え、ハーバード大学の教授による監修で、古代エジプトのガイドツアーに参加したような学びがある。日本語訳は日本エジプト考古学の第一人者、吉村作治氏が監修している。

「Horizon of Khufu」のイメージ
古代エジプトを舞台にした作品としては、「The Secret of the Pyramid Builders―ピラミッド建造者の秘密―」も公開されている。

「Tonight with the Impressionists Paris1874 -印象派画家と過ごす夜-」のイメージⒸExcurio – GEDEON Experiences – Museed′Orsay
1874年のパリが舞台の作品「Tonight with the Impressionists Paris 1874―印象派画家と過ごす夜―」は、約30人の画家が集まり、165点以上の作品を発表したという「第1回印象派展」の当時の会場に迷い込んだような体験が得られる。フランスのオルセー美術館とエクスキュリオ社などが共同制作。モネ、ルノワール、ドガ、モリゾ、セザンヌ、ピサロらの作品を解説付きで巡ることができる。
各作品は1人、または最大4人までのグループで同時に体験できる。体験時間は約45分。ヘッドマウントディスプレイの着脱や説明に別途15分程度かかる。音声は日本語、英語、フランス語、中国語、スペイン語に対応している。
体験料金(1人当たり、税込み)は、一般チケットが平日4千円、土日祝5千円、グループチケット(4人以上)は平日3800円、土日祝4500円。50人以上の団体は50~99人が平日3500円、土日祝4300円、100人以上が平日3300円、土日祝4200円となる。500人以上の団体にはさらに割引を適用する。
◆イマーシブジャーニー 横浜
神奈川県横浜市西区高島2-14-9 アソビル3F
◆イマーシブジャーニー 大阪 【2026年12月開業予定】
◆イマーシブジャーニー 名古屋
愛知県名古屋市中区栄3-4-5 スカイル10F
◆イマーシブジャーニー 広島 【2027年春開業予定】
広島県広島市中区基町6―78 パセーラ8F

ロゴ
運営会社トップに魅力、事業展開を聞く
運営会社のCinemaLeap代表取締役の大橋哲也氏に魅力、事業展開を聞いた。
――「イマーシブジャーニー」の特徴、魅力についてお聞かせください。
当施設は、最大4人までのグループで同時に体験でき、広い空間を自由自在に歩き回りながら、時空を超えてその世界を本当に旅しているような没入感を体験できるところが最大の特徴だ。作品は、質の高いXRエンターテインメントを体験できるだけでなく、知的欲求を満たす内容で、専門家の監修のもと、歴史、芸術など題材に関する描写、解説の正確性にこだわったコンテンツとなっている。
――来館者数の推移、傾向は。
2024年12月に横浜の施設が開業し、2026年1月に名古屋でもオープンした。口コミで評判が広がり、横浜、名古屋を合わせた累計の来館者数は30万人を超えている。現状では、来館者の中心は40代から60代までの女性。美術館や博物館に足を運び、海外旅行に出掛けるような知的好奇心の旺盛な方が多い。VRが初めてという方が8割以上を占め、コンテンツのテーマに引かれて来場される方がほとんどだ。一方で週末などには、ファミリー層、若年層が増える。
――来館者の反応は。
例えば、古代エジプトを舞台にしたクフ王とピラミッドにまつわる作品「ホライゾン・オブ・クフ」では、「現実には訪れることができない場所を体感できた」「古代エジプトの光景に感動した」といった声が寄せられている。90代の方が「エジプト旅行はあきらめていたが、エジプトに行くことができた」と満足した様子で話されていた姿は特に印象に残っている。
また、グループで同時に体験できることから、体験後に「あの場面はこうだったね」などと体験を共有し、会話が弾んでいる様子がよく見られる。
――今後、訴求を強化したいターゲットは。
これまでは個人客が中心だったが、団体客の誘致を強化していきたいと考えている。具体的には、企業・団体の福利厚生イベント、社員研修、慰安旅行、懇親会、学校の教育旅行や校外学習などだ。レクリエーションと学びとを兼ねた目的で利用される企業・団体、学校が増え始めている。横浜の施設では1時間当たり最大80人が体験できるキャパシティがある。仮に数百人規模の団体でも、貸し切り対応も可能で、数時間あれば十分に対応できる。
――団体客の集客に関して旅行会社との連携は。
団体利用について旅行会社の担当者様から問い合わせをいただくケースが増えている。今後は当社から旅行会社に対するアプローチを強化したい。企業・団体の集客だけでなく、作品のテーマによっては、旅行との親和性もあると考えている。例えば、ピラミッドを訪れるエジプトツアーの前に、「ホライゾン・オブ・クフ」を体験してもらうような企画もあり得るのではないか。
――今後の「イマーシブジャーニー」の展開は。
横浜、名古屋に続き、12月に大阪、来年3月には広島での開業が予定されている。また、来年春には「浮世絵」をテーマにした初のオリジナル作品の公開を予定している。日本の伝統的な文化が題材なので、インバウンドの集客にもつなげていきたい。

大橋氏




