プロスポーツの観戦客を増やすには、施設の魅力とともにアクセスの良さが大事になってくる。私も野球やサッカーを観戦するのが好きだが、鉄道駅からバスに乗り換えず、歩いて行けるスタジアムの満足度が高い。地元のファンだけでなく、旅行や出張で訪れた人が予定に組み込みやすいかどうか。スポーツを観光につなげるうえでも大事である。
北海道北広島市の北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」は、現在JR北広島駅からバスに乗る必要があるが、線路近くにスタジアムがあることから新駅の建設が進められている。
先日、新駅の名称を「Fビレッジ」にすることが発表された。JR北海道は、従来の2028年夏ごろから前倒しし、同年3月の開業を目指していることも明らかになった。現在は北広島駅から球場まで徒歩20分以上かかるが、新駅からは約4分になり、観戦だけでなく、新千歳空港と札幌の移動途中に立ち寄る人を増やす効果も期待できる。
私は年に1~2回、清水エスパルスの本拠地「IAIスタジアム日本平」を訪れるが、JR清水駅からシャトルバスで約20分、バス停からも徒歩で5分以上かかる。乗車待ちの行列や観客席までの移動を考えると、時間に余裕が必要だ。熱心なサポーターなら足を運んでも、「一度見てみたい」というライト層には、このひと手間が壁になっていると観戦のたびに感じる。JR清水駅東口の製油所跡地を活用する新スタジアム構想が進んでおり、駅前で実現すれば、観戦のハードルを大きく下げられる。まだ着工もしていないが、今から新スタジアムが楽しみだ。
先日、阪神対巨人戦を観戦するため阪神甲子園球場を訪れ、駅近の便利さを改めて実感した。阪神電車の甲子園駅から徒歩約3分。駅を出れば球場がすぐ目の前にあり、特に帰りの所要時間が見通しやすいことは、観戦後に新幹線や飛行機で帰る人にとっても大きな安心材料になる。
私が目安としたいのは、駅から徒歩15分以内。15分程度歩く場合でも、徒歩を基本にシャトルバスを併用すれば、高齢者や子ども連れの選択肢も広がる。ZOZOマリンスタジアムや埼玉スタジアムなどが該当する。一方、駅からの移動をバスに頼り切ると、試合後に集中する観客の待ち時間が課題となる。数万人が集まる施設だからこそ、鉄道の輸送力と歩ける動線を一体で考えるべきで、それができないスタジアムはバスの待ち時間や導線を徹底してスムーズにすべきだろう。観戦前後の飲食や宿泊、街歩きを楽しめる環境まで整えてこそ、スタジアムが地域観光の拠点になるだろう。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)




