ANA、エアバスと次世代パイロット育成で提携 「今後20年で63万人超が必要」、ポルトガルで訓練開始へ


 全日本空輸株式会社(ANA)は2026年9月2日、次世代パイロットの育成に向けた包括的な飛行訓練契約をエアバスと締結したと発表した。

 訓練はポルトガルのポンテ・デ・ソルにあるセブンエア・アカデミーで実施される。操縦経験のない者がライセンス取得に必要なすべての訓練を受け、パイロットへと成長できるプログラムだ。19名の訓練生が2026年後半に訓練を開始する予定。

40年近い戦略的パートナーシップをさらに拡大

 今回の契約は、両社が40年近くにわたり築いてきた戦略的パートナーシップをさらに発展させるものだ。

 エアバスの訓練プログラムをANAの訓練生に提供するにあたり、対象となるのはANAグループの訓練生だけではない。パートナー・キャリアの訓練生も含まれる。

 訓練プログラムをエアバスのネットワークに組み込むことで、ANAの訓練生はエアバスの飛行訓練の概念、手法、および最新の学習ツールに基づいた統一カリキュラムを学ぶことになる。

「能力ベースの訓練・評価システム『CBTA』」を導入

 訓練の核心となるのが、エアバスが開発した「CBTA(Competency Based Training and Assessment)」と呼ばれる能力ベースの訓練・評価システムだ。

 ANAの土田岳史執行役員(フライトオペレーションセンター副センター長)は、今回のプログラム導入についてこう述べた。

 「エアバスが提供する最新のパイロット訓練プログラムを導入できることを大変嬉しく思います。このプログラムには安全に関する最新の知見が取り入れられており、エアバスが開発した能力ベースの訓練・評価システム『CBTA』という概念に基づいたものです。訓練生は複雑な運航環境に対応し、円滑にフライトを管理するために不可欠な能力を身につけることができます」

 CBTAとは、個々の能力(コンピテンシー)の習熟度に基づいて訓練・評価を行うシステムであり、従来の時間ベースの訓練とは一線を画す手法だ。複雑な運航環境への対応力を初期段階から体系的に育成することを目的としている。

エアバス側「初飛行から実際の飛行まで一貫した最高水準の訓練を保証」

 エアバス・トレーニング・サービスのオペレーション・ビジネスディベロプメント総括責任者、トーマス・アウディア氏はこう語った。

 「ANAは、安全性、信頼性、そして卓越した訓練への妥協なき姿勢で世界的に知られています。世界でもトップクラスの航空会社であるANAが、次世代パイロットの育成をエアバスに委ねてくださることを大変光栄に思います。ゼロから養成を行うエアバスの訓練プログラムは、初期段階でのコア・コンピテンシーの育成に重点を置いています。世界標準となるエアバスの訓練プログラムを活用することで、初飛行から実際の飛行にいたるまで、一貫した最高水準の訓練を保証します」

 エアバスが「ゼロから養成を行う訓練プログラム」と表現するように、今回の契約は操縦経験のない人材を一からパイロットへと育て上げるものだ。既存パイロットへの移行訓練などとは異なり、初期段階のコア・コンピテンシー育成に力点が置かれている点が特徴だ。

今後20年で新規パイロット63万3,000人が必要、アジア太平洋だけで10万4,000人

 今回の提携の背景には、世界規模での深刻なパイロット不足がある。

 エアバスが発表した最新の「グローバル・サービス予測」によると、今後20年間で63万3,000人の新規パイロットが必要とされる見通しだ。そのうち、アジア太平洋地域だけでも10万4,000人が必要になると予測されている。

 高度なスキルを持つ民間パイロットへの需要が世界的に高まる中、ANAとエアバスは今回の契約を通じ、日本の航空業界において質の高いパイロットを確保する取り組みを進めていく方針だ。

訓練の場はポルトガル・ポンテ・デ・ソルのセブンエア・アカデミー

 訓練が実施されるセブンエア・アカデミーは、ポルトガルのポンテ・デ・ソルに位置する。エアバスのネットワークに組み込まれた同アカデミーで、ANAの訓練生は統一されたカリキュラムのもと、エアバスの飛行訓練の概念や手法、最新の学習ツールを活用した教育を受ける。

 2026年後半に訓練を開始する予定の訓練生は19名。操縦経験がない状態からライセンス取得に至るまでのすべての訓練がここで行われる。

飛行訓練への取り組み、航空業界にとって「極めて重要」

 エアバスは今回の発表の中で、飛行訓練に関する取り組みは「世界の航空業界にとって極めて重要になっている」と位置づけた。

 同社が示す「グローバル・サービス予測」の数字が示すように、需要の拡大に対応できるパイロットを継続的に輩出する仕組みの構築は、業界全体の課題だ。ANAとエアバスの今回の提携は、その課題への具体的な対応の一つと言える。

 今回の契約の詳細および関連情報は、エアバスおよびANAの各公式チャンネルで随時案内されている。

 
 

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