総務省消防庁は9月3日、エアバスのヘリコプター「H160」を1機発注したと発表した。消防庁がH160を導入するのは初めて。機体は熊本県に配備され、消防庁が現在保有する5機のヘリコプターに追加される形となる。南海トラフ巨大地震などの大規模災害発生時における迅速な空中偵察やリアルタイムでの視認情報収集を主な任務とする。
衛星直結の「ヘリサット」で被災地をリアルタイム把握
今回配備されるH160の大きな特徴の一つが、先進的な衛星技術「ヘリサット」の搭載だ。
ヘリサットは、高解像度データを軌道上の衛星に直接送信する仕組みで、大規模災害時に損傷した地上インフラを使わずとも、被災地の状況をリアルタイムで指令所に提供できる。緊急対応時間帯における関係機関との円滑な連携を確保するための装備として位置付けられている。
さらに、H160向けに特別設計された雪上着陸装置も装備される。日本の厳しい冬の深雪での運用においても安全性と安定性を確保するためのもので、全国どこでも即応できる体制の構築を支える装備となる。
熊本とエアバスの数十年にわたる関係
熊本県とエアバスは数十年にわたる強固な関係を築いてきた。
2001年、熊本県は災害対策任務のための防災ヘリコプターとしてAS365N3を配備。2018年にはAS365N3+にアップグレードした経緯がある。今回の総務省消防庁のH160は、現在熊本県で運用されているAS365N3+と並行して同県に配備されることになる。
これにより、熊本県および九州全体の災害対応能力が強化されるとともに、航続距離、安全性、運用能力が大幅に向上するとしている。
「運用準備態勢を大幅に強化」 エアバス幹部がコメント
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン株式会社のジャン・リュック・アルフォンシ最高執行責任者兼社長は今回の発注について、次のようにコメントした。
「長年にわたるお客様である消防庁が、保有機材の拡充と重要任務のためにH160を選定されたことを非常に光栄に思います。この機体を導入することで、消防庁は運用準備態勢を大幅に強化し、即応時間を短縮できます」
同氏はさらに、「現在、多様な任務を遂行できるH160への関心が高まっており、この機体の運用が今後も拡大していくでしょう。人命救助という重要な任務において、消防庁の機体が常に完璧な性能を発揮できるよう、神戸の拠点施設を通じて全面的にサポートしていきます」と述べた。
H160の性能と機能
H160は、最も先進的な技術を搭載したヘリコプターとして、運用面で高度な安全性を実現するとともに、様々な用途に必要な航続距離と広々としたキャビンを備えている。
最新のアビオニクス「ヘリオニクス」を搭載し、操縦性や状況認識能力の向上、パイロットの作業負荷軽減を実現している点も特徴だ。低騒音、先進的なアビオニクス、優れた高高度操縦性能で高く評価されている機体でもある。
対応できる任務の幅も広く、治安任務、海上輸送、捜索救助、プライベートやビジネス輸送、救急医療など多岐にわたる。特に都道府県や政令指定都市等の関係機関において運用される機体として位置付けられている。
日本国内での運用実績と今後の展開
H160は日本国内ですでに4機が運航されており、重要な治安任務、報道取材、自治体の消防活動などに従事している。
世界的には、日本をはじめ、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、サウジアラビア、英国、米国、その他多くのヨーロッパ諸国で運用されている。
地域における緊急サービスの近代化が進む中、今後も配備数はさらに増加していく見通しだ。
今回の消防庁によるH160の採用は、日本全国における緊急対応能力と即応性、展開エリアの強化を図るもの。危機発生時の最前線での運用を想定して設計されたH160が、今後の国内災害対応の中核を担う機体の一つとして加わることになる。





