「おいしい」の先へ――JTBパブリッシング、地域課題を「食べる価値」に変える「ご当地グルメ3.0ラボ」を始動


 JTBパブリッシングは8月25日、同社が運営する「るるぶキッチン」で、自治体や観光関連事業者などを招き、「ご当地グルメ3.0ラボ」を開催した。

 地域の食を単に「売る」「PRする」だけにとどまらず、食品ロスや未利用・低利用魚、鳥獣被害、食文化の継承、担い手不足、多文化共生といった地域課題を「食べる価値」へと転換し、それが消費者に選ばれるかどうかを実際の店舗で検証する共創・実証の場として展開していく方針だ。

 

「ご当地グルメ3.0」とは何か

 

 「ご当地グルメ3.0」は、文教大学国際学部国際観光学科専任講師の青木洋高氏が提唱する考え方だ。

 これまでのご当地グルメは、地域の食を通じた認知向上や集客、地域振興などに大きな役割を果たしてきた。ご当地グルメ3.0では、そこに「地域課題解決」と「ウェルビーイング」という視点を加える。

 具体的には、地域が抱えるさまざまな課題を「食べる価値」へと転換。食を通じて地域の歴史・文化・人・生産者・風土、そして地域課題を知ることで、地域との新たな関係を生み出すことを目指す考え方だ。

 「食べて終わり」ではなく、地域の歴史・文化・風土・人の思いなどの物語とともに伝え、地域ブランドの向上や交流人口の創出、人々のウェルビーイングにつなげる——それが「ご当地グルメ3.0」の核心にある。

 

セミナーの内容と青木氏の発言

 当日は青木氏が「ご当地グルメ3.0で地域の未来を考える――『おいしい』の、その先へ――食を通じた地域課題の解決と、新しいフードツーリズム」をテーマにセミナーを実施した。フードツーリズムや「イミ消費」の広がりを踏まえながら、全国各地の事例とともに、ご当地グルメ3.0の考え方を紹介した。

 青木氏は次のように述べた。「ご当地グルメ3.0は、『おいしい』で終わるのではなく、食を入口に地域の課題や背景を知り、地域との新しい関係をつくっていく考え方です。地域課題を『食べる価値』に変え、消費者にも地域にもプラスになる仕組みを考えていきたい」。

 セミナーでは、「地域に良い食だからといって、本当に消費者から選ばれるのか」という研究上の問いも提示された。

日本ホテルの事例も共有

 セミナーではさらに、日本ホテル株式会社顧問/エグゼクティブアドバイザーの松田秀明氏から、「食品ロス削減に関する日本ホテルの取り組みについて」と題して、同社の取り組み事例が共有された。

第1回実証テーマは「地域課題解決型のご当地グルメは、消費者に選ばれるのか」

 今後、JTBパブリッシングと青木氏が連携し、「るるぶキッチン」を実証の場として、地域課題やその背景にあるストーリーを伝えることで、消費者のメニュー選択や地域への関心、訪問意向、応援意向などがどのように変化するかを検証していく。

 その第1回実証テーマが、「地域課題解決型のご当地グルメは、消費者に選ばれるのか」であることが発表された。

 「るるぶキッチン」をフィールドに、地域食材や地域課題をテーマとしたメニューの提供、店頭での情報発信、消費者アンケートなどを実施する。実証結果を分析し、地域課題と食を結びつけた新たな商品開発やプロモーション、フードツーリズムにつなげていく計画だ。

JTBパブリッシング・ソリューション事業本部部長のコメント

 JTBパブリッシングのソリューション事業本部部長・千田博之氏は、同社の取り組みについて次のように述べた。

 「私たちが提案したいのは、地域の魅力と課題を整理し、食を通じて地域課題を解決しながら、新たな観光需要と地域経済を生み出す仕組みです。その基盤となるのが、当社がこれまで蓄積してきた食・観光・地域に関する情報資産と、それぞれの地域が持つ独自の情報との組み合わせです」。

 「『るるぶ』が長年培ってきた編集力を生かし、その情報を旅行者が『行ってみたい』『食べてみたい』と感じるストーリーへ編集し、コンテキスト化を行います。このように情報資産を活用し冊子のみならずデジタルを活用して送客に結び付けられればと思います」とも語った。

 「食でつながる、人でつながる、情報でつながる、そして、地域がもっと輝いていく。その仕組みを、ぜひ皆様と一緒につくっていきたい」との言葉で締めくくった。

開催概要と対象

 「ご当地グルメ3.0ラボ」の対象は、自治体、DMO、観光協会、地域事業者。定員は20名(1団体3名まで)。参加費は1,000円(試食・意見交換費用含む)。会場は「るるぶキッチン」(新宿駅より徒歩3分、新宿三丁目駅より徒歩1分)。

 当日のプログラムは以下の通りだった。

  • オープニングセミナー「ご当地グルメ3.0で地域の未来を考える」(青木洋高氏、約40分)
  • 全国の実践事例の紹介(約20分)
  • るるぶキッチンインフォメーション・視察(約15分)
  • 試食・意見交換会(約85分)

 「ご当地グルメ3.0ラボ」は、地域の食を単なる観光資源としてではなく、地域課題の解決策として位置づけ、それが消費者の行動変容につながるかどうかを実際の店舗で検証するという、実証重視の取り組みだ。食品ロス、未利用・低利用魚、鳥獣被害、食文化の継承、担い手不足、多文化共生——地域が直面するこれらの課題を「おいしさ」という体験と結びつけ、消費者の意識と行動に変化をもたらす可能性を探る試みとして注目を集めている。

 
 

注目のコンテンツ

第39回「にっぽんの温泉100選」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2025年度「5つ星の宿」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第39回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング 」(2026年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト50を発表!

2025年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング」(2026年1月12日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒