Trip.comは8月20日、法人向け出張管理サービス「Trip.Biz」を通じて蓄積したグローバルのビジネストラベルデータと、世界の出張意思決定者1,700名(うち日本企業187名)を対象としたグローバル調査の結果を発表した。
世界では出張に個人の旅行を組み合わせる「ブレジャー(Bleisure)」が急拡大している一方、日本企業では出張全体を横断して把握できていないことによる「見えないコスト」が新たな課題として浮かび上がった。
金曜日のチェックイン26%増、出張後の個人旅行追加が急拡大
Trip.Bizのグローバルデータによると、世界の企業出張における金曜日のチェックイン数は前年比26%増加した。
出張直後(0〜1日)に個人的な予定を追加した予約は前年比30%増加。出張後7日以内に個人旅行を予約するケースも25%増加しており、仕事を目的とした出張をきっかけに滞在を延長する動きが顕著になっている。
出張後7日以内に個人的な滞在を追加した旅行者は、平均3.4泊を追加。さらに、出張直後に滞在を延長する旅行者の60%は、出張時と同じホテルにそのまま滞在していることも明らかになった。

シンガポールが企業ホテル予約数で世界1位、バクニンは341%増
都市別では、シンガポールが2026年の企業によるホテル予約数で世界1位となり、前年比30%増加した。
ソウルでは平日のホテル宿泊予約が前年比67%増加したほか、金曜日のチェックインも54%増加。ロンドンでも平日のホテル宿泊予約が42%、金曜日のチェックインが37%増加した。
Trip.Bizにおける2026年1月1日〜6月25日と前年同期のホテル予約データを基にした人気出張先トップ5は、シンガポール、バンコク、クアラルンプール、東京、バクニンの順となった。
東南アジアでは特にベトナムのバクニンが急成長しており、企業によるホテル予約数が前年比341%増加。7泊以上の滞在予約は818%、週末を含む予約は425%増加と、突出した伸びを示した。
日本企業の出張量は安定、課題は管理の「質」へ
グローバル調査に参加した日本企業の出張意思決定者187名の回答では、71.7%が2025年の出張量について「前年とほぼ同水準」と回答した。出張予算についても61.5%が「安定している」と答えており、出張需要は一定の安定局面にある。
トラベルマネジメント会社(TMC)とオンライン予約ツール(OBT)を併用している企業は58.8%に達しており、多くの企業ですでに何らかの出張管理基盤が整備されている状況だ。
しかし、課題は出張量の増減ではなく、管理の「質」にある。管理外予約、ポリシーの非遵守、請求差異、契約効果の未測定など、出張全体を横断して捉えきれていないことが問題として浮かび上がった。
管理外予約の最大理由は「希望する航空券・ホテルが見つからない」
日本企業における管理外予約の理由として、54.5%が「希望する航空券・ホテルが見つからない」と回答した。「価格が安いから」は12.7%、「インターフェースが使いにくい」は7.3%にとどまった。
承認済みの予約チャネルで必要な選択肢を確保できないことが、管理外予約につながっている可能性を示す結果だ。
契約効果を「測定できない」企業は16.0%——グローバル平均の3倍超
今回の調査で特に注目されるのが、航空券・ホテル契約の効果測定に関するデータだ。
日本企業の16.0%が、交渉済みの航空券・ホテル契約による効果を「測定できない」と回答した。グローバル平均の5.1%を大きく上回る数字であり、日本固有の課題として際立っている。
Trip.comは「これは出張管理部門だけの問題ではなく、財務部門にとってもコスト削減効果を予算や実績に反映しにくくなり、調達部門にとっては契約条件の有効性を検証しにくくなる。さらに経営層にとっても、出張施策の投資対効果を説明しにくくなるなど、経営全体に関わる課題につながる」としている。
出張全体の80%以上を可視化できている企業は10%のみ
航空券、ホテル、現地交通、変更・キャンセル、請求、精算などを含む出張全体の80%以上を管理できている企業は、わずか10%にとどまった。
日本企業の65.8%では予約金額と請求金額の差異が発生しており、承認済みプラットフォーム外の予約に関する照合作業に月6時間以上を費やしている企業も45.5%に達した。
Trip.comは「出張における『見えないコスト』は、交通費や宿泊費だけではない。確認、照合、修正などを担う社員の業務工数として企業に蓄積される」と指摘している。
AI活用の前提となる「出張データの統制」
Trip.comは今回の分析結果を踏まえ、「これからの出張管理に求められるのは、単なる予約のデジタル化ではなく、予約、変更、請求、精算、契約など、出張に関する情報を横断的に把握し、経営判断に活用できる状態までデータを統制することだ」としている。
AIを業務や経営判断に活用するうえでも、データが分断されていれば十分な分析や判断につなげることができないと同社は強調。「出張管理は、コスト管理、調達戦略、リスク管理、社員の安全管理、そしてAIを含むデータ活用を支える経営基盤として、その役割は今後さらに重要になる」との見解を示した。
同社は今後も、Trip.Bizを通じて企業の出張に関するデータとテクノロジーを活用し、企業のより効率的で戦略的な出張管理を支援していく方針だ。
【調査概要】
- 調査対象:世界の出張意思決定者1,700名(うち、日本企業の出張意思決定者187名)
- 調査テーマ:企業におけるビジネストラベル・出張管理の実態
- 分析データ:Trip.Bizが蓄積するグローバルのビジネストラベルデータおよび日本企業を対象とした独自調査





