アソビシステムとORIGINAL、資本業務提携を締結 「熱量を一過性で終わらせず受け止める基盤」共同構築へ


 アソビシステム株式会社とORIGINAL Inc.は8月4日、資本業務提携契約を締結した。

 日本のカルチャー・アート・観光・食文化を国際市場で継続的な事業へと成長させることを目的とした戦略的パートナーシップ。アソビシステムがORIGINALへ出資し、戦略的株主となる。

 両社は、海外展開と訪日の双方を受け止める共同基盤の構築を開始する。

同じ2007年創業の2社が手を組む

 アソビシステムは2007年6月、東京・渋谷区神宮前に設立。アーティスト・クリエイターのマネジメント、音楽フェスなどのイベントプロデュース、地域資源とエンターテインメントを掛け合わせた地方創生、IPを生かした店舗事業などを手がけるクリエイティブカンパニーだ。

 一方のORIGINAL Inc.は2007年7月、東京・渋谷区広尾に設立。世界350都市59カ国に展開するグローバルメディアブランド「Time Out」の日本版「タイムアウト東京」を2009年より運営している。17年に及ぶグローバルメディア運営で培った経験と知見、世界に広がる人と企業のネットワークを活用し、国際市場と日本市場をインとアウトの2つの方向で接続してきた。

 奇しくも同じ年に創業し、それぞれ異なるアプローチで日本と世界の架け橋を担ってきた2社が、今回初めて資本を含む提携関係を結んだ。

「足りないのは注目ではなく、受け止める仕組み」

 提携の背景には、日本のカルチャー・アート・観光・食文化への国際的な関心の高まりと、それを事業として持続させる基盤の不足がある。

 政府は、訪日市場について2030年に6,000万人・消費15兆円という目標を掲げている。さらに、日本発コンテンツの海外市場規模については2033年までに20兆円という官民目標を設定し、コンテンツおよび地域の海外展開を政策の重点に据えている。

 しかし、インバウンドでの日本体験や海外でのイベント・ツアーで生まれた熱量を現地で受け止め、継続的な事業に変える基盤は、業界全体においてまだ確立の途上にある、と両社は指摘する。

 ORIGINAL Inc.代表取締役で、タイムアウト東京代表でもある伏谷博之氏は次のように語った。

 「日本のカルチャーに世界から熱い視線が集まるいま、足りないのは注目ではなく、それを受け止め、継続的な事業に育てる仕組みです。奇遇にも同じ年に創業し、それぞれのやり方で日本と世界の架け橋を担ってきた2社が手を組み、世界の関心を受け止める共同基盤づくりに取り組めることを、心から楽しみにしています」

 さらに伏谷氏はこう続けた。

 「中川社長が熱い想いを仲間たちと自分たちのやり方で実現していく姿には、大きな共感があります。文化は、お決まりのビジネススキームではなく、文化的共鳴を軸とした長期のトライ&エラーの中で培われるもの。今回の提携でも、そこを大事にしていきます」

 アソビシステム株式会社代表取締役の中川悠介氏は次のように述べた。

 「アソビシステムは創業以来、原宿の街から、人と現場を軸に、日本のカルチャーを世界へ届ける挑戦を続けてきました。打席に立ち続けるなかで感じてきたのは、せっかく生まれた熱量を一過性で終わらせず、受け止めて育てていく基盤の必要性です」

 中川氏はORIGINALをこう評した。

 「同じ年に創業し、世界目線で日本の魅力を発信し続けてきたORIGINALと代表の伏谷さんは、その基盤を一緒に作っていく心強いパートナーです。新たな出会いや体験を生み出し、日本発のカルチャーが世界に広がり、続いていく道筋を、共に作っていきたいと思います」

提携の具体的な取り組み 3本柱

今回の提携で両社が実施する取り組みは、以下の3点だ。

(1)海外市場における事業基盤の共同構築

日本のカルチャー・アート・観光・食文化が生む集客力を、継続的な事業へと結ぶ基盤を、両社で企画・構築・運営する。ORIGINALは「Time Out」をはじめとする企業と人のグローバルネットワークと事業基盤の設計・運営力を、アソビシステムは企画・プロデュース力と海外市場開拓の経験を持ち寄る。まずは、訪日観光でも存在感を増す欧米豪を中心とした英語圏市場に取り組む。

(2)インバウンド・地域創生領域での協業

両社のブランドと知見、ネットワークを掛け合わせ、訪日体験と地域の国際化に共同で取り組む。

(3)共同投資スキームの検討

共同事業の拡大に向け、ファンドを含む新たな投資の仕組みづくりの検討を始める。

アソビシステムは本業務提携の長期的な推進を目的としてORIGINALへ出資し、戦略的株主となる。両社は事業パートナーとして、共に成長を目指す新規プロジェクトを検討・推進していく方針だ。

両社それぞれの強みと役割

今回の提携における両社の役割分担は明確だ。

 アソビシステムが担うのは、企画・プロデュース力と海外市場開拓の経験。創業以来、人と現場を軸に日本発のカルチャーを国内外へ発信してきた実績を持つ。国内外の企業やメディアとの連携を通じて、日本発カルチャーのグローバル展開を推進してきた。

 ORIGINALが担うのは、企業と人のグローバルネットワークおよび事業基盤の設計・運営力。「Time Out」の日本における17年の運営を通じて積み上げてきた知見が核となる。世界目線で東京と日本の魅力を掘り起こし、その文脈を再構築してきたメディア運営の経験が、共同基盤づくりに生かされる。

 両社が共通して強調するのは、「継続的な事業へと変える」という視点。一時的な盛り上がりではなく、文化への関心を長期的な事業として育てる仕組みを構築することが、今回の提携の核心にある。

長期視点の戦略的パートナーシップ

 今回の資本業務提携は、短期的な共同プロジェクトにとどまらない、長期ゴールを見据えた戦略的パートナーシップと位置付けられている。

 共同投資スキームの検討も予定に含まれており、ファンドを含む新たな投資の仕組みづくりへの着手も視野に入る。

 伏谷氏が「文化的共鳴を軸とした長期のトライ&エラーの中で培われるもの」と表現したように、両社は拙速な成果を求めるのではなく、時間をかけて文化と事業を育てる姿勢を共有している。

 
 

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