「外国人宿泊客75%目標」上野エリア8棟目、アパホテル〈京成上野駅前南〉が開業 台東区エリアに4,402室の巨大ネットワーク


アパグループ元谷一志CEO

 アパホテル株式会社は8月12日、東京・上野エリア8ホテル目となるアパホテル〈京成上野駅前南〉(東京都台東区上野2丁目6-11、全342室)を開業した。同ホテルは台東区エリアでの19棟目の出店。これにより、上野エリアのアパホテルは8ホテル・2,055室、台東区エリア全体では19ホテル・4,402室となった。

 開業に先立つ7月30日には、抽選で200室(最大400名)を無料招待する試泊会を実施。21,735件の応募があり、約109倍という高倍率を記録した。

成田直結・7駅12路線の交通利便性、インバウンド需要を狙う立地

 当ホテルの最寄り駅は東京メトロ銀座線「上野広小路」駅と都営大江戸線「上野御徒町」駅で、いずれも徒歩1分。JR山手線・京浜東北線「御徒町」駅徒歩4分、東京メトロ日比谷線「湯島」駅徒歩4分、同「仲御徒町」駅徒歩5分、京成線「京成上野」駅徒歩5分、JR各線・新幹線「上野」駅徒歩6分と、徒歩6分圏内に7駅12路線が利用可能な交通利便性を持つ。

 開業披露式典でアパグループ社長兼最高経営責任者(CEO)の元谷一志氏は、「成田空港から乗り換えなしでアクセスでき観光名所も数多くあることから、訪日外国人の宿泊需要獲得に期待している」と述べた。外国人宿泊客の割合の目標を75%に設定している点にも言及し、「非常に需要の高いエリア」と強調。台東区内でのドミナント出店の意義を改めて示した。

 「上野恩賜公園」や「アメヤ横丁」など人気の観光名所へのアクセスの良さも、ビジネスだけでなく国内レジャーやインバウンドなど幅広い宿泊需要を取り込む要素として打ち出している。

最上階に大浴殿・露天風呂「玄要の湯」、不忍池を望む展望テラス

 建物は鉄骨造・地上14階建て。敷地面積735.11㎡、延床面積5,737.16㎡。全342室は全室禁煙。

 最上階14階には、宿泊者無料の大浴殿・露天風呂「玄要の湯」を設置。同フロアの展望テラスからは不忍池を望むことができ、宿泊者に寛ぎと安らぎを提供する。14階にはコインランドリー2台、自動販売機(ソフトドリンク)、電子レンジ、製氷機を備えたベンダーコーナーも併設している。

 1階にはレストラン「酒場ハコザキ上野広小路店」とアメニティバー、自動販売機(ソフトドリンク)を設置。各階(1階除く)には宿泊者が自由に利用できるウォーターサーバーを配備している。

 朝食は1階レストランで7:00〜10:00(L.O.9:30)に提供。「海鮮・和食・洋食」3種から選べる構成で、料金は1人2,400円。

客室タイプと標準仕様

 客室タイプは以下の5種類。

  • スタンダードルーム(1名利用):123室、通常料金21,000円〜、幅1,400mmベッド1台
  • スタンダードルーム(2名利用):24室、通常料金32,000円〜、幅1,400mmベッド1台
  • コージールーム(1名利用):15室、通常料金22,000円〜、幅1,400mmベッド1台・ソファ付
  • コージールーム(2名利用):24室、通常料金32,000円〜、幅1,400mmベッド1台・ソファ付
  • デラックスツインルーム:4室、通常料金50,000円〜、幅1,200mmベッド2台

 客室標準仕様として、50型以上の大型液晶テレビ、テレビ画面に館内案内を集約表示する「アパデジタルインフォメーション(ADI)」、動画配信サービスをスマートフォンから2タッチでテレビに映す「キャスト機能」、BBC NEWS無料放映を備える。次世代Wi-Fi規格「Wi-Fi6」への無料接続も可能。

 枕元集中コントローラーに照明スイッチ類・おやすみスイッチ・空調リモコン・コンセント・USBポート(Type-A・C対応)・HDMI端子を集約。調光機能付きシーリングライト、アパホテルオリジナル枕「PRIDE FIT(プライドフィット)」「ADJUST FIT(アジャストフィット)」の2種類、寝具メーカー「西川」と共同開発したオリジナル羽毛ふとん「SOFT FIT(ソフトフィット)」、快眠性を追求したオリジナルベッド「Cloud fit Grand(クラウドフィット グラン)」も全室に導入。

 花粉・カビ菌・ウイルスなどの抑制効果があるパナソニック「高濃度のナノイーX」搭載エアコン、通常の浴槽より約20%節水可能な自社開発の卵型浴槽を採用したオリジナルユニットバス(一部客室除く)、ウルトラファインバブルシャワーヘッド「Bollina Wide Plus(ボリーナワイドプラス)」も標準装備。バイオマス原料や再生プラスチックを用いた環境配慮型の客室アメニティ(薄型ヘッド歯ブラシ・ひげ剃り・ヘアブラシ・シャワーキャップ・ボディタオル)、世界のプラグに対応するユニバーサルコンセントも採用している。

「1ホテル1イノベーション」——今回の2つの刷新

 アパホテルが各ホテル開業時に掲げる「1ホテル1イノベーション」として、今回は2点を打ち出した。

マッサージサービスのオンライン予約化。

 従来の電話予約に加え、ADIのマッサージサービスページ内の予約用二次元コードを読み込むことでオンライン予約が可能となった。混雑状況の可視化により、利便性を向上させる。なお、一部のマッサージサービス提携先限定の対応となる。

 元谷CEOは会見でこのイノベーションについて、「ADIという私どものテレビの中で、従来の電話予約に加えまして、2次元コードを読み込むことで予約をすることを可能とし、混雑状況だとかそういったものを可視化することによりまして、お客様にとっては利便性が増すような形」と説明した。

次世代型コイン式全自動洗濯機「完洗16(イチロク)」の導入による洗濯時間の短縮。

 コインランドリーに設置する洗濯機の洗剤仕様を改良し、洗浄力・安全性を維持しながら「すすぎ」回数を削減。洗濯時間を従来の約31分から約16分に短縮した。
 
 元谷CEOは「長期滞在される方が多いため、常にランドリーが混んでいるというご意見もあった。それをスピードアップするためのイノベーション」として採用の背景を語った。

訪日外国人向けの客室づくり

増加するインバウンド需要への対応として、全565種類のピクトグラムを使用した館内サイン・案内を採用。ISO規格・JIS規格のピクトグラムに加え、アパホテルが独自開発したオリジナルピクトグラムも使用している。

 BBC NEWSの主音声英語化、Wi-Fi6の無料接続、ユニバーサルコンセント、USB Type-A・C対応充電ポートも整備。5言語対応(日本語・英語・繁体字・簡体字・韓国語)の「アパデジタルインフォメーション(ADI)」はチェックイン機でパスポートを読み込むことで国籍を自動判別し、表示言語を自動切り替えする機能を搭載する。

 デジタル面では、「1秒チェックイン機」を導入。アプリチェックインまたは「当日オートチェックイン」を有効にした予約でチェックイン手続きを大幅に簡素化できる。ルームカードキーを投函するとリアルタイムでチェックアウト処理が行われるエクスプレスチェックアウトポスト(特許取得済)も設置。「1ステップ予約」「1秒チェックイン」「1秒チェックアウト」によるトリプル1システムで、「非接触」「待たない」「並ばない」を実現している。

インバウンドの国別動向と今後の戦略

 会見でインバウンド客の国別傾向を問われた元谷CEOは、「(アパホテルの場合)全国レベルでいうと国別では現在は米国がトップだが、上野エリアはアジア圏からのインバウンド宿泊客の比率が比較的高い。京成上野駅からもアクセスの良い成田空港にアジア系LCCが数多く就航していることも影響していると思われる」と述べた。

 今後の展開については、「ビッグデータの活用という点においてはまだまだ取り組みが弱いと感じている。DXの推進やAIの活用もさらに進め、国別の人数に応じたサービスを提供できるようになれば、もっと需要獲得の可能性がある」と語った。

 「1ホテル1イノベーション」の意義については、「リピーターのお客様に飽きをこなせないようなサービスで、進化するアパホテルを体感してもらい他のホテルとの差別化を感じてもらいたい」と強調。「行き過ぎた先進性はお客様にとってダメで、いわゆる開発者のエゴ。ちょうど良い先進性という名の下の半歩先を行くサービスを今後とも体感していただくことで満足度を追求したい」とも述べた。

上野エリアに8ホテル・2,055室、台東区エリア全体で4,402室

 今回の開業により、上野エリアのアパホテルの展開状況は以下の通りとなった。

  • アパホテル〈上野駅北〉:2016年1月27日開業、181室(最寄:JR「上野」駅徒歩4分)
  • アパホテル〈京成上野駅前〉:2016年3月1日開業、292室(最寄:京成本線「京成上野」駅徒歩1分)
  • アパホテル〈上野 稲荷町駅北〉:2019年4月19日開業、131室(最寄:東京メトロ銀座線「稲荷町」駅徒歩3分)
  • アパホテル〈上野広小路〉2020年7月14日開業、215室(最寄:東京メトロ銀座線「上野広小路」駅徒歩2分)
  • アパホテル〈上野駅前〉:2021年10月1日開業、421室・大浴場・露天風呂(最寄:東京メトロ日比谷線「上野」駅徒歩1分)
  • アパホテル〈上野駅南〉:2022年7月28日開業、128室(最寄:都営大江戸線「上野御徒町」駅徒歩2分)
  • アパホテル〈上野御徒町駅前南〉:2024年2月14日開業、182室(最寄:JR山手線・京浜東北線「御徒町」駅徒歩4分)
  • アパホテル〈京成上野駅前南〉:2026年8月12日開業、342室・大浴場・露天風呂(最寄:東京メトロ銀座線「上野広小路」駅徒歩1分)

 上野エリアの合計は8ホテル・2,055室。台東区エリア全体では19ホテル・4,402室に達した。

東京23区で104ホテル、全国1,207ホテルへ拡大

 東京23区でのアパホテルの展開状況を見ると、営業中・開業予定を含め104ホテル・24,390室(直営・FC)となっている(2026年8月12日現在)。2010年4月開始の「SUMMIT 5(頂上戦略)」以降だけで92ホテル・21,727室(直営)を展開。全国では1,207ホテル・153,380室(建築・設計中、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む)に及ぶ。

 アパグループとしては国内自社ブランド367ホテル・86,308室、海外56ホテル・5,719室を展開(建築・設計中含む)。2022年4月に始動した5カ年計画「AIM5〜APA Innovative Movement」の目標を前倒しで達成の目途が立ったことを受け、2026年4月に新中期5カ年計画「AIM5-II」を始動。2031年3月末までに国内自社ブランド単独10万室を目標とする。ホテル分野におけるプラットフォーム事業やマルチ・ブランド化、海外事業では北米事業の強化および次期戦略エリアの模索を推進する方針。

 元谷CEOは会見で「ネットワーク目標を15万室から18万5,000室に引き上げた。選択と集中をしっかり実行し、限られた資産の中でどのように集中エリアに出店できるかを考えながらやっていきたい」と述べた。また「今期は昨年の関西万博の影響で過去最高売上を3期連続更新したが、今年は増収減益となる見込み。減益幅をなるべく少なくする努力をしながら、新中期経営計画『AIM5-II』を前倒しで達成することで、新たな目標をしっかり立てられるようにしたい」と語った。

【kankokeizai.com 編集長 江口英一】

 
 

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