電通は8月13日、米国・カナダ・メキシコの3か国共催で史上最大規模となった「FIFAワールドカップ2026」の日本代表戦4試合を対象に、生活者の視聴実態を統合的に分析した結果を発表した。「一人静かな朝の熱狂」から「深夜のリカバリー観戦」まで——多様なキックオフ時間のなかで、生活者が観戦を日常生活に組み込んでいた実態が浮かび上がった。
電通(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:松本 千里)が今回公表した分析は、独自に実施した約1万人規模のアスキング調査に加え、スマートフォンの利用状況、購買データ、テレビ視聴データなどを組み合わせた統合分析だ。同社は今大会においても国内放送権を取得しており、「サッカーの熱狂と感動を日本全体で共有することを目指して」(電通)、生活者が自身に合ったスタイルで試合を楽しめる視聴環境の実現に取り組んできたとしている。
テレビ・配信・自宅外——広がる観戦機会
リアルタイムのテレビ視聴者数(到達人数)について、ビデオリサーチ社の推計では4試合合計で6849.3万人にのぼった。
配信サービスでも視聴者数は大きく拡大した。DAZN社が発表した同大会における日本代表戦のDAZN視聴者数は約1100万人に達している。
さらに電通の独自アスキング調査によると、バーなどの飲食店、パブリックビューイング、友人・知人宅、職場といった「自宅外」での観戦者が約370.9万人と推計される。テレビ、配信、そして自宅外という3つの観戦チャネルが並立し、観戦スタイルの多様化が鮮明になった格好だ。
キックオフ時間で変わる「4つの観戦スタイル」
今大会の日本代表戦は、深夜・早朝から休日の昼間、通勤時間帯まで、試合ごとにキックオフ時間が大きく異なった。分析の結果、電通は生活者の観戦行動を4つのパターンに類型化している。
電通は分析のなかで、生活者が「単に時間を合わせるだけでなく、観戦に伴う食や移動、働き方を自らデザインしていた」と指摘する。深夜・早朝帯の試合では、就寝前後に試合を確認する「リカバリー観戦」や、静かな自宅でひとり画面に向き合う「朝の熱狂」ともいうべきスタイルが確認された。休日昼間の試合では家族や友人と集まっての観戦、通勤時間帯の試合ではモバイル端末を活用したながら視聴なども見られたとされる。それぞれの試合において、象徴的な購買行動や移動データの変化が確認されており、観戦の前後で食料品や飲料の購買が変動するなど、生活全体への波及効果も分析された。
4つのパターンはいずれも、視聴方法(テレビ・配信・自宅外)や食事のタイミング、翌日の起床・就業スケジュールとの兼ね合いを生活者が個別に調整しながら、観戦を自らの生活に組み込んでいる点が共通している。電通はこの実態を「観戦・生活時間設計」と表現している。
大会概要と電通の役割
FIFAワールドカップ2026は米国、カナダ、メキシコの3か国が共催し、参加チームは過去最多の48チームとなった史上最大規模の大会だ。開催地と日本との間には大きな時差があるため、日本の生活者にとってリアルタイム視聴には時間的なハードルが伴う大会でもあった。
電通は今大会でも国内放送権を取得。時差の大きい環境下でも、生活者が「自身に合ったスタイルで試合を楽しめる視聴環境の実現に取り組んできた」としており、今回の統合分析はその取り組みを裏付ける生活者行動データの集積として位置づけられる。
今回の分析対象は日本代表戦の4試合で、アスキング調査(約1万人規模)を軸に、スマートフォン利用データ、購買データ、テレビ視聴データを横断的に組み合わせた点が特徴だ。単一データでは見えにくい「観戦が生活行動全体に与える影響」を複数のデータソースで検証する手法を採用している。




