徳島港と和歌山港を結ぶ航路が南海フェリーです。和歌山港で南海電鉄と接続し、四国と大阪を連絡するルートを構成しています。
7月上旬の平日午後に乗船してみました。徳島駅から市バスに乗車し、20分ほどでフェリー乗り場に到着。ターミナルはこぢんまりとしていて、出札階から階段を上がると、すぐに乗り場でした。
乗船したのは、「フェリーあい」という2019年に就航した新造船です。待つほどもなく出港。左手遠くに鳴門大橋がかすみ、手前には渦潮とおぼしき白波も見て取れます。やがて淡路島の南に浮かぶ沼島に近づき、右手で僚船の「フェリーかつらぎ」とすれ違い。
紀淡海峡の南にさしかかると、横揺れが少し強くなりました。友が島を眺めているうちに、和歌山の製鉄所がみるみる近づき、反対側の港に接岸します。所要時間は2時間15分ですが、地図と照らし合わせながら景色を眺めていると、あっという間でした。
和歌山港では、南海和歌山港駅まで、150メートルほどの連絡橋を渡ります。フェリーの到着後、約10分で列車が出発するダイヤになっていて、慌ただしいですが、接続は良好です。5分ほどで和歌山市駅に到着し、難波行きの特急に連絡します。
徳島から和歌山へ、船と列車を組み合わせた乗り継ぎルートは、旅行者には面白いです。しかし、実際に乗り継いだ旅客は10人程度でした。車両利用も含めた乗船客の総数も、ざっと30人あまり。旅客定員は400人以上の船なので、乗船率は1割にも満たないわけです。平日日中とはいえ、寂しい数字です。
この航路について、親会社の南海電鉄は、2028年3月をメドに、運営から撤退すると発表しました。理由として燃油費高騰や利用者減少などを挙げています。実際に乗船した印象でも、この利用者数では厳しそう。後継事業者も決まっておらず、廃止される可能性が高まっています。
起死回生の手段があるとすれば、第三セクターで存続し、和歌山県と徳島県が協力してインバウンドを誘致することでしょうか。たとえば熊野古道と四国お遍路をつなぐルートとして観光開発ができないか、などと考えてしまいます。
フェリーがなくなれば、和歌山港駅の利用者も激減し、鉄道を維持する意味もなくなるでしょう。となると、南海和歌山市―和歌山港間の存廃問題も浮上しそうで、気がかりです。
(旅行総合研究所タビリス代表)




