2025年は大阪・関西万博が国内外から多くの来場者を迎え、日本観光の魅力を発信した1年となった。2026年は、その効果を一過性に終わらせることなく、持続的な観光需要へ結び付けられるかが問われる年である。最新の統計からは、日本の観光市場が新たな局面を迎えていることが読み取れる。
観光庁の「インバウンド消費動向調査」によると、2026年4~6月期の訪日外国人旅行消費額は2兆5096億円と前年同期比0.2%増で、ほぼ前年並みを維持した。
一方、国・地域別では、米国が3848億円(構成比15.3%)で初めて首位となり、台湾が3639億円、韓国が2589億円と続いた。中国は2592億円だったものの、前年同期比48.8%減となり、訪日市場は特定の国への依存から、多様な市場に支えられる構造へ変化しつつある。
旅行者1人当たりの旅行支出を見ると、全体平均は24万4千円だったのに対し、メキシコは51万5千円、中東は48万3千円、英国は45万6千円と大きく上回った。
また、これらの市場の平均宿泊日数は12~14泊前後で、全体平均の8.7泊より長い。
今後は訪日客数だけでなく、1人当たり旅行支出や滞在日数といった指標も、観光政策を評価する上で重要性を増していくだろう。
一方、国内旅行市場では、JTBの2026年旅行動向見通しによると、旅行者数は3億700万人と前年比2.2%減少する一方、1人当たり旅行費用は5万2900円と同2.9%増加すると予測されている。国内旅行消費額は16兆2300億円と同0.6%増が見込まれており、旅行人数の増加ではなく旅行単価によって市場規模を維持する構造となっている。
都市部と地方の構造にも違いがみられる。訪日外国人宿泊者は依然として三大都市圏に集中しており、地方では国内旅行需要への依存度が高い。
高い旅行支出と長い滞在日数を特徴とする市場が拡大する中、地方へ誘客し、地域での滞在や消費につなげられるかが今後の重要な課題となる。
万博後の2026年は、旅行者数だけを追う時代から、旅行消費額や滞在価値、地域経済への波及効果を重視する観光へ転換できるかが問われる1年となる。その成否が、日本観光の次の成長を左右するといえる。
(株式会社プライムコンセプト・小林義道)




