株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)は2026年7月24日、第4回「サステナビリティ経営課題実態調査2026」の調査を開始した。調査期間は2026年9月5日まで。全国の主要企業のサステナビリティ担当責任者を対象に、ウェブアンケート形式で実施する。

4社合同、2022年から継続する第4回目の実施
本調査は、日本能率協会ホールディングスグループ4社、すなわち株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)、株式会社日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)、株式会社日本能率協会総合研究所(JMAR)、株式会社ジェーエムエーシステムズ(JMAS)が合同で実施するもの。
2022年の第1回調査を皮切りに、今回で4回目となる。
調査の目的は「日本企業がサステナビリティ経営を推進するにあたっての重要な経営課題を明らかにするとともに、サステナビリティ戦略や施策決定へ役立てること」だ。
調査対象は国内事業会社。会社規模、業種業態等は不問で、サステナビリティ経営推進をミッションとしている部門(サステナブル推進部門、経営企画室、人事、広報など)の担当者に参加を呼びかけている。
回答サイトは「https://jp.research.net/r/sus-2026」で、回答締切は2026年9月5日(土)。
停滞感広がる日本企業の現状が浮き彫りに
過去3回の調査を通じて見えてきたのは、多くの企業が「現場への浸透や企業文化の醸成、サステナビリティ事業への投資、外部連携などに苦慮しており、停滞感が広がっている」という実態だ。
第4回調査では、こうした現状を踏まえ、日本企業が経済的価値と社会的価値の「一挙両立」を実現し、経済と社会の両方でのプレゼンスを高めることを目指して、以下のテーマに焦点を当てる。
- 現場への浸透
- 内外との連携
- 財務価値と非財務価値の統合
- DXを活用したサステナビリティ経営
JMACは「経営者の思いを浸透させ、社内外との連携を強化することで、経済的価値と社会的価値の『一挙両立』を実現する新規事業やビジネスを創出し、永続的な発展を目指す」と調査の狙いを説明している。


第3回調査で明らかになったこと
第4回調査の背景を理解するうえで、第3回「サステナビリティ経営課題実態調査2025」の結果が重要な参照点となる。
第3回調査の概要は以下の通り。
- 調査目的:日本企業がサステナビリティ経営を推進するにあたっての重要な経営課題の明確化とサステナビリティ戦略・施策決定への活用
- 調査方法:WEBアンケート調査
- 調査時期:2026年7月9日〜9月30日
- 有効回答数:115社
- 回答企業:製造業64社/非製造業49社(その他2社)、上場企業67社/非上場企業48社
- 回答者の属性:部長級以上(役員含む)57名、課長級31名、非管理職27名
「企業文化変革」が経営の鍵 PBR高い企業に共通点
第3回調査の分析から導き出された最大の提言が「サステナビリティ経営は『企業文化変革』のステージへ」というものだ。
第3回調査において将来性のある企業(PBRが高い企業)を分析すると、「仕組みを導入するだけでなく、企業文化を変革してサステナビリティを事業成長の駆動力に変えている」ことが確認された、とJMAホールディングスグループは説明している。
つまり、制度対応や情報開示はあくまで「前提」であり、それ自体では競争優位を生み出さない時代を迎えているという認識だ。
同グループは「サステナビリティ経営の実現のためには必要な仕組み面の取り組みにとどまらず、企業文化が変革されて定着化することを狙うステージに昇華されていることが確認できた」と述べている。
また、こうした企業では「従業員一人ひとりが『自社や事業への誇り』を持つ割合が高くなっており、定着化の一端がうかがえる」とも指摘している。
企業文化変革のための3つの視点
第3回調査の提言として、企業文化変革のための3つの視点が示された。
- 変革の「Why(なぜ)」の浸透と自分事化
- 人的資本の最大化
- 継続的な「挑戦」の奨励
より詳しく言えば、サステナビリティ経営を能動的・主体的にとらえた戦略・仕組みづくりを前提として、①変革の「WHY(なぜ)」(理念・パーパス)の明確化と浸透によって従業員の動機付け・方向付けを行い、②人的資本の最大化のための働きがい向上やDE&Iを推進し、③継続的な「挑戦」の奨励によって革新・変革行動を促進することが重要、とJMAHDグループは説明している。
この枠組みの背景にある考え方として、同グループは「企業文化変革によって非財務的価値を向上することが、財務的価値の追求レベル向上にもつながり、結果として企業価値の最大化を実現する」と述べている。さらに「自社・事業に誇りを持てる従業員が増えることで働きがいが向上し、そのことが企業活動のレベルアップを実現するという好循環サイクルにつながる」とも指摘している。
過去3回の調査が導いた「4つのコンセプトと10の特徴」
過去3回の調査を経て、JMAHDグループの調査チームは、サステナビリティ経営推進の取り組みが進んでいると思われる企業に共通するポイントとして「4つのコンセプトと10の取り組み」を整理・提言している。
それぞれのコンセプトと特徴は以下の通り。
コンセプト① 社員の参画機会の創出と当事者意識の醸成
- 社会から求められる情報の開示
- 経営層の当事者意識と思いの浸透
- 外部の目、モニタリングを意識したガバナンス強化
コンセプト② 自社らしさの追求
- 企業理念・パーパス・ビジョンの再構築による「自社らしさ」の表出と追求
- 事業の将来の機会とリスク検討のための未来予測情報収集
- グループ企業を巻き込んだビジョン・戦略策定
コンセプト③ 現場実態に根差した”一挙両立”テーマの設定
- サステナビリティ関連事業への積極投資と、多様なパートナーとのオープンなイノベーションへの取り組み
- 具体的な指標設定・管理と費用対効果の試算
- サステナビリティ人材確保と関連事業への社員参画
コンセプト④ 外部との積極的な連携と人材育成を可能にする企業文化づくり
- 自社への誇りと明確な将来展望に共感する社員
サステナビリティ経営の原点と現在地
サステナビリティの概念が誕生したのは1987年のブルントラント報告書で「持続可能な開発」という言葉が提唱されたことがきっかけとされる。
その後、CSR、ESG投資、SDGsなどの提唱を経て、2023年3月期決算から有価証券報告書でのサステナビリティ情報の開示が義務化された。
こうした潮流・社会的要請に対し、対応を「やらざるを得ない」受動的なものと捉え追われる企業と、企業変革の好機(奇貨)と捉え主体的に課題設定に取り組んだ企業との間で、差が開きつつある、とJMAHDグループは分析している。
「主体的な取り組みでサステナビリティ経営を深化させることによって、社会課題に適合した新たな事業成長を実現し、期待される企業としての地位を確立・向上することができる」というのが同グループの見解だ。
調査への参加方法と問い合わせ先
第4回「サステナビリティ経営課題実態調査2026」への参加方法は、以下の通り。
- 回答サイト:https://jp.research.net/r/sus-2026
- 回答締切:2026年9月5日(土)




