国際両備フェリー株式会社は6月9日、新岡山港(岡山県)と土庄港(香川県小豆島)を結ぶフェリー「おりんぴあどりーむせと」において、システムエンジニアが乗船しない体制での自動運航システムの運用を開始した。
2025年12月に世界初となる自動運転レベル4相当での商用運航に向けた国の認証を取得してから約半年。自動運航技術は、特別な実証・認証の段階から、現場の船員が主体となって日常の運航の中で使いこなしていく、本格的な実用段階へと進んだ。
世界初の認証から約半年、「エンジニア乗船なし」へ
国際両備フェリーは、日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」に参画し、岡山と小豆島を結ぶ定期旅客航路「おりんぴあどりーむせと」で、自動運航技術の社会実装に取り組んできた。
同船では、自動で航路を進む基本機能にとどまらず、周辺船舶などを確認しながら進路を判断する避航支援や、港への自動離着桟など、高度な自動運航機能の活用を進めてきた。
2025年12月には、一般旅客が乗船する定期旅客航路として世界初(日本財団調べ)となる、自動運転レベル4相当での商用運航に向けた国の認証を取得。技術的・制度的には、自動運航機能を実際の定期航路で活用できる段階に入っていた。
なお、自動運転レベル4相当とは、特定エリアや条件下で人の介入が不要な完全自動運転が一部可能な技術段階を指す。船舶の自動運転の定義は現在IMO等で議論中のため、便宜的に自動車の定義を流用している。
認証取得後も「習熟期間」を設定、安全最優先の移行プロセス
しかし国際両備フェリーは、認証取得後すぐに運用体制を大きく切り替えることはしなかった。
安全を最優先に考え、一定期間はシステムエンジニアが乗船する体制で運航を継続。システムエンジニアとの連携を重ねながら、日々の運航の中で、船員が自動運航システムの特性や操作、確認すべきポイントを習熟した。
トラブル時の対応や通常運航時の判断についても、現場でのノウハウを積み重ねてきた。
その蓄積を踏まえ、2026年6月9日より、従来乗船していたシステムエンジニアを配置しない運用へ移行した。
今回の体制移行は、単に「エンジニアが乗らなくなった」ということではない。国際両備フェリーは、「自動運航技術を、特別な実証体制ではなく、現場の船員が日常の運航の中で使いこなしていく段階に入ったことを意味する」と説明している。
「船員の経験と技術、そして新しい自動運航システムを組み合わせながら」
国際両備フェリー株式会社代表取締役CEOの小嶋光信氏は、今回の体制移行について次のようにコメントしている。
「『おりんぴあどりーむせと』は、岡山と小豆島を結ぶ大切な生活航路であり、多くのお客様にご利用いただいている定期旅客船です。そのような日々の運航の中で、自動運航技術を活用していくことには、大きな責任があります」
「昨年12月の認証取得は、大きな一歩でした。しかし、私たちにとって本当に大切なのは、その技術を現場で安全に、確実に使いこなしていくことです。認証取得後も、船員の習熟を重ね、実際の運航を通じて一つひとつ確認を積み上げてきました」
「今回、システムエンジニアが乗船しない体制での運用を開始できたことは、自動運航技術が、特別な実証のためのものではなく、日々の運航を支える実用的な技術へと進み始めたことを示すものだと考えています」
「これからも、船員の経験と技術、そして新しい自動運航システムを組み合わせながら、安全で持続可能な海上交通の実現に取り組んでまいります」
船員不足・高齢化に向き合う離島航路の課題
今回の取り組みが推進される背景には、全国的な船員不足と高齢化の問題がある。
離島航路を含む海上交通を将来にわたって維持していくためには、安全性の向上と持続可能な運航体制の構築が欠かせない状況だ。
国際両備フェリーは、自動運航技術について「船員に代わるものではなく、船員の判断や操船を支え、安全で安定した運航を実現するための新しいパートナー」と位置づけている。
今後も日本財団「MEGURI2040」プロジェクトへの参画を通じて、自動運航技術のさらなる実用化に取り組むとともに、岡山と小豆島を結ぶ生活・観光航路を安全で持続可能なかたちで守り、育てていく方針だ。
「MEGURI2040」プロジェクトとは
「MEGURI2040」は、日本財団が推進する無人運航船プロジェクト。国際両備フェリーはこのプロジェクトの参画企業として、定期旅客航路での自動運航技術の社会実装を進めてきた。
「おりんぴあどりーむせと」は、新岡山港(岡山県)と土庄港(香川県小豆島)を結ぶ定期旅客フェリーとして運航している。
国際両備フェリー株式会社
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本社:岡山県岡山市中区新築港9-1
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代表者:代表取締役CEO 小嶋光信
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主な事業:一般旅客定期航路事業(高松港-小豆島池田港、新岡山港-小豆島土庄港)





