農業経済学から、労働・余暇論へとフィールドを広げ、現在は大阪観光大学学長として、大学で学ぶ観光学の意義を問い続ける著者が記した、現代社会論。大阪観光大学が掲げるスローガン「自由を共に楽しみ、社会を共に生きぬく」の下、楽しむ力を育むことに正面から向き合ってきた著者が、なぜ今「楽しむ力」が求められているのかに迫った。
共感論、孤独論を説いたのち、資本主義社会の閉塞(へいそく)感やあつれきにより発生した疎外と孤独、その発展による「孤独の牢獄」について論じる。伝統的孤独の解体により出現した孤独について、欧米と日本それぞれのケースを説明。さらにホワイトカラーの増大や対人サービス産業の発展による疎外と孤独に関して説く。
最終章の第5章では「なぜ今『楽しむ力』か」をテーマに、共感力の育み方と育む意義を説くとともに、「楽しむ力」として表出する共感力の意味を論じる。また現代社会を、孤独の牢獄にとらわれずに生きるためにつながりと共感を求める時代=楽しむことを求める時代と定義。楽しむことは愛することであり働くこと。それは人間として共感し合い生きることであると筆者は指摘する。
旅や観光という「楽しむ」時間を演出する観光業界人必読の書。
四六判130ページ。定価=2640円。発行・晃洋書房。





