アフター万博の近畿観光 近畿運輸局長 服部真樹氏に聞く


服部氏

服部氏

新プロジェクト始動 地域DMOを支援へ

 ――昨年7月に就任し、ほぼ1年。印象に残っていることは。

 やはり大阪・関西万博ですね。6月までいた関東ではあまり話題になっておらず(笑い)、こっちに来てその盛り上がりに驚きました。開幕前はネガティブな報道も多く、成功するのかどうか心配しましたが、尻上がりに来場者が増え、結果的に大成功だったと思います。

 大きな事故や災害がなかったことが要因だと思います。8月13日に大阪メトロ中央線が停電で運転を見合わせ、多くの来場者が帰宅困難となりましたが、会場で一夜を明かした人が逆に喜んでいたのが印象に残っています。万博の成功は、バスやタクシーなどの交通事業者をはじめ、多くの関係者のおかげであり、12月に17の事業者、団体に対し、感謝状を贈りました。

 ――万博については海外からも来場者が来ました。観光関係者の期待も大きかったのですが、思うように結果を残せませんでした。

 博覧会協会によると、海外からの来場者は5.2%にとどまり、当初想定の12%を下回ったようです。来場を機に、多くの外国人に関西各地へと足を運んでもらいたかったのですが、その点では残念ですね。大阪の他には、奈良を訪れる外国人が多かったようですが。

 ――管内には京都や奈良、大阪、兵庫など多くの観光資源がありますが、近畿の観光魅力、特徴は。

 一部の地域ではオーバーツーリズム気味であることと、鉄道網が整備され、それが観光の面でもメリットになっていること。大阪に泊まれば大抵の観光地に日帰りで行けますが、宿泊が大阪に集中するという意味ではデメリットでもあります。

 ――奈良は宿泊施設が少ないせいか、通過県であるのが悩みという話も聞きます。

 奈良公園と大仏、鹿というイメージが強く、短時間で見終わってしまうため日帰り移動してしまう。奈良は懐が深く、学びも奥深いので、じっくり見て回るのに最適な観光地ですけどね。『飛鳥・藤原の宮都』が世界文化遺産に登録されれば、奈良を含めた関西の魅力がより一層増すでしょう。

 ――3月に「関西あったかプロジェクト」を策定しました。

 大阪IRが開業する30年を見据えた、広域観光推進プロジェクトです。目指す姿は、国内外から『KANSAI』をデスティネーションとして認知し、周遊してもらう。そのために(1)魅力の発掘によるコンテンツの充実(2)おもてなしを広げて受け入れ環境を整備(3)情報発信で認知度向上―これらを戦略的に取り組みます。

 30年の数値目標は、観光客の受け入れと住民生活の質の確保との両立に取り組む地域数を20地域(24年実績6地域)、インバウンドの地方部における延べ宿泊者数900万人泊(同327万人泊)、日本人の地方部延べ宿泊者数2800万人泊(同2591万人泊)です。

 さらに、万博レガシーを観光振興に生かすとともに、DMOとの連携・支援を強めます。広域連携DMOとして司令塔の役割を担う関西観光本部が策定する『広域連携観光戦略』に基づく取り組みの推進と、登録制度ガイドラインを含めた地域DMOの体制・機能強化を図ります。

 ――7月から日本からの出国者に課す「国際観光旅客税」が引き上げられます。

 千円から3千円になります。26年度の税収は約1300億円となり、観光振興にとっては大きな後ろ盾となります。オーバーツーリズム対策などに充てられるようですが、当局でも手ぶら観光の推進や認知度の向上、京都駅一極集中の緩和に向けた取り組み支援などに生かします。

 ――趣味は。

ゴルフと、最近では御朱印集めです。それまであまり興味はなかったのですが、伏見稲荷で御朱印帳をいただいたので、せっかくだからと熊野三山訪問時に始めたところ、はまりました(笑い)。

おかげさまで神社のことを少し学び、勉強になります。関西には歴史が古く、社格の高い神社が多く、そこを公共交通機関を利用して歩いて訪ねて回り、集めています。地域も巡れてまさに一石二鳥です。

服部氏

 服部真樹氏(はっとり・まき) 東大法卒、旧運輸省入省。観光庁観光地域振興課地域競争力強化支援室長、国際観光振興機構北京事務所長、海上保安庁総務部長などを経て、2025年7月1日から現職。兵庫県出身、59歳。

【聞き手・内井高弘】

 
 

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