ハイアット ホテルズ コーポレーションは6月29日、ラグジュアリーブランド「アリラ(Alila)」を日本で初めて導入する計画を発表した。
神奈川県箱根町の仙石原に「アリラ 仙石原 箱根」として2028年に開業予定。建築デザイン監修を隈研吾建築都市設計事務所、インテリアデザインを株式会社SIMPLICITY、ランドスケープデザインを株式会社プレイスメディアがそれぞれ担当する。


「驚き」に満ちた日本初上陸
アリラはサンスクリット語で「驚き」を意味するブランド名を持つ。現在アジアに13ホテル、世界では19ホテルを展開するハイアットのラグジュアリー・ポートフォリオの一角を担うブランドだ。
「お客様と従業員、コミュニティーや環境に前向きな影響を与える『人びとに畏怖の念を抱かせるような体験(Awe-inspiring experiences)』の提供」をブランドの信念として掲げ、訪れる人がそこで驚きに満ちた世界を発見し、その世界に浸り、つながることを大切にしている。
ホテルの運営は、株式会社フジタ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:奥村洋治)とハイアットの関連会社が締結した契約に基づき、ハイアットが行う。
60室すべてに天然温泉、スパも完備
ホテルの所在地は神奈川県足柄下郡箱根町仙石原字六兵衛1246番1138他。箱根湯本駅から車で約25分の立地となる。富士箱根伊豆国立公園の仙石原に位置し、「自然との融合・自然の恵みに感謝する」をコンセプトとする。
客室数は全60室(予定)で、スイート11室を含む全客室に天然温泉の浴室を設ける。
施設面では温泉・スパ、レストラン・バー、ミーティング・イベントスペース、ヨガデッキなどを備える。スパエリアには露天風呂のほか、アロマを使用したスチームバスや、男女共に水着着用で入浴するサーマルプールを完備する。日本の温泉と西洋のスパ文化を融合した構成だ。
仙石原のアイコンであるススキや四季を彩る草花から金時山の借景へと続く大パノラマ、静謐で温かみのある客室とインテリア空間、天然温泉とスパトリートメントがもたらす癒し、地産地消による食の喜びを通じて、「アリラ モーメント」と呼ばれる唯一無二の体験を提供する。
日本の建築・デザインの精鋭が集結
建築デザインを監修する隈研吾氏は1964年横浜生まれ。東京大学建築学科大学院修了後、1990年に隈研吾建築都市設計事務所を設立した。V&A Dundee(英国、2018年)、国立競技場(2019年)、アンジェ・サン・モーリス大聖堂のギャラリー(フランス、2020年)などの作品で知られる。現在は東京大学教授を務める。
隈氏は今回の設計について次のようにコメントしている。
「箱根仙石原の大自然の中に自然に溶け込むようなホテルをつくりました。敷地は取り囲む外輪山の連なりと、その中心にあるシンボリックな金時山の美しい稜線に囲われた場所です。この風景を単に眺めるのではなく、建築そのものを風景の一部としました」
建物の具体的な設計思想についてはこう語った。
「傾斜した敷地が持つ8メートルの高低差に寄り添うように、建物を高低2つのボリュームに分割することで、周囲への圧迫感をなくし、平面的にもずらすことで大きなボリュームを分解し、背後の森や山並みに建築を馴染ませます。ゲストを導くエントランスには、繊細な格子を何層にも重ね箱根の山並みに呼応する緩やかな曲線を作り、その隙間からこぼれる光は、森を歩く時に感じる木漏れ日のように、足元に柔らかな表情を与えます」
そして「大地に根を張り、光と風を透過させるこの場所は、仙石原の自然と溶け合うような体験の場となります。日本初の『アリラ』ブランドとして、ふさわしい建築となることを確信しています」と締めくくった。
インテリアデザインを担当するSIMPLICITYは1998年設立。「現代における日本の文化創造」をコンセプトに、食・茶・菓子・工芸・デザインにおいて多岐にわたる活動を展開する。由布院「山荘 無量塔」、東京大学総合研究博物館「インターメディアテク」、ホテル「アンダーズ東京」などを代表作に持つ。
同社代表の緒方慎一郎氏は今回のプロジェクトについて、仙石原の地の成り立ちを丁寧に紐解きながらこう述べた。
「悠久の時を経て、度重なる火山活動により形成された広大なカルデラのなかに位置する箱根・仙石原。かつて湖であったこの地は、火山噴火に伴う土砂の流入や堆積によって、次第に湿原へと姿を変えていきました」
その上でデザインコンセプトをこう説明した。
「『アリラ 仙石原 箱根』においては、この地に刻まれた悠久の歴史をひも解き、自然との共生により培われてきた日本の美意識や感性を現代に再解釈しました。デザインコンセプトとして土の彫刻という概念を導き出し、外輪山の稜線や地層の断面を想起させる構成を空間に投影。風景を断片的に切り取るとともに、外輪山の最高峰である金時山をはじめとする雄大な自然を借景としてふんだんに取り込みました」
ランドスケープデザインを手がけるプレイスメディアは、「都市と自然をつなぐランドスケープデザインを探求する設計事務所」と自らを位置づける。「植村直己冒険館」「平等院宝翔館」「HOTEL THE MITSUI KYOTO」「SIX SENSES KYOTO」「GINZA SIX」など都市・文化・公共性の高いプロジェクトを多数手がけてきた実績を持つ。
「アリラ ガーデン」と呼ばれるアリラ特有のランドスケープの表現を、この仙石原の地で実現する。
フジタとハイアット、長年の協業関係が土台
フジタの奥村洋治代表取締役社長は発表にあたり次のようにコメントした。
「このたび、ハイアットのラグジュアリーブランド『アリラ』を日本で初めて箱根・仙石原に迎える機会を賜りましたことを、大変光栄に存じます。フジタは、これまで『グランド ハイアット ソウル』において事業主として取り組んできたほか、近年では『パーク ハイアット ニセコ HANAZONO』において施工者として携わるなど、長年にわたりハイアットとの協業関係を築いてまいりました」
また、プロジェクトへの意欲をこう示した。
「本計画では、仙石原の豊かな自然環境と向き合い、建築・インテリア・ランドスケープの各分野を代表するリーダーの知見を結集することで、この地ならではの価値を最大限に引き出したいと考えております。『アリラ 仙石原 箱根』が、日本における新たなラグジュアリーリゾートの指標となり、国内外のお客様に深い感動を提供する存在となることを期待しています」
ハイアット アジアパシフィック グループプレジデントのデービッド・ユデル氏も喜びを表明した。
「ハイアットのラグジュアリーブランドの一つ『アリラ』を、日本へ初めて導入できる事をとても嬉しく思います。アリラは現在アジアに13ホテル、世界では19ホテル(アジア含む)を展開していますが、このたび日本でアリラの世界観を存分に発揮する機会をいただきました事を、株式会社フジタの奥村社長はじめ関係者の皆さまに感謝しております」
さらに、日本市場における意義についてこう語った。
「日本初登場のブランド『アリラ』を通して日本の知られざる魅力を『驚き』とともに伝えることで、国内外のお客様に選択肢をさらに提供し、より一層日本での旅行を満喫していただける事は大きな喜びです。『驚き』に満ちたロケーションで環境や文化と一体になる感動を重視するアリラだからこそ実現できる瞬間を、『アリラ 仙石原 箱根』でお届けする日を今から楽しみにしています」
持続可能な観光への取り組みも明確に
アリラブランドの大きな特徴のひとつが、持続可能な観光への姿勢だ。1年以上運営しているアリラの全てのホテルは「アースチェック認証(EarthCheck)」を取得することを義務づけている。アースチェックは1987年以来、持続可能な旅行と観光に関する世界有数の科学的ベンチマークや認証を提供するアドバイザリーグループだ。自然・物理的・文化的要素をホテルの運営に取り入れることを認証の条件としている。
「アリラ 仙石原 箱根」もこの方針のもとで運営される。地域と共生し、自然の恵みに感謝するというコンセプトはアリラブランドの持続可能性への取り組みとも深く連動する。
日本国内では10ブランド目、向こう10年で宿泊施設数倍増へ
ハイアットは現在、北海道から沖縄まで日本国内で22ホテルを展開している。アリラの導入によって日本での展開ブランド数は10となる。さらに、向こう10年で宿泊施設数が倍増する計画も明らかにした。
ハイアット ホテルズ コーポレーションは米国イリノイ州シカゴに本社を置き、「私たちの存在意義を『人をケアすると、人は最高の状態になれる(We care for people so they can be their best.)』と定める世界有数のホスピタリティー企業」だ。2026年3月31日現在、世界6大陸の83カ国で1500軒以上のホテルやオールインクルーシブ施設を展開する。
ラグジュアリー・ポートフォリオとしては「Park Hyatt」「Alila」「Miraval」「Impression by Secrets」「The Unbound Collection by Hyatt」の各ブランドを有する。
「アリラ 仙石原 箱根」の開業は2028年を予定しており、現時点の計画案であるため今後変更の可能性があるとしている。
ホテル概要
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名称:アリラ 仙石原 箱根
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所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原字六兵衛1246番1138 他(箱根湯本駅より車で約25分)
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客室数:全60室(予定)、うちスイート11室
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ホテル施設:温泉・スパ、レストラン・バー、ミーティング・イベントスペース、ヨガデッキなど
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建築デザイン監修:隈研吾建築都市設計事務所
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インテリアデザイン:株式会社SIMPLICITY
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ランドスケープデザイン:株式会社プレイスメディア
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建築設備設計・施工:株式会社フジタ
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開業時期:2028年(予定)




