伊藤氏
中部エリアの「広域戦略」に必要な視座
令和8年3月27日に閣議決定した「観光立国推進基本計画(第5次)」では、「地方誘客」を施策の方向性の一つと位置づけ、「訪日外国人旅行者の地方部における延べ宿泊者数」をKPIの一つとして掲げられた。
同計画では、「地方」という単語は、情報発信・コンテンツ造成・プロモーション施策の分野のみならず、交通ネットワーク、「観光の足」、そして広域での中長期的な戦略の立案といった幅広い文脈で使用されている。
日本人が海外旅行に行くことを想定すると、訪日外国人旅行者が日本への旅行を考える際、訪問したい観光地や宿泊施設を比較検討し、アクセス手段を調べ、行程を決めることとなる。
その際、唯一無二の有名な観光コンテンツを目指すこともあれば、「エリア」としての魅力に惹(ひ)かれることもある。エリアとしての魅力は、パンフレットやガイド本で知ることもあれば、検索サイトを経由して知ることもある。最近では検索時にAIによりまとめられた概要により知ることもある。
観光分野では「マーケットイン」という言葉がよく使われるが、改めて自ら見知らぬ海外への旅行を計画することを想定すると、「マーケットイン」の視点で「地方部への誘客」に向け必要な事項が整理されるのではないか。
一つの市町村、もしくは特定の体験コンテンツのみの魅力で、ライバルとなる地域と比較に勝ち抜いて観光誘客に成功できるのか、あるいは、エリアとしてプロモーションを実施する必要があるのか、また、観光地の魅力が適切に発信される環境が整っているのか、そして、観光地へのアクセス手段は整備され訪日外国人にとって容易に把握できるのか、などといった点を改めて確認していく必要がある。
中部エリアでは、残念ながら、今まで魅力の整理・情報発信・受入環境整備などを広域で議論する機会がなかったが、今般、広域連携DMOである中央日本総合観光機構を司令塔として、「中央日本広域連携観光戦略会議」において、エリアとしての総合的な議論が開始された。
会議では、中部運輸局からは、ここまで述べた問題意識に基づき、広域連携観光戦略において「プロモーションのみならず、受入環境整備・コンテンツ造成まで含めた、一貫した計画の策定」が必要である旨申し上げている。
中央日本総合観光機構の指揮のもと、エリアとしての観光施策について、プロモーション以外の視点にも光を当てながら議論が深まることが望ましいと考えており、中部運輸局としても、計画の策定、計画に基づく事業の実施等、地域の取り組みをしっかりと支援してまいりたい。

伊藤氏




