竹内氏
先日、瀬戸内海産の立派なアオリイカをいただいた。イカをさばくのって面倒だが、弊社製造部料理長が、皿盛りの御造りにしてくれた。刺し身を箸でつまむと、身が分厚いのが分かる。口に運べば、ねっとりと舌にまとわりつき、かめばもっちりした歯ざわりとともに、濃厚な甘味が押し寄せる。サスガ、イカの王様というだけあって、超絶ウマイ!
だが、当日家族が全員そろわなかったため、残念ながら全部食べ切れなかった。しかも、料理長がサッと湯がいてくれたゲソもたくさんある。さて、どうする?
そこで思いついたのが「セトワーズ」だ。以前調味料の「ルイユ・セトワーズ」をご紹介したが、地中海に面したフランス南部の港町セートの郷土料理が、セトワーズつまりセート風。その料理が「カラマール・ア・ラ・セトワーズ」(イカのセート風煮込み)。イカをトマトで煮込んで、ニンニクタップリのソース「ルイユ」を添えていただく。コレは「アイオリ」と似て非なるモノで、前者はにんにく、オリーブオイル、じゃがいも、サフラン、唐辛子で、後者はにんにく、オリーブオイル、卵黄で構成される。ルイユは伝統的なブイヤベースに欠かせない。一方ニンニクマヨともいえるアイオリは、本来魚介料理や蒸し野菜に添えるものだったが、現代の飲食店や家庭で、ルイユを簡略化したい場合にも使う。そうそう、札幌で本格的ブイヤベースをいただける「プロヴァンサル・キムラ」では、ジャガイモ入りのルイユが提供された。プロヴァンスで修業された木村シェフのこだわりだろう。
話を戻そう。翌日、セトワーズ作りに取り掛かった。ニンニクを刻みタマネギを薄切りにして、両者を焦げないようにじっくり炒め、香りと甘味を引き出す。同時にもう一つの鍋でイカを炒めるのだが、コチラは焦げ目が付くぐらい香ばしく。イカをいったん取り出し、その鍋に白ワインを注ぎ、鍋についたうまみをこそげ取り、イカとともにタマネギの鍋に投入。そこにダイスカットのトマトを入れ、塩コショウで味を調え煮込む。最後に好みでコク出しの生クリームを入れて完成♪
だが、この煮込み時間が問題だ。イカは加熱すると硬くなるので、火入れ時間は短くというのが鉄則だが、長時間煮込むと再び軟らかくなるともいう。さまざまな調理法がネットで紹介されている中、「ル・ブルギニオン」オーナーシェフ菊地美升氏のレシピを参照すると、イカは20~30分くらい煮ると軟らかくなるという。しかし、肝心な「弱火で」を見落としていた。気づけば強火でグツグツ煮えており、ヤバっ!と思い中断したせいか、煮込み時間も中途半端だったようだ。
イカはちょっぴり硬かったけど、アオリイカのだしでソースはベリウマ♪ わが家で最近常備しているニンニクマヨを、ルイユならぬアイオリ的につけて食べると、さらに美味! おろしニンニクをマヨネーズに混ぜるだけでもOK。ブイヤベースより簡単な南仏の味、ぜひお試しあれ。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




