四国観光の今と新戦略 四国ツーリズム創造機構代表理事・半井真司氏に聞く


半井氏

半井氏

ならではの価値、創造と拡大 「まるっと」4県一体で売る

 ――2021年から5カ年の「第5次四国観光交流戦略」の取り組みを振り返ってどうだったか。観光の現況と併せ伺いたい。

 5年間のうち前半はコロナ禍で観光業も大きく打撃を受けた。その中で大阪・関西万博の開催を視野に、多言語プロモーション動画などを作成したほか、西日本の広域DMOと共同で海外プロモーションを展開するなどさまざま取り組んだ。

 『サステナブルアイランド・四国』の確立に向けても取り組んだ。結果、グリーン・デスティネーションズアワードで、世界の持続可能な観光地トップ100選に累計で9地域が、シルバーアワードに3市・地域が選出されるなど、持続可能な観光の先進地域としての地位を確実に積み上げることができた。

 現在、欧米豪を中心にインバウンド客が増加している。直島をはじめとしたアート、またアドベンチャートラベル(AT)での遍路体験への関心が高い。半面、国内需要の回復が課題だ。ただ今年1~3月は前年を上回っており、回復の兆しは見えてきた。

 ――このほど発表した30年までの第6次戦略の目指すところは。

 今回、JSTS―D(日本版持続可能な観光ガイドライン)の各種指標に基づく持続可能な観光地マネジメントを本格的に導入した。この中で重点推進項目に掲げたのは、『四国ブランドの拡大(深化・発展)』『持続可能な地域づくりの推進』『官民一体となった連携』の三つだ。

 旅行消費単価などについて具体的な数値目標も設定した。延べ宿泊者数の目標は、日本人が1352万泊、外国人が455万人泊。外国人については、25年度の207万人泊の2倍以上を掲げた。

 30年の大阪IR開業は大きなチャンスと捉えている。現在伸びている欧米豪だけでなく、東南アジア市場に向けたプロモーションも強化して伸ばしていきたい。言語・宗教・生活習慣に応じたダイバーシティのある受け入れ観光の整備も必要だ。国内向けには、酷暑を逆手に取ったプロモーションなどを展開していく。

――「四国ならでは」の観光価値とは何か。

 第一は『コンパクトさ』だ。岩手県の1.2倍ほどの広さのところに独自色ある4県がある。もう一点は、遍路が培った『お接待文化』。外から来た人をもてなす文化が残っている。周遊する中で、いろんな体験ができ、お接待も受けられる点は四国ならではの強みだ。その点にさらに磨きをかける。

 『四国【持続可能な観光】推進ネットワーク』を作り、30近い自治体が参加している。国際認証を取ることで、知名度が上がりお客さまが増える。その実感が各地域の取り組みを後押ししていて、自発的にブラッシュアップしようという動きが生まれている。好事例の共有などにより取り組みの輪を広げ、四国全体が持続可能な観光地であるというブランディングの推進、価値拡大につなげたい。

 ――遍路も四国にしかない観光価値だ。

 欧米豪客の関心は高い。特にSBNR(無宗教型スピリチュアル)層。心の豊かさを求めて、食や体験などにもお金を落とすことが調査でも分かっているので、ATなどともっと絡めていけば、地域経済の活性化にもつながると考えている。

 実はお遍路さんの数は20年前の半分以下になっている。退職年齢の後ろ倒しやお遍路バスツアーの減少、猛暑など理由はいろいろだ。白装束での歩き遍路のイメージ定着で、参加ハードルも上がっている。

遍路はどこから始めても、歩きでも車でも、通しでなくてもいい。ゆるい巡礼だというのを広く定着させるには、日本人に向けてもAT的な要素を入れていくことが重要だろう。四国遍路の世界遺産登録の動きも広がってきている。幅広い世代への価値訴求も必要だ。

 ――四国一体PRのキャッチコピー等が決まった。

 4県一体での観光振興と地域活性化、四国ブランドの拡大を狙ったものだ。『しあわせ、まるっと 四国』のキャッチフレーズとロゴを通して、四国を周遊する旅の想起なども狙っている。各所で使用していくだけでなく、特設ページや大都市圏での広告などにより、ブランドの浸透を図る。

 観光で人流が起こると経済効果が出る。観光分野に限らず他の産業分野とも協力してその効果を広く波及させることで、四国全体の活性化、経済への貢献を目指していきたい。

半井氏

半井氏

半井 真司氏(はんい・しんじ) 神戸大卒業後、1978年国鉄入社。87年国鉄分割民営化でJR四国に。2016年代表取締役社長に就任。20年代表取締役会長、24年から相談役。19年から四国ツーリズム創造機構代表理事を兼務。徳島県出身、70歳。

【聞き手・小林茉莉】

 
 
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