HAECO・Sun Group・豊田通商・JALの4社、ベトナム・ヴァンドンで航空機MRO事業を共同実施へ――総額3億6,000万ドル投資、2028年稼働目指す


 HAECO(Hong Kong Aircraft Engineering Company Limited)、SUN GROUP CORPORATION(Sun Group)、豊田通商株式会社、日本航空株式会社(JAL)の4社は6月16日、ベトナム・クアンニン省のヴァンドン国際空港において、総額3億6,000万米ドル規模の航空機整備・修理・オーバーホール(MRO)複合施設の運営を目的とする合弁会社の設立に合意した。

 施設は2028年の稼働開始を予定。約20ヘクタールの敷地にワイドボディ機4機とナローボディ機2機を同時に受け入れられる規模となり、ベトナム最大級の航空整備拠点となる見通しだ。

4社の役割分担

 合弁会社における各社の役割は明確に定められている。

 HAECOはグローバルMRO事業者としての高度な整備技術および運営ノウハウを提供する。1950年に設立された同社は、機体整備、ライン整備、装備品オーバーホール、構造体修理、ランディングギアサービス、エンジンサービス、グローバルエンジンサポート、部品製造、技術トレーニングに至るまで包括的なソリューションを展開。現在、香港、中国本土、欧州、米州において約1万5,000人の従業員を擁する14の事業会社で構成される。

 Sun Groupはベトナムにおける空港開発・インフラ整備を含む航空関連事業の実績を生かした基盤構築を担う。2007年設立の同社はベトナム有数の民間企業グループで、観光、エンターテインメント、ホスピタリティ、不動産、インフラ、航空といった分野で統合型エコシステムを展開している。航空分野では空港インフラへの戦略的投資のほか、フーコックを中核拠点としたハブ&スポーク型ネットワークを構築するSun PhuQuoc Airwaysを通じた事業拡大を進めている。

 豊田通商はグローバルサプライチェーンの構築・運営およびアライアンス事業の推進を担当する。トヨタグループの総合商社として、メタル+、サーキュラーエコノミー、サプライチェーン、モビリティ、グリーンインフラ、デジタルソリューション、ライフスタイル、アフリカの8つの事業領域でグローバルに事業を展開している。

 JALは安全・品質を基盤とした運航・整備ノウハウの提供および人材育成支援を担う。1951年設立のJALはoneworld®アライアンスのメンバーとして、2026年3月時点で264機の航空機を保有し、提携パートナーとともに世界71カ国・413空港へのネットワークを提供している。Skytrax社の「5-Star Airline」、北米を拠点とする航空非営利団体APEXの「World Class」にも認定されている。

ベトナムMRO市場の現状

 4社がこのプロジェクトに参画する背景には、東南アジア、とりわけベトナムにおける航空MRO需要の急速な拡大がある。

 ベトナム民間航空局によれば、同国のMRO市場は2030年までに約74億米ドル規模に達する可能性があるという。一方で現在は、航空機MRO機能がシンガポール、マレーシア、タイなど一部の国に集中しており、ベトナム国内の整備機能では需要の拡大に対応できていない状況だ。

 4社の発表では「東南アジアは世界で最も成長が著しい航空市場の一つであり、なかでもベトナムは航空需要の拡大に伴い、航空機整備の需要が供給能力を上回る勢いで拡大することが見込まれている」と市場の現状を説明している。

 本プロジェクトはこうした課題の解決を図るとともに、ベトナムにおける航空整備能力の高度化と技術的自立を目的とするものと位置づけられている。

地域経済への波及効果

 施設の建設地であるクアンニン省およびヴァンドン地区は、観光・サービス・物流に加え、高付加価値産業の誘致を積極的に進める新たな成長拠点として期待されている。

 4社は「本施設の建設により、地域雇用の創出や関連産業の集積を促し、地域経済の発展にも寄与する」としている。

今後の展望

 本MRO複合施設は、ベトナムにおける航空機整備能力を国際水準へと引き上げ、ベトナムがグローバルな航空バリューチェーンにおいてより高付加価値な領域へ参画するための重要な足掛かりと位置づけられている。

 4社は「本プロジェクトを通じて、航空インフラ、整備技術、運航ノウハウそして産業ネットワークを融合させ、持続可能な航空エコシステムの構築と安全・安心な航空社会の発展に貢献してまいります」と述べている。

 
 
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