食品のセレクトショップ「わくわく広場」をご存じだろうか。「地域を結ぶ直売広場」をコンセプトに、全国で200店舗近く展開している。生産者が直接商品を持ち込み陳列する直売所形式で、近隣農家の野菜の他、ベーカリーの焼きたてパンなども並ぶ。朝採れ野菜は新鮮だし、菜の花に似た江戸東京野菜の一つ「のらぼう菜」や、中まで赤い「紅くるり大根」など、他では見かけない珍しい野菜もあって、超楽しい♪
ある時、ふと手に取ったのが生きくらげ。大ぶりでツヤツヤで、いかにもおいしそう。ラベルには、「すみだ江戸きくらげ」とある。東京都墨田区産ってこと?
パックを開けると、肉厚で立派な生きくらげが! よく食すが、こんなに見事なモノは初めて。定番の卵炒めにしたら、プリップリの歯応えが最高♪ ビタミンDの宝庫なのもうれしい。
「栽培地:東京都」と明記されており、「すみだ」とあるからには、墨田区産なのだろう。弊社両国本部も墨田区だから、親しみが湧く。だが、同区にはほとんど農地がないといわれる。そこで調べてみると、出品者の東京ビジネス株式会社、実は印刷会社であった。デジタル化の波を受け、大手印刷会社でも印刷以外の事業を拡大せざるを得なくなっている今、同社の空きスペースを利用して新規事業を始めようと模索。そして屋内栽培可能で、素人でも育てやすい上、比較的競合の少ないきくらげ栽培を発見。現在、中国からの輸入に90%以上依存しているが、安心安全な国産きくらげを消費者に届けたい、農地の少ない墨田区の特産品を目指したいとの目標もできた。
インスタやYouTubeで、社員「GPT井上」氏が、生きくらげプロジェクトに奮闘する様子が配信されている。ネットで栽培キットを購入したものの、育て方も分からずChatGPTに尋ね、自宅のお風呂場でテスト栽培を開始。菌床が浴槽に水没したり、湿度が足りず2週間も何の反応もなかったりと苦難の末、大量収穫に成功。やっと社屋内でテスト栽培することに。
きくらげ栽培プラントを組み立てるも、問題山積。土日出勤せず毎日水やりをするにはどうすれば良い?菌床はどこで入手できる?など、またChatGPTの力を借り、タイマー付き自動水まき機を購入し、きのこ類種菌売り上げシェア日本一の森産業株式会社にたどり着き、ようやく栽培スタート! その後も床が水浸しになるなど次々アクシデントに襲われるが、無事収穫でき、乾燥きくらげづくりにも挑戦したという。
2025年5月には、墨田区のふるさと納税返礼品として登録され、同6月から、先述の「わくわく広場」オリナス錦糸町店・日本橋浜町店での取り扱いも始まった。筆者は、その錦糸町店で出会ったのである。
競合が少ないとはいえ、同じくきくらげ栽培に参入した印刷会社も。設備投資に1億円以上かけるなど、規模がケタ違い。GPT井上さん、墨田区を背負って、ぜひ負けずに頑張って下さい。応援してま~す!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




