東京から新潟を結ぶ上越新幹線。久しぶりに利用してみると、その速さと利便性を改めて実感させられる場面がある。
6月初旬の平日、講演会のため新潟市を訪れる機会があった。講演会は夕方からだったが、午前中のうちに新潟へ移動し、到着後は街を散策したり、新潟のグルメを楽しんだりするなどの余裕を持ったスケジュールを組んだ。
東京から新潟へ向かう上越新幹線「とき」は、同じ列車名でも停車駅によって所要時間が大きく異なる。多くの列車は東京駅と新潟駅を1時間50分前後から2時間強で結んでいるが、その中で異彩を放っているのが、東京駅を9時12分に出発する「とき311号」である。この列車は途中停車駅が大宮駅のみ。大宮を出ると、次は終点の新潟駅となる。東京駅と新潟駅間を1時間29分、大宮からなら1時間7分で走破するという、上越新幹線の速達性を最大限に生かした列車だ。
私が利用したのは月曜日であったが、指定席は約8割の乗車率で多くの人が利用していた。新潟へ向かうビジネス客や観光客にとって、朝出発して午前中のうちに現地へ到着できる利便性は非常に大きい。上越新幹線は、多くの列車が高崎、越後湯沢、長岡などを中心に停車する列車が多いが、この速達タイプの列車を利用すると、他の列車より30分前後も早く新潟へ到着できることになる。移動時間の30分短縮は、日帰り出張や短時間滞在では想像以上に大きな意味を持つ。
かつて上越新幹線は、新潟方面だけでなく、越後湯沢や長岡で在来線特急に乗り換えて北陸方面へ向かう重要な役割も担っていた。しかし北陸新幹線が金沢まで開業し、さらに敦賀まで延伸された現在では、北陸方面への乗り継ぎ需要は完全になくなった。その影響もあり、現在の「とき」は朝夕こそ1時間に2本程度運転されているものの、日中は1時間に1本程度にとどまっている。
一方で、新潟発東京行きにも速達タイプは存在する。新潟駅を朝9時13分に発車する「とき312号」は、大宮のみ停車で東京駅には10時44分に到着。所要時間は1時間31分となっている。両方向とも始発駅を朝9時台の新幹線が速達列車となる。
夕方以降で見ると、ほとんど「とき」は2時間前後を要するが、それでも、最終の「とき346号」は新潟駅を21時40分に発車し、23時40分に東京へ到着するため、夜遅くまで新潟で用事があっても東京へ戻れる安心感は大きい。片道だけでも速達列車を上手に使いこなせば、東京と新潟の距離感は近いことを改めて感じた。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)




