私の視点 観光羅針盤
日本政府観光局(JNTO)が公表した最新の国際会議統計によると、日本は2025年の開催件数で世界6位(491件)、アジアでは4年連続1位を維持した。世界ランキングは1位アメリカ(792件)、2位イタリア(616件)、3位ドイツ(565件)、4位スペイン(544件)、5位イギリス(507件)と続き、日本は欧米主要国に次ぐ位置にある。
アジア太平洋地域では、中国(326件)、韓国(286件)、オーストラリア(241件)などを抑え、日本はトップを維持している。コロナ後の回復局面でも順位を落とさなかった点は、日本のMICE基盤が構造的に強いことを示している。
都市別では東京、京都に加え、大阪、札幌、福岡などが分散して上位に入り、特定都市依存からの脱却も進みつつある。分野別では医学・科学系の強さが際立ち、日本の研究力と産業集積が開催理由となっている。
評価の本質は三点に集約される。「安心・安全と運営品質」、「アクセスと都市機能」、そして「コンテンツ力」である。とりわけ日本の強みは”失敗しない開催地”としての信頼性にある。
一方で、ここに安住できる状況ではない。欧州やアジア各国は財政支援や誘致インセンティブを武器に攻勢を強めており、開催地選定は”競争ビジネス”へと変質している。その中で注目されるのが、JNTOによる誘致施策の変化である。参加者の関心領域と地域資源を掛け合わせた”体験志向型”の設計により、国際会議を起点に地方訪問へとつなげる動きが加速している。
象徴的な事例として、2026年11月に横浜でカナダ旅行業協会の年次総会が開催されるとともに、日本の旅行会社との商談会も連動して予定されている。この取り組みは、海外バイヤーと国内事業者を直接接続し、会議参加者の前後滞在を具体的な商品へと転換するものだ。MICEを「誘致実績」で終わらせず、「観光流通」にまで踏み込む試みである。
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