マリオット・インターナショナルは5月21日、旅行プログラム「Marriott Bonvoy(マリオット ボンヴォイ)」が実施したアジア太平洋地域(中国圏を除く)における旅行者のロイヤルティプログラムへの関わり方を明らかにした最新レポート「Loyalty Trends Report 2026 by Marriott Bonvoy」を発表した。
調査結果によると、アジア太平洋地域の旅行者89%が少なくとも1つのロイヤルティプログラムに参加していることが判明。ホテルのロイヤルティプログラムは旅行者の66%が参加し、航空会社や小売、ダイニング業界のプログラムを上回る最も利用率の高いカテゴリーであることが示された。その一方で、ロイヤルティプログラムへの関わり方は「より複雑かつ成熟したフェーズへと進化している」とし、旅行の目的、プログラム内容が日常生活にもたらす価値、各市場特有の消費者動向が利用傾向に大きく影響していることも浮き彫りとなった。
本調査はKantarが実施。オーストラリア、インド、インドネシア、日本、シンガポール、韓国、タイ、ベトナムの旅行者1,731名を対象とした定量調査で、過去1年以内にレジャーまたはビジネス目的で少なくとも1回旅行した中間所得層、高所得層、富裕層が対象となっている。信頼性の高い公開情報を活用した調査・分析もあわせて実施した

旅の目的がロイヤルティを左右、「食・ダイニング」が最重要因子
レポートが特に重視するのが「旅行者の旅の目的」とロイヤルティプログラムへの関わり方の関連性だ。
アジア太平洋地域における旅行者の主な旅行目的として挙げられたのは、「食・ダイニング」、「自然・観光」、「ショッピング」、「文化体験」、「リフレッシュ・癒やし」の5項目。なかでも「食・ダイニング」が最も重要な要素と位置づけられた。
旅行の計画を立てる際に食を重視する旅行者は63%に上り、「食・ダイニング」を重視する旅行者には明確なロイヤルティ志向が見られるという。飲食関連の利用を通じてポイントを獲得し、さらに飲食に関する特典へのポイント利用意向も高い。こうした結果から、食はホテルのロイヤルティプログラムにおけるエンゲージメントを高める上で「非常に大きな可能性を秘めた要素」であることが示されている。
一方、「リフレッシュ・癒やし」を目的とする旅行者は、ホテルロイヤルティの拡大において「最も大きな可能性を秘めた層」と位置づけられた。他の旅行者層と比べてロイヤルティプログラムへの登録率は低いものの、滞在中のエンゲージメントは非常に高い傾向にある。特に、パートナーとともにホテルやリゾート、ヴィラに滞在する傾向が強く、宿泊に加え飲食やスパでの利用を通じてポイントを獲得する割合も高い。ホテルそのものが旅の目的地となっていることが示されている。
日本市場の特徴、ロイヤルティプログラム参加率82%、5年以上継続が34%
日本市場については、今回のレポートで際立った特徴が確認された。
まず「食・ダイニング」を目的に旅する旅行者の割合がアジア太平洋地域の中で最も高く、「リフレッシュ・癒やし」を目的に旅する旅行者の割合も同様に最も高い。日本人回答者の82%がロイヤルティプログラムに参加しており、同じロイヤルティプログラムを5年以上利用している割合が34%と最も高いことも特筆に値する。
ポイント獲得・利用の実態、「宿泊」と「提携クレジットカード」が上位
ポイントの獲得手段については、「ホテル宿泊」(57%)と「提携クレジットカードの利用」(53%)が上位を占めた。「フードデリバリーやダイニング利用」(48%)、「小売・EC提携先の利用」(45%)が続いており、日常的な消費行動がポイント獲得の重要な接点となっている実態が明らかになっている。
ポイントの利用先では、「客室アップグレード」(58%)が最も多く、「飲食に関するちょっとした特典」(57%)、「旅行時の実用的な特典」(51%)が上位に並んだ。旅行者が旅をより豊かにする特典に魅力を感じていることが示されている。
利用規模の観点では、77%の旅行者がすぐに利用できる小規模な特典にポイントを使っている一方、61%が高額な特典、37%が限定的なエクスクルーシブな特典のために使用。こうした結果から、「ロイヤルティプログラムにおいては、憧れを喚起する特典と、日常で実感できる実用的な価値の両立が重要」との見方を示している。
提携先の拡大に高い期待、「より簡単に貯めて使える仕組み」を約半数が要望
幅広いパートナーシップを展開するホテルのロイヤルティプログラムほど旅行者にとって高い魅力を持つことも、今回のレポートで示された。
アジア太平洋地域の旅行者のうち約半数が「より簡単にポイントを貯めたり使えたりする仕組み」と「ポイント利用先となる提携先の拡大」に期待していることが分かった。ホテルのロイヤルティプログラムは宿泊時にとどまらず、日常生活に広がるエコシステムの中で展開されることで、より大きな価値を発揮するという。
また、「日常的な利用を通じてポイントを獲得できること」がロイヤルティプログラムにおける欠かせない要素であることもアジア太平洋地域全体で共通して確認された。
アジア太平洋地域を3タイプに分類、日本・韓国は「ロイヤルティ戦略型」
今回のレポートでは、アジア太平洋地域の市場におけるロイヤルティの価値観を大きく3つのタイプに分類している。
ロイヤルティ戦略型(日本・韓国)
ロイヤルティプログラムが浸透しているこれらの市場では、計画性や合理性、効率性を重視する傾向が見られる。旅行者はロイヤルティプログラムを「戦略的なツール」として活用しており、提携クレジットカードの利用や宿泊を通じて積極的にポイントを獲得しながら、飲食特典や旅行費用の節約といった実用的な用途に活用することで価値を最大限に高めているという。複数のプログラムを目的に応じて選択しながら計画的に利用していることも特徴。一貫性や信頼性も重要な要素として挙げられている。
バリュー重視型(シンガポール・オーストラリア・タイ)
これらの市場の旅行者は、旅行における価値や柔軟性、利便性の向上を明確に実感できる場合にロイヤルティプログラムを積極的に活用する傾向を持つ。公式サイト予約特典、マイルストーンボーナス、客室アップグレード、レイトチェックアウトといった実用的な特典への関心が高く、旅行体験の向上を実感できる特典や分かりやすいお得感を提供するプログラムに高い魅力を感じているとされる。
体験重視型(インド・インドネシア・ベトナム)
ロイヤルティプログラム市場が成長段階にあるこれらの地域では、旅行者がロイヤルティプログラムに対して感情的価値と実用的価値の双方に高い関心を示す傾向が見られる。提携パートナーの広がりや限定特典、ステータス、記憶に残る体験への関心の高さが特徴的だ。「ロイヤルティは単なる節約の手段にとどまらず、憧れや新たな発見につながる存在として捉えられている」という。富裕層の拡大も進んでおり、地域全体の成長をけん引する重要な市場と位置づけられている。
これら3つのタイプの存在は、アジア太平洋地域におけるロイヤルティプログラムの成長が「単一の地域戦略だけでは実現できない」ことを裏付けるものとしている。
「適応型エコシステム」への進化が不可欠、Marriott幹部が見解
マリオット・インターナショナル アジア太平洋地区(中華圏を除く)チーフ・コマーシャル・オフィサー ジョン・トゥーミー(John Toomey)氏は今回の発表に際し、次のようにコメントしている。
「ホテルロイヤルティプログラムは、旅行者とともに進化し続ける『適応型エコシステム』へと発展していく必要があります。多様性に富み、変化のスピードが速いアジア太平洋地域の市場においては、各地域の消費者行動や文化的背景を深く理解するブランドこそが、単なる規模の拡大を超え、長期的な支持と共感を獲得できると考えています。Marriott Bonvoyでは、多彩なブランドポートフォリオや地域に根ざしたパートナーシップ、さらに『Marriott Bonvoy Moments』のような厳選された体験を通じて、こうした価値の実現に取り組んでいます」




