国内自社ブランド単独10万室、海外1万室へ 創業55周年の節目に次の成長戦略を打ち出す
アパグループは5月10日、新中期5ヶ年計画「AIM5-II(APA Innovative Movement)」を発表した。
同グループは2022年に始動した5ヶ年計画「AIM5」において、グループ連結売上高2,000億円・経常利益450億円という目標を2期前倒しで達成。アパホテルネットワーク客室数15万室についても1年前倒しで達成の目途が立ったとしており、創業55年の節目となる2026年5月10日の創業記念日に新計画を公表した。
グループ連結売上高は2025年11月期連結決算で2,667億円(前期比18.0%増)、経常利益は996億円(前期比25.1%増)を記録。いずれも億円未満を四捨五入としており、3期連続で過去最高売上・過去最高利益を更新した。
新計画「AIM5-II」が掲げる数値目標は、2030年11月期のグループ連結売上高3,500億円・経常利益1,000億円。国内ホテル事業では2031年3月末までに国内自社ブランド客室数10万室、海外ホテル事業では同じく2031年3月末までに海外客室数1万室を目指す。
ホテル分野の「プラットフォーマー」へ
新計画の基本方針として同グループは、「組織型経営に基づく持続可能な経営基盤を礎とし、ホテル業界のプラットフォーマーとして、日本のホテル文化を国内外に創造・発信する」と明示。今後の事業の柱として、ホテル分野におけるプラットフォーム事業の推進を掲げる。
具体的には、予約サイト「アパ直」について名称変更を含む全面的なリニューアルを行い、同業他社がより参画しやすい利便性の高いプラットフォームへ進化させる方針だ。「アパ直」を新たな基幹事業として確立し、予約・集客基盤としての機能を高める。
また、「1秒チェックイン機」をはじめとした独自開発システムの外販にも乗り出す。「アパ直」のプラットフォーム展開と連動させ、これまで自社内で活用してきたシステムを同業他社へ積極的に販売することで、業界標準のシステム・オペレーションへと進化させるとしている。
会員制度についても大幅に見直す。従来のポイントプログラムから、アパホテルネットワークのあらゆるサービスを繋ぐ「統合会員プラットフォーム」へと進化させる方向性を打ち出した。海外居住者やインバウンド層の会員化を推進するグローバル対応を図るとともに、北米で展開する「COAST Rewards」会員との相互連携を含め、ボーダレスな会員基盤の確立を目指す。さらに、同業他社との積極的な提携を通じた利用拠点のネットワーク拡張も進める。
国内は自社ブランド単独で10万室 マルチ・ブランド戦略も加速
国内ホテル事業においては、アパホテルネットワーク客室数15万室達成を一つの区切りとして、今後はグループ事業の中核を担う国内自社ブランド(アパホテルズ&リゾーツ、the b hotels ほか)単独で、国内初となる10万室体制の実現を目指す。
M&Aや提携によるマルチ・ブランド戦略の加速も明記。多様なニーズを網羅する広範なポートフォリオの構築を図る。
スマートホテル化については、「ちょうどいい先進性」を体現する取り組みを推進し、オペレーションの効率化とサービスレベルの向上を両立させる方針。顧客がストレスなく快適に滞在できる環境の提供を目指す。
レストラン事業については、付帯施設の枠を越えた展開を目指す。地産地消と高品格な演出を融合した「ハレの日」を紡ぐレストラン事業へと進化させ、地域住民にも選ばれる高い食体験を創造し、新たな収益の柱とする方向性を打ち出した。
海外はCOASTブランドの米国展開を加速 豪州など次期エリアも視野
海外ホテル事業では、米国事業の拡大に向けた戦略的投資と体制強化を推進する。「COAST」ブランドの米国内展開を加速させるため、M&Aを含めた戦略的投資を行い、現地拠点の体制を拡充することで米国事業の成長基盤を構築する。
カナダ事業については、独立採算に基づく再投資で自立的な成長を加速させる「自己増殖型モデル」を構築。店舗網を連鎖的に拡大し、カナダ事業の収益基盤を盤石なものとするとしている。
次期戦略エリアの開拓として、オーストラリア等、地政学的・経済的観点から有望なエリアを対象に市場調査を加速させる方針も示した。立地やターゲット層を踏まえた具体的な出店可能性の検討を進め、将来の市場開拓につなげる。
不動産・REIT・マンション管理でホテル事業を支援
その他の事業についても、創業以来住宅事業のDNAとして受け継がれてきた強みを活かし、ホテル事業との相互還元を強化する。
不動産流通事業では、法人向け仲介による手数料収益の拡大と用地情報の集約を両立させ、自社およびフランチャイズ(FC)の新規出店を牽引することで、アパホテルネットワークの拡大を加速させる。
資産管理事業においては、保有不動産の「選択と集中」を徹底してポートフォリオを最適化。遊休資産の売却やリノベーションによる価値向上を通じて、資産効率の改善と賃貸収益の成長を追求する。
マンション管理事業については、管理の枠を超えた次世代の資産パートナーシップの構築により、豊かな暮らしと資産価値の向上を実現するとしている。
REIT事業では、ウェアハウジング機能の提供とアパグループのスポンサーパイプラインを活用した物件供給により、日本ホテル&レジデンシャル投資法人の資産規模1,000億円を早期に達成し、さらに2,000億円を目指す。
投資事業として余資運用の一環で同業他社や関連事業分野への投資も行うほか、既存事業とのシナジーが期待できる周辺領域を中心に新規事業機会の発掘に向けた調査・検討も進める。
人材・財務・サステナビリティの経営基盤戦略
経営基盤戦略として、人材・組織面では、経営リソースの最適化と事業変革を牽引する戦略的リーダーの育成および機動的な組織再編を推進する。多様な個性が交差する共創文化を醸成し、個々の知見を顧客体験へと直結させる方針だ。
財務面では、事業拡大にあたりキャピタル・リサイクリングを取り入れ、バランスシートの拡大を抑制しながら資本効率を向上させる。信用格付の引き上げを図るとともに、資金調達手法の多様化を研究するとしている。
マーケティングでは、サッカー・将棋のスポンサーシップなど幅広いアプローチを展開し、多様なライフスタイルに寄り添うマーケティングで潜在顧客層を掘り起こす。
サステナビリティについては、環境に配慮した循環型アメニティモデルの構築や、地域防災ハブとしての機能強化を図る。加えて、ライフサイクルコストと省エネ性能を最適化した建築仕様・備品の導入を推進し、持続可能な社会インフラとしての責任を遂行するとした。
アパグループは現在、アパホテルネットワークとして全国最大の1,148ホテル148,077室(建築・設計中、海外、アパ直参画ホテルを含む)を展開。「AIM5-II」のもと、「100年企業」を見据えた持続可能な経営基盤の完成を目指す。




