リクルートHD、通期最高益 じゃらん含むMMT事業は売上7%増へ 「席押さえ」など新機能で攻勢


リクルートホールディングス代表取締役社長兼CEOの出木場世久征氏

 リクルートホールディングスは5月15日、2026年3月期通期決算を発表した。同社本社で行った通期決算説明会には、代表取締役社長兼CEO出木場久征氏と常務執行役員兼CFOの荒井淳一氏が登壇し、決算内容と同社の戦略を説明した。

 売上収益は3兆6,973億円(前年同期比3.9%増)、EBITDA+S(調整後EBITDAに株式報酬費用を加えたもの)は7,943億円(同17.0%増)、基本的EPSは349.78円(同28.9%増)となり、いずれも過去最高を更新した。

旅行・美容・飲食を束ねるMMT事業 売上5,646億円、来期はGMV連動モデルが牽引

 マーケティング・マッチング・テクノロジー(MMT)事業の2026年3月期通期売上収益は5,646億円(前年同期比4.7%増)となった。EBITDA+Sは1,549億円(同13.0%増)、EBITDA+Sマージンは27.4%だ。

 MMT事業はリクルートIDを保有する約9,900万のアカウント基盤と、約98万の企業クライアントを複数のバーティカルで結ぶ日本国内最大級のマッチングプラットフォームだ。美容、旅行、飲食、SaaSからなるライフスタイル領域、住宅領域、自動車・結婚・教育等からなるその他領域で構成される。

 領域別の2026年3月期通期売上収益は次のとおりだ。ライフスタイル領域(美容・旅行・飲食・SaaS)が2,938億円(同6.6%増)、住宅領域が1,569億円(同4.5%増)、その他領域(自動車・ブライダル・教育等)が1,138億円(同0.2%増)。

 美容(ホットペッパービューティー)の単独売上は1,262億円、旅行・飲食・SaaSソリューションが1,676億円、住宅・不動産(SUUMO)が1,569億円、その他が1,138億円という内訳だ。

ホットペッパーグルメ「席押さえ」機能、全国展開

 第4四半期に公表した主要施策として、飲食事業では2026年1月22日、『ホットペッパーグルメ』の「席押さえ」機能を全国で提供開始したことが挙げられる。

 アプリで「いますぐ入れる近くのお店」を確認し、その場で席を確保できる機能だ。その瞬間の空席がひと目で分かり、待ち時間や手間なくスムーズに飲食店を決められる新しい外食体験を可能にする。

 本年度(2027年3月期)はこの席押さえ機能を拡充するなど、リアルタイムなアクションの創出によって企業クライアントと個人ユーザー双方のニーズに応えるプラットフォームへの進化を実現するとしている。

 旅行領域についても、荒井CFOは客室在庫のリアルタイム反映・決済・キャンセル処理・カスタマーサポートといった予約完結に伴うオペレーションについて「情報の検索・比較とは異なる運用基盤が必要であり、当社の優位性は当面維持できる」との考えを示した。

美容分野でGMV連動モデルへ移行 成果報酬型で採用費も軽減

 美容事業では2026年2月26日、『ホットペッパービューティーワーク』の求人掲載を無料化し、完全成果報酬型に変更した。月額のサービス利用料を廃止し、採用にかかる費用負担を軽減するもので、慢性的な人手不足が続く美容業界においてより多くの美容サロンが採用活動を始めやすく、継続しやすい環境を整えるとしている。

 MMT事業全体では、美容を中心にライフスタイル領域でGMV(グロスマーチャントバリュー)連動モデルへの移行を段階的に進めている。2027年3月期は美容のGMV連動売上収益を約120億円と見込む。

住宅領域もGMV連動へ 移行期間として今期は一時的鈍化を見込む

 住宅領域では、カウンター・注文部門(住宅領域の売上収益の2割を占める)の課金体系をGMV連動モデルに一本化する。これまで広告掲載課金と成約金額に応じた手数料を売上収益とするGMV連動モデルを併用していたが、来年度以降はGMV連動モデルに一本化する方針だ。

 荒井CFOは「今年は1年移行期間というところで、沈む覚悟をして全体を移行していく」と説明した。

 この移行に伴い、2027年3月期のカウンター・注文部門の売上収益成長は一時的に鈍化し、住宅領域の増収率は1桁台前半となる見通しだ。ただし2028年3月期にはこの移行効果が発現し、1桁台後半の成長を見込んでいる。

MMT事業の来期見通し 売上6,050億円、マージン30%へ

 2027年3月期のMMT事業セグメント売上収益は6,050億円(前年同期比7.1%増)を見込む。EBITDA+Sマージンは、四半期ごとの販売促進費ならびに広告宣伝費の季節性を平準化させることで上半期31.0%、下半期29.0%、通期で30.0%となる見通しだ。2029年3月期にEBITDA+Sマージンを35%程度にする目標も維持している。

 これまで第1四半期から第3四半期に比べて第4四半期にEBITDA+Sマージンが大きく落ち込む傾向があったが、2027年3月期からは販売促進費ならびに広告宣伝費を平準化することでその偏りの是正を図る。

 MMT事業のビジネスモデルの特徴として、リクルートIDを保有する個人ユーザーはポイントプログラムを活用しながら複数のバーティカルプラットフォームを併用しており、そのクロスユース率は4分の3を超え、年間合計約4億件のアクションを創出している。このアクション総数の約90%がポイントと連動しており、個人ユーザーとの粘着性が集客導線の変化に対する耐性となっているとしている。

HRテクノロジー事業が最大の収益源 売上100億ドルの大台へ

 MMT事業以外のセグメントについても発表があった。

 HRテクノロジー事業の2026年3月期通期売上収益は96.7億ドル(前年同期比7.6%増)、EBITDA+Sマージンは過去最高の37.7%だった。2027年3月期の売上収益見通しはドルベースで107.3億ドル(同11.0%増)、EBITDA+Sマージンは41.0%に増大する見込みだ。

 米国では2026年3月期第4四半期のUS ARPJ(米国平均単価成長率)が前年同期比25%増、3月単月の米国売上収益が前年同月比26%増、4月が同27%増と高い増収率を記録している。2027年3月期の通期見通しは米国売上収益が前年同期比13.6%増の60.3億ドル、US ARPJ成長率は18%を見込んでいる。

 欧州および英国・カナダを含むその他地域では2026年3月期通期の売上収益が前年同期比19.2%増の20.4億ドルだった。2027年3月期見通しは同17.1%増の23.9億ドルを見込む。英国、カナダ、ドイツの売上収益の合計が欧州およびその他地域のドルベースIndeed売上収益の約3分の2を占める。

 日本では2026年3月期通期売上収益が前年同期比4.6%減の3,482億円だったが、下半期に人材紹介サービスの立て直しに注力した結果、想定よりも早くリカバリーの効果が発現した。2027年3月期見通しは前年同期比2.1%増の3,555億円(23.0億ドル)だ。

 出木場CEOはHRテクノロジー事業の中期的な成長について「求職者と企業クライアントの双方が意思決定を行うTwo-sided Decision-making MarketplaceであるIndeedにおいて、AIツールを駆使したマッチングの進化による好循環が持続することで、売上成長は年率10%台に留まらず、採用需要が正常化してくると20%以上も十分に実現可能。EBITDA+Sマージンは50%を超える」と説明した。

 AIマッチングの効果として、プレミアムスポンサード求人を利用した企業クライアントは採用までの時間が50%短縮され、有料求人広告を出している企業は求職者への返信速度が45%速くなっているとしている。また2026年3月のIndeedにおける月間アクティブユーザー数は前年同月比18%増と過去最高を記録した。

人材派遣事業は安定推移

 人材派遣事業の2026年3月期通期売上収益は1兆7,034億円(前年同期比2.2%増)、EBITDA+Sマージンは5.9%だった。地域別では日本が8,468億円(同5.2%増)、欧州・米国および豪州が8,565億円(同0.6%減)だ。

 2027年3月期の見通しは売上収益が1兆8,025億円(同5.8%増)、EBITDA+Sマージンは5.6%を見込んでいる。日本は3.1%増、欧州・米国および豪州は8.5%増の見通しだ。

株主還元と来期業績予想

 連結全体の2027年3月期の業績予想は、売上収益4兆300億円(前年同期比9.0%増)、EBITDA+Sは9,490億円(同19.5%増)、EBITDA+Sマージンは23.5%、基本的EPSは447.00円(同27.8%増)だ。為替レートは1ドル154円を想定している。

 キャピタルアロケーションについては、2026年3月期に総額7,131億円の株主還元を実施し、総還元性向は143.5%だった。2026年3月末のネットキャッシュは7,659億円。ROEは31.0%と前年度の22.6%から大きく上昇した。

 2027年3月期からの3カ年については、現行のキャピタルアロケーションの優先順位に変更はない。年度末のグロス現預金水準を7,500億円程度に維持し、1株当たり配当は上半期13円・下半期13円・通期26円を予定する。4月1日から開始した総額3,500億円の自己株式取得プログラムは11月中には完了する見込みとしている。

 荒井CFOは「7,500億円の現預金は、経済環境悪化・企業の求人活動の停滞期間に体力を温存しておくための蓄えであり、今後の事業買収の規模や回数によっては、ネットキャッシュはこれを下回る場合もあるし、ネット負債となることもあり得る」と説明した。

リクルートホールディングス代表取締役社長兼CEOの出木場世久征氏

 
 
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