みなかみ町観光協会 岡村健代表理事に聞く 高単価・高品質ツアー造成 産業連携で域内消費拡大


みなかみ町観光協会の岡村健代表理事

みなかみ町観光協会の岡村健代表理事

地域ビジョン、財源も議論

 豊かな自然、温泉、アウトドア・アクティビティ、スキー・スノーボードなどを楽しむ観光が人気の群馬県みなかみ町。観光振興のかじ取り役を担うのがみなかみ町観光協会だ。観光庁に登録する地域DMO(観光地域づくり法人)でもある。地域の現状や課題、協会の取り組みについて、岡村建代表理事(法師温泉長寿館社長)に聞いた。

 ――みなかみ町の観光の現状は。

 昨年度の観光入込客数は約268万人、このうち宿泊客数は約103万人だった。コロナ前と比較して宿泊はかなり回復したが、日帰り客がまだ十分に戻っていない。

 ――インバウンドは。

 昨年度の外国人宿泊者数は約3万3千人で、このうち約5700人がタイからだ。タイとの関係は15年近い歴史があり、有力な人脈もあって継続的なプロモーションを展開してきた成果が出ている。タイ以外では、米国、豪州、台湾が主要な市場。特に冬季には、優れた雪質を求めて豪州のスキー客が町内の7カ所のスキー場に多く訪れている。

 ――みなかみ町の観光のブランディングについては。

 「Find your oasis」というフレーズを掲げている。首都圏からのアクセスが良く、豊かな自然や多様な温泉がある。何度も訪れてお気に入りの過ごし方を見つけてほしいという意味合いだ。みなかみ町は、利根川源流の地域であることから、「ウォーター・シャングリラ(水源郷)」というフレーズも使っている。利根川の水が首都圏の生活と密接であることを広く知っていただき、当地に関心を持ってもらいたい。

 みなかみ町には、国立公園のほか、人の暮らしと共生する豊かな自然が広がり、県域を超えて「みなかみユネスコエコパーク」にも登録されている。また、温泉は、それぞれ独自の魅力を持った多彩な温泉地があり、「みなかみ18湯」としてPRしている。観光経済新聞社主催の「にっぽんの温泉100選」の順位ももっと上げていきたい。

 ――2024年6月に協会の代表理事に就任した。注力している取り組みは。

 現在、三つの委員会を設置して活動している。

 一つ目は「未来創造委員会」。中長期的な視点でまちづくりを考え、必要な施策を検討している。スイスのツェルマットをベンチマークに、山岳リゾート観光の確立を目指している。

 二つ目は「ディスカバー委員会」。宿泊施設や観光施設、アクティビティ事業者だけでなく、飲食店や土産店、観光農園などを含め、地域の多種多様な産業をつなぐことで消費拡大を目指している。お客さまを紹介し合い、周遊・消費を促そうと、リピーター客などに対し、「上得意」カードというのを配り、地域内の店舗でさまざまな特典が受けられるサービスも展開している。

 三つ目は、高単価、高品質なツアー造成に取り組む委員会で、「極上の旅 増勢委員会」という名称を付けている。ここでは2種類のツアーが仕上げの段階にある。一つは、キャニオニングなどのアクティビティで知られるニュージーランド出身の理事、マイク・ハリス氏を中心に、アクティビティに文化的要素も加えた高単価ツアーを造成している。もう一つは、リトリートを意識した2泊3日程度の高付加価値な滞在型ツアーで、温泉地などの宿泊施設に滞在し、その時の気分でフルーツ狩りをしたり、ヨガを楽しんだり、お客さまが過ごし方を選べるような提案を考えている。

 ――みなかみ町における観光振興の課題、また、協会運営の課題は。

 みなかみ町の観光の課題としては、地域が非常に広いため、一つのブランドイメージとして浸透しきれていない部分がある。地域側の意識も統一できていないことが課題だ。協会運営については、事業を強化するための財源確保が課題といえる。全国各地で導入が議論されている宿泊税についても、協会内で議論が出始めており、町全体の観光に資する基礎的な財源として目的を明確化した上で、今年度から少しずつ行政と話を進めていきたいと考えている。

 ――未来創造委員会のテーマでもある中長期のまちづくりの動きは。

 三つの委員会にはそれぞれ町役場の職員1人、町議会議員1人がオブザーバーとして参加している。事業者、協会役員、行政担当者、議会議員が一緒に議論する形がうまくいっている。そうした議論の活発化もあり、町役場は、観光振興計画の改定について検討を始める動きがあり、未来創造委員会で描く地域のビジョンを町の計画にも落とし込めるように議論を深めていきたい。

【聞き手・向野悟】

みなかみ町観光協会の岡村健代表理事
 岡村 建氏(おかむら・たけし)1995年ホテルニューオータニ東京入社。97年長寿館に入社、2021年9月に社長。みなかみ町観光協会では20年に副理事長、24年6月から現職。

 
 
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