ANAとIHGホテルズ&リゾーツ、航空とホテルの垣根越えた「包括的ロイヤリティパートナーシップ」締結 10月以降にステイタスマッチ・ダブルディップ・相互交換の3特典


ANA取締役執行役員の大前圭司氏(=中央)、IHGチーフ・コマーシャル&マーケティング・オフィサーのヘザー・バルズリー氏(=左)、日本&マイクロネシア マネージングディレクター兼IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社CEOのアビジェイ・サンディリア氏(=右)

  ANA(全日空)とIHGホテルズ&リゾーツは4月22日、「包括的ロイヤリティパートナーシップ」を締結した。航空とホテルの垣根を超えて、ロイヤリティプログラム連携を行う。具体的には、今年10月以降、ANAマイレージクラブ(AMC)とIHGワンリワーズの両会員向けに①AMCステイタス会員に対して、IHGワンリワーズステイタスを提供する「ステイタスマッチ」による、宿泊時の優先優待および付帯サービスの拡充②ANAマイルに加え、IHGワンリワーズポイントを獲得できる「ダブルディップ」の実現③ANAマイルとIHGワンリワーズポイントの「相互交換」による、利便性と選択肢の向上―を実現する。なお、ダブルディップは、対象となる海外発旅程のANA国際線搭乗時に適用する。

 両社は4月22日、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京・港区赤坂)の宴会場「ギャラクシー」にて共同記者発表会を開催し、ロイヤリティ・パートナーシップの締結を正式に発表した。ANAからは取締役執行役員の大前圭司氏が、IHGからはチーフ・コマーシャル&マーケティング・オフィサーのヘザー・バルズリー氏と、日本&マイクロネシア マネージングディレクター兼IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社CEOのアビジェイ・サンディリア氏が登壇し、調印セレモニーも行われた。

ANA取締役執行役員の大前圭司氏(=中央)、IHGチーフ・コマーシャル&マーケティング・オフィサーのヘザー・バルズリー氏(=左)、日本&マイクロネシア マネージングディレクター兼IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社CEOのアビジェイ・サンディリア氏(=右)

約20年の協力関係を「次なる次元」へ 3特典を2026年10月以降に順次提供

 今回のパートナーシップは、2006年以降約20年にわたって両社が積み重ねてきた戦略的提携を、さらに進化させるものだ。

 ANAは現在、世界40都市・55路線(2026年3月現在)に就航する国際線ネットワークを持ち、ANAマイレージクラブの会員数は約4,700万人にのぼる。一方のIHGは、世界100カ国以上に6,963軒超の開業中ホテル、100万超の客室、2,300軒超の開発パイプラインを展開するグローバルホスピタリティ企業だ。ロイヤリティプログラム「IHGワンリワーズ」の登録会員数は全世界で1億6,000万人超を誇る。

 この2つの巨大な会員基盤とネットワークを結びつけることで、「旅の体験を、より豊かで特別なものへ」と進化させることが今回の提携の目的だ。

 新たに提供される3つの特典の詳細は以下の通りだ。

特典①:ステイタスマッチ

 AMCのステイタス会員が両プログラムに入会し、両アカウントを連携することで、IHGワンリワーズアカウント内で自身のAMCステイタスに応じた特典・優遇を受けられるようになる。

 具体的なステイタスの対応関係は次の通りだ。ANAの「ダイヤモンド+More」会員には68泊分のIHGエリートコーリファイングナイトが付与され、2泊の宿泊実績をもって「ダイヤモンドエリート」へのマッチング、および8つのIHGマイルストーンリワーズが選択可能となる。「ダイヤモンド」会員には38泊分が付与され、同様に2泊の宿泊実績でIHGの「プラチナエリート」へのマッチングと4つのマイルストーンリワーズが適用される。「プラチナ」会員は20泊分の付与で「ゴールドエリート」へのマッチング(マイルストーンリワーズは1つ)、「ブロンズ」会員は10泊分の付与で「シルバーエリート」へのマッチングとなる。なお、「ダイヤモンドエリート」および「プラチナエリート」の取得には、事前に最低2泊の宿泊実績が必要となる。

 このステイタスマッチにより、AMCステイタス会員は世界中のIHGホテル(一部対象外あり)にて「客室アップグレード」や「レイトチェックアウト」といったプレミアムな体験を享受できる。

特典②:ダブルディップ

 対象となる「海外発旅程のANA国際線(ANA便名かつANA運航便)」への搭乗時に、従来のANAマイル積算に加え、IHGワンリワーズポイントも同時に積算されるようになる。両アカウントを連携することで、フライト距離と予約クラスに基づき、一度のフライトで航空マイルとホテルポイントの両方を獲得できる。

 なお、対象は「海外発旅程」に限定される点に注意が必要だ。日本発の旅程は対象外となる。また、ANA便名かつANA運航便が条件であり、スターアライアンス他社のマイルを積算するANA搭乗便は対象とならない。

特典③:マイルとポイントの相互交換

 従来は「IHGワンリワーズポイントからANAマイルへの交換」のみが可能だったが、今回の提携により新たに「ANAマイルからIHGワンリワーズポイントへの交換」も実現する。この双方向の交換が可能になることで、旅の目的に合わせてマイルとポイントをより自由かつ柔軟に活用できるようになる。

「最大のチャンス」 ANA大前氏が国際線成長戦略における提携の意義を強調

 記者発表会でANAの大前圭司取締役執行役員は、今回の提携の戦略的位置づけについて次のように語った。

 「約20年にわたり築いてきたIHGとのパートナーシップを、より戦略的なステージへと深化させ、次なる成長への確かな歩みを進めることができることを大変嬉しく思います。中期経営戦略において、国際線旅客事業を成長の柱とする当社にとって、グローバルに展開するIHGとの連携強化は、海外市場におけるプレゼンスを確立するために不可欠な要素です。両社の強みを深く掛け合わせることで、国内外の幅広いお客様に航空とホテルの垣根を超えた新たな旅の価値を提供し、事業の拡充を加速させてまいります。今後も、IHGと共に航空とホテルの垣根を越えた多角的な価値創出に取り組み、世界中のお客様が『ワクワクで満たされる世界』の実現を目指してまいります」

 大前氏は質疑応答でも、IHGをパートナーに選んだ決め手として「IHG様の持つグローバルな拠点、そしてグローバルで有する高いブランド力」を挙げた。そのうえで「今こそが両者の強みを生かして、お客様により多くの価値をご提供する最大のチャンスだと決断した」と述べた。

 また、今回の提携が中期経営戦略と直結していることも強調した。ANAは2026年1月に中期経営戦略を発表しており、国際線事業の成長を柱の一つと位置づけている。大前氏は「中長期的に見たときに、日本のマーケットは人口との関係からいけばシュリンクしていくだろう。その状況の中で日本の航空会社がさらなる成長を目指していくという中では、海外のお客様にもっともっとご利用いただかなければならない、海外のマーケットでの競争力を高めていかなければならない」と語り、今回の提携が海外発の国際線利用者の獲得に向けた重要なツールになると位置づけた。

 「残念ながら、ANAの海外マーケットにおける認知度はまだまだ改善の余地がある」とも述べ、IHGの強力な会員基盤を活用してANAの海外認知度を高め、インバウンド需要の拡大につなげる狙いも示した。

 さらに、競合との差別化について問われた場面では、「空の移動と、旅行先で地上でのホテルでの滞在、ここを連携させてお客様のご旅行の中でシームレスな価値を提供することは非常に大きな取り組み」と述べ、IHGの高いブランド力とのシナジーが差別化につながるとの考えを示した。

IHGバルズリー氏「単なる商業的提携ではない」 日本を「世界最重要市場の一つ」と位置づけ

 IHGのヘザー・バルズリー チーフ・コマーシャル&マーケティング・オフィサーも、今回の提携の意義をこう表現した。

 「ANAとの20年にわたるパートナーシップは、IHGの日本における成長を支える中核であり続けています。世界的なブランド力、日本市場に根ざした経験と深い知見、そしてIHGワンリワーズとANAマイレージクラブの力を組み合わせることで、その価値をさらに高めてまいります。日本国内で開業中および開発中のIHGホテルは80軒を超え、そのうち開業中のホテルの半数がANAとの共同ブランドです。本提携により、お客様の旅のさまざまな場面でより多くの接点を創出し、ロイヤリティ会員への価値をさらに高めるとともに、両ブランドのグローバルな認知拡大を推進してまいります。さらに、両社が持つロイヤリティ・ネットワークの規模を活用することで、当社ホテルへの選好性の向上、直接予約の拡大、そしてホテルオーナーの皆様への長期的な価値創出につなげてまいります」

 バルズリー氏は会見の場でも「今回のパートナーシップは、単なる商業的な提携ではない。信頼を重視し、長期的な関係を築き、質の高い心のこもった体験を提供するという共通の理念を反映している」と強調した。

 日本市場については「世界的にも最も重要な市場の一つ」と位置づけた。日本国内では現在、IHGとANAの両ブランド名を持つホテルを含め、59ホテルを運営(2025年12月31日時点)。加えて24の開業予定ホテルが開発パイプラインにあり、10ブランドを展開している。発表会の開催から間もなく2つのホテルが新たにオープンする予定で、ホテル数は61に達する見込みだという。

 なお、日本のIHGホテルで展開するブランドは、シックスセンシズ、インターコンチネンタル、ヴィニェットコレクション、キンプトン、ホテルインディゴ、voco、クラウンプラザ、ホリデイ・イン エクスプレス、ホリデイ・イン、ガーナーの10ブランドだ。IHGはラインのミニアプリ導入や楽天との提携など、日本市場向けのプログラムをすでに複数展開しており、100ホテルの達成を目指して開発を続けている。

IHGワンリワーズの実力 会員が直接予約する頻度は非会員の10倍

 今回の提携の核となるIHGワンリワーズは、世界100カ国以上・21ブランドにわたる7,000軒超のホテルで利用可能な、世界最大級のロイヤリティプログラムだ。

 登録会員数は全世界で1億6,000万人超。会員による宿泊は全世界の総宿泊日数の約65%以上を占め、会員の直接予約の頻度は非会員の10倍にのぼる。また、会員による支出額は非会員に比べて約20%高く、会員登録数は前年比で約25%増と成長が続いている。

 今回の提携によって、このIHGワンリワーズとANAマイレージクラブの約4,700万人という巨大な会員基盤が連携し、互いの顧客に新たな価値を届けることになる。

「今年の実績も対象に」 既存マイル・ポイントも利用可能に

 質疑応答では、既存の会員にとって重要な実務的詳細も明らかになった。

2026年10月以降のサービス開始に向け、これまでに貯められたANAマイルおよびIHGポイントも引き続き利用可能となる。大前氏は「今年度の部分、すでに今たまっている部分の対象となって、10月以降のサービスにご利用いただけることになる」と説明した。また、クレジットカードの発行については「今検討しており、おそらく近日中に何らかの動きがあると考えている」(IHG側)と、具体化に向けた検討が進んでいることも明かされた。

 提携効果の評価について大前氏は、「定量的な部分のみならず、お客様の声を含めた定性的な部分も含めてしっかりと評価してまいりたい」と述べた。会員獲得数、予約連動率、会員単価の変化などを指標として検討しており、今後の具体的な数値目標については10月のサービス開始に向けた詳細発表に合わせて示すとしている。

 なお、3つの特典のさらに具体的な内容は2026年10月以降に順次展開・発表される予定だ。

パートナーシップ概要

  • 締結日:2026年4月22日

  • 提携名:包括的ロイヤリティパートナーシップ

  • 締結企業:全日本空輸株式会社(ANA)/IHGホテルズ&リゾーツ

  • 特典開始時期:2026年10月以降、順次スタート

  • 対象会員:ANAマイレージクラブ(AMC)会員およびIHGワンリワーズ会員

  • 主な特典内容:

– ステイタスマッチ(AMCステイタス会員対象)

– ダブルディップ(AMC会員かつIHGワンリワーズ会員対象、対象は海外発旅程のANA国際線・ANA便名かつANA運航便)

– マイルとポイントの相互交換(AMC会員かつIHGワンリワーズ会員対象)

  • ANAの国際線ネットワーク:世界40都市・55路線(2026年3月現在)

  • ANAマイレージクラブ会員数:約4,700万人

  • IHGホテル数(世界):世界100カ国以上・6,963軒超

  • IHGワンリワーズ会員数:全世界1億6,000万人超

  • 日本国内IHGホテル数:59ホテル(2025年12月31日時点)、開業予定24ホテル、10ブランド展開

 
 
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