前回コラムでは、競合施設を適正価格・写真の質・口コミの質・予約導線・AIによる総合評価という五つの指標で分析し、感覚論から具体策につなげることの重要性を述べた。今回コラムでは、その分析で見えてきた自館の強みを土台に「うちの宿は何者か」というコンセプトをどう設計するかを取り上げる。
「あなたの宿のコンセプトは何ですか」と問うと、多くの経営者が少し考えた後、ホームページのキャッチコピーを答える。「心のこもったおもてなし」「非日常の癒やしを」。しかし、そのコピーが宿の実態やお客さまの評価と一致している宿は、どれほどあるだろうか。
コンセプトと実態の乖離(かいり)は、やがて損益計算書に現れる。閑散期に方向性の合わない団体客を入れる。OTAへの依存度が上がり手数料が増える。単価を上げられないまま人件費だけが膨らむ。この悪循環の根本にあるのは、コンセプトが平凡なキャッチフレーズにとどまっていて、何を磨くか、何をしないかを決める道具として機能していないことだ。
会員向け記事です。





