一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会(=HRS、森本昌憲会長)は2月19日、東京ビッグサイトで開催された「HCJ2026」の「トレンドセミナー&ステージ」会場で、「第20回HRSサービスコンクール2026」を開いた。
ホテル・レストラン業界のサービス技能を競う全国規模のコンテストで、カレッジ部門16選手、ヤングプロフェッショナル(YP)部門27選手が壇上でホスピタリティ手腕を競った。
金賞・厚生労働大臣賞は、カレッジ部門が沖縄職業能力開発大学校の宮崎優菜さん、YP部門が帝国ホテル東京の原口奈々来さん(日本ホテルスクール出身)がそれぞれ勝ち取った。
銀賞には、カレッジ部門で大阪外国語・ホテル・エアライン専門学校の葛本美沙さん、YP部門で名古屋マリオットアソシアホテルの篠原将吾さんが輝いた。
銅賞は、カレッジ部門が東京ホテル・観光&ホスピタリティ専門学校の手束菜稀さん、YP部門が京王プラザホテルの岩下海斗さんとなった。
また、敢闘賞には、カレッジ部門で大阪外国語・ホテル・エアライン専門学校の中岡薫音さん、YP部門でミリアルリゾートホテルズの伊藤寛人さんが選ばれた。
ベストレポート賞として、カレッジ部門が国際ホテル・ブライダル専門学校の佐藤亜美さん、YP部門が瀬戸内リトリート青凪by温故知新の児倉隼さんも選ばれ、表彰された。
さらに、ベストパフォーマンス賞として、カレッジ部門で国際マルチビジネス専門学校の武田ゆずさん、YP部門で京王プラザホテルの岩下海斗さんが表彰された。
20回目の節目を迎えた業界最大規模の技能コンクール

森本昌憲会長は開会式で「私たちのこのHRSのサービスコンクールもおかげさまで、今年20回目を迎えることができました」と挨拶し、参加者への期待を表明した。
会長は「皆さん方も、2028年に日本の愛知県で開かれます技能五輪、技能のオリンピックの世界大会ワールドスキルズコンペティションの日本代表選手として、レストランサービス部門の候補として、選手代表としてのスタートの場がここにあるということを大いに自負を持ってスタートしていっていただきたい」と述べた。
同コンクールは厚生労働省と東京都が後援し、業界関係団体、企業のサポートのもと実施される若手サービスパーソンを対象とした全国規模のコンクール。カレッジ部門と30歳以下の社会人を対象としたヤングプロフェッショナル部門に分かれて競技を行い、優勝者には厚生労働大臣賞が贈られる。
技術を競うコンクールは、大きなモチベーションとなるとして、HRSでは東京ビッグサイトを会場に毎年サービスコンクールを主催し、料飲業界で働く人々の向上心を応援している。今大会でも、優秀選手を選抜し、技能五輪全国大会にHRS推薦選手としてのエントリーも行う。
筆記試験から決勝まで厳正な審査で技能を競う
競技は一次審査として事前にレポート提出が行われ、両部門共通テーマは「料飲業界における、これからの20年と求められるサービスとは?」だった。
当日は筆記試験35問からスタートし、本選では両部門共通でカクテルの作成とフルーツのカッティングが課題となった。
ヤングプロフェッショナル部門の準決勝では白ワインの抜栓とサービス、魚料理のフィルタージュが実施された。カレッジ部門の決勝では真鯛のフィルタージュとチェリージュビレの作成が課題となった。
ヤングプロフェッショナル部門の決勝では肉料理のデクパージュ、チーズと食後酒のサービスが行われた。

課題と実技





協賛企業と審査体制の充実

今回の大会では多数の企業が協賛し、コンクールを支えた。ゴールドスポンサーにスフォルゼスト、シルバースポンサーにアサヒビール、スポンサーとしてキリンビール、サッポロビール、株式会社ツヴィーゼルフォルテスタジャパン、サントリー、藤次郎、株式会社エール、ネスレ・ネスプレッソ、株式会社中尾アルミ製作所、日本金属洋食器工業組合、中沢乳業、メルシャン、土佐しらぎく・仙頭酒造場、株式会社ニギタ等が名を連ねた。
一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会、一般社団法人日本ソムリエ協会、NPO法人チーズプロフェッショナル協会からの専門審査員も参加し、多角的な視点での審査が行われた。
特別審査員として一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会副会長の高野克也氏がカクテル課題の審査を担当した。
審査委員長を務めた森山明氏(ホテルオークラ東京 料飲部 宴会サービス課 マネージャ―)は「女性の審査員を今回から2名配置しまして、多様で多角的な見地から審査を行えるような形にさせていただきました」と説明し、審査体制の充実を図ったことを明らかにした。

技能向上と現場での活用を重視

森山審査委員長による総評
森山審査委員長は総評で「実技の方は皆さんすごく練習をされておりまして、ほぼ差がつかないような状況でしたが、筆記の点数の差が大きく開いている」と指摘し、筆記試験の重要性を強調した。
筆記試験は正誤法を採用し、合っているものから間違ったものを引く方式で、全体の35%が筆記問題の配点となっている。
今回新しく導入されたチーズサービスと食後酒について、森山氏は「現場でも使えるようなことだと思っております。現場で使えるようなスキルや知識が勉強できれば良い思い、今回課題の方にも入れさせていただきました」と説明した。
「ぜひ、コンクールのためだけの練習ではなく、現場で活かせるような勉強をしていただきたい。現場で使ったものをコンクールで競い合って、切磋琢磨してください。そうすることで、さらに良くなっていくと思います」と現場での活用を重視する姿勢を示した。
金賞受賞者のコメント

YP部門金賞の原口さん(=写真右端)

金賞受賞の喜びを語る原口さん

カレッジ部門金賞の宮崎さん(=写真左端)

森本会長から金賞の賞状を受け取った宮崎さん
カレッジ部門金賞を受賞した宮崎優菜さんは「このような受賞をいただいてとても大変嬉しく思います。本当にありがとうございました」と喜びを表現した。
ヤングプロフェッショナル部門金賞の原口奈々来さんは「3回戦になって3年目、やっとこの思いで金賞をいただくことができました。ありがとうございます」と感慨深く語った。
原口さんは「今まで専門学校(日本ホテルスクール)の頃からやってきたことが一つも無駄になることなくこのコンクールで活かせたと思います。会社の先輩方や先生方、みんなが見守ってくださっている。この場でこういった結果を残すことができて大変嬉しく思います」と関係者への感謝を述べた。
さらに「これからは自分の成長することを第一歩に考えつつ、新しいレストランサービスに興味を持ってくれる後輩たちにも一緒になって一歩一歩成長していきたい」と今後の抱負を語った。
業界の未来への期待と課題
森本会長は開会式で業界の現状について「このホスピタリティ業界にあって一番大事なのはやはりAIとの融合もございますけれども、最後は”人”です。そして、その”人”が行う最高のサービスがやはり一番大事なのです」と人間のサービスの重要性を強調した。
森山審査委員長は「このHRSサービスコンクール20回を迎えまして、今後、技能五輪もあります。2028年にはワールドスキルズという23歳以下の国際大会がございますので、ここをステップに技能五輪やワールドスキルズを目指していただきたい。また、レストランサービスは国家資格になりますので、そちらをぜひ取得していただき、ちょうど来週大阪で開催されますが『技能五輪』なども目指していただきたい」と将来への期待を語った。
表彰式と副賞

表彰式では各賞に対して賞状、盾、メダル、目録が授与された。金賞受賞者には厚生労働大臣賞も併せて贈られ、所属校や企業にも最優秀学校賞、最優秀企業賞が後日贈呈される。
ベストレポート賞の表彰は観光経済新聞社kankokeizai.com編集長の江口英一氏が、ベストパフォーマンス賞の表彰は一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会副会長の高野克也氏がそれぞれプレゼンターを務めた。
目録プレゼンターは、銅賞にNPO法人チーズプロフェッショナル協会理事の加古美由紀氏、銀賞に一般社団法人日本ソムリエ協会会長の上野文和氏、金賞に大会ゴールドスポンサーのスフォルゼスト株式会社代表取締役の菊池博貴氏が務めた。
各部門の詳細結果
カレッジ部門では16名が本選に参加し、4名が決勝に進出した。決勝進出者は宮崎優菜さん(沖縄職業能力開発大学校)、葛本美沙さん(大阪外国語・ホテル・エアライン専門学校)、中岡薫音さん(大阪外国語・ホテル・エアライン専門学校)、手束菜稀さん(東京ホテル・観光&ホスピタリティ専門学校)だった。
ヤングプロフェッショナル部門では27名が本選に参加し、8名が準決勝に進出。準決勝進出者は加藤杏奈さん(ホテルアソシア高山リゾート)、篠原将吾さん(名古屋マリオットアソシアホテル)、NONG THE VUさん(パレスホテル東京)、伊藤寛人さん(ミリアルリゾートホテルズ)、岩下海斗さん(京王プラザホテル)、竹村菜央さん(ホテルアソシア静岡)、秋廣唯さん(ザ・プリンスパークタワー東京)、原口奈々来さん(帝国ホテル東京)となった。
その後の準決勝で3名が決勝に進出し、最終的に原口奈々来さんが金賞、篠原将吾さんが銀賞、岩下海斗さんが銅賞を獲得した。
競技時間はカレッジ部門本選が11分間、ヤングプロフェッショナル部門本選が10分間、準決勝が9分間、カレッジ部門決勝が15分間、ヤングプロフェッショナル部門決勝が18分間で実施された。
今大会を通じて、日本のホテル・レストラン業界の若手サービスパーソンの技能向上と、2028年技能五輪世界大会に向けた人材育成の重要性が改めて確認された。
【kankokeizai.com 編集長 江口英一】




