湯河原 富士屋旅館、令和初の国の登録有形文化財に登録決定


 湯河原 富士屋旅館は、令和初の国の登録有形文化財への登録が決定した。

際コーポレーション株式会社(本社:東京都目黒区大橋2-22-8 代表取締役:中島武) が運営する、富士屋旅館(神奈川足柄下郡湯河原町宮上557)の旧館(旧呼称:3号館)が、令和元年11月15日(金)に開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決および官報告示を経て、新たに登録有形文化財(建造物)へ登録されることが決定しました。

神奈川県湯河原町で明治9年にはすでに温泉宿を営んでいたとされる「富士屋旅館」は、2002年に一度惜しまれつつも閉館しました。17年の歳月を経て、2019年2月に生まれ変わった現在の「富士屋旅館」は、今回登録有形文化財(建造物)への登録が決定した「旧館」と、昭和20年代に京都から運んだ材木でつくったとされる「洛味荘(らくみそう)」、骨組みだけを残し新しく造り変えた「新館」の3つの建物から成り立っています。日本最古の歌集「万葉集」で唯一、温泉についてうたわれた湯河原において、「富士屋旅館」は歌舞伎や落語の演目にもその名が登場する、この地を代表する老舗旅館です。

特に今回、登録有形文化財(建造物)への登録が決定した「旧館」は、現存する「富士屋旅館」の建物のなかでも最も歴史が深く、現在の建物は、大正12年に建てられたとされています。

藤木川に沿って建てられた二階建ての楼閣風建築には、客室の座敷飾り、縁側、廊下など外回りの建具に繊細な組子入り硝子戸が多用されるなど、上質な大正期の建築の特色が色濃く残されています。  関東大震災でもほぼ被害を受けず優美な姿をいまに残す「富士屋旅館」の「旧館」。近代和風建築を知るうえでも貴重な建造物と認められ、今回の登録に至りました。湯河原町では過去に有形文化財に登録された宿が3軒(上野屋、藤田屋、伊藤屋)あり、富士屋旅館は4軒目の宿となります。

【住所】神奈川県足柄下郡湯河原町宮上557          【電話】0465-60-0361
【客室数】18室/新館10室(和室2、洋室8)/旧館(和室4室)/洛味荘(和室4室)
【アクセス】JR東海道線「湯河原」駅よりバス約10分「藤木橋」下車すぐ
【旅館公式サイト】http://fujiyaryokan.jp
【温泉】源泉かけ流し(ナトリウムー塩化物泉)男女別温泉大浴場(入れ替えなし)
【基本料金】1泊夕朝食付き 1名 22,000円~(税サ込、入湯税別 1室2名の場合)
【レストラン】瓢六亭(ひょうろくてい) 鰻、海鮮、和食
【レストラン公式サイト】https://kiwa-group.co.jp/hyourokutei_yugawara/
【公式Facebook】富士屋旅館 湯河原 @fujiyaryokan.yugawara            【公式Instagram】Fujiyaryokan_Yugawara

【旧館】
現存する「富士屋旅館」の建物の中でもっとも古い「旧館」。
檜の三寸六分角柱を用いた細身の建築で、外から見ると瓦葺入母屋造の角屋が双楼風に突き出しており、約100年の時を経てよみがえった富士屋旅館のシンボルとなっています。

【洛味荘】
旧館と渡り廊下でつながる「洛味荘(らくみそう)」。もとは8室あった客室を4室に間取り変更し、ゆったりとした造りに。特徴的な建具などからも当時、洛味荘が贅を尽くして造られたことをうかがえます。

【新館】
傷みが激しかったため骨組みだけを残し、2019年、古き良き時代の日本のホテルをイメージした和洋折衷の建物へとリニューアル。洋室8室と唯一当時のレイアウトを残した和室2室がある、洗練された機能性の高い建物です。

———富士屋旅館について———-
由緒・沿革

幕末の湯河原には旅館が6軒ほどあったようですが、当時は農業の傍らに宿泊客を泊めるのが主で温泉も外湯であったと言われています。明治30年頃には藤木川沿いに10軒程の温泉旅館が建ち、静寂な温泉保養地として文士らに知られていました。大正7年に出版された「湯河原案内」には14軒の温泉旅館が紹介されており、中でも伊藤旅館、富士屋、中西旅館、天野屋は豊かな自然と庭園の中に本館、別荘など多くの建物が建ち、優れた風致を形成していたといわれています。
大正期の建物のうち上野屋本館と富士屋3号館(現呼称旧館)および天野屋別館は2建て楼閣建築であり、中でも大正12年築の富士屋は規模が最も整っており、客間の座敷飾り、縁側廊下の建具などにも繊細な組子、硝子戸を多用するなど大正期の特徴をよく表していると言われています。

設年代・改修年代
富士屋旅館は明治9年に旅館を始めたと伝えられています(明治36年当時の湯河原温泉地図に屋号が記されている)。先の「湯河原案内」によると、富士屋旅館は雅称を聚芳園と言い、藤木川に架かる橋を渡ると広い園中には楼閣、別塁が列し、園内の花卉は四季絶えることがなかったと言われています。
昭和43年に建て替えられる以前の本館は幕末期の建物であったと伝えられ、橋を渡り庭に出ると正面に玄関があったと言われています(現在の新館玄関部)。
その後、大正12年に橋の左側に3号館(現在の旧館)と呼んでいる建物が新築されました。同年9月の関東大震災時には2階も建ち上がっていましたが被害は少なかったといいます。
この建物に渡り廊下で続く、西側の洛味荘は昭和26年から29年に京都より材木を運んで建設されたといいます。

 
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