星空観察などで集客 横手山・渋峠スキー場、グリーンシーズン対策本腰


抜群の眺望を誇る山頂テラス

 長野県山ノ内町で「一茶のこみち 美湯の宿」や「志賀パレスホテル」を経営する斉須正男氏が志賀高原の横手山・渋峠スキー場の運営に乗り出し、初めてのウインターシーズンを終えた。「スキー場を観光資源と捉え、通年営業で展開する」(斉須氏)にはグリーンシーズンをどう乗り切るかが鍵を握る。地形を生かした星空観察などを企画、勝負を賭ける。

 同スキー場でリフトやスカイレーター(動く歩道)、食堂、展望台などを運営していた会社が破産、昨年7月に再生法の手続き開始決定を受けた。名乗りを挙げたのが斉須氏。スキー場運営は素人だが「旅館経営で培ったおもてなし精神とアイデアで挑む」と意気込む。

 斉須氏は親交のあるタナベスポーツ会長の田辺宰至氏らと組み、S&T観光開発社を設立。スキーワールドカップなどで活躍した海和俊宏氏や元観光庁長官で現大阪観光局理事長の溝畑宏氏がアドバイザーとして支援する。

 同スキー場は最大標高2307メートルで、志賀高原で最も高い場所に位置する。雪質もよく、5月下旬まで滑ることができ、スキーヤーやスノーボーダーも注目する。

 山頂にある樹氷(スノーモンスター)は蔵王の樹氷とそん色なく、スノーモービルや雪上車での樹氷見学を実施。また、湯田中の温泉街から車で8分ほどの地獄谷野猿公苑のスノーモンキーは外国人にも人気だが、樹氷見学と組み合わせることで外国人客にもアピールした。

 2018~19年のウインターシーズンは4月以降に積雪が増えたこともあり、5月27日まで営業。同1日には令和元年を記念し、午前0時から改元を花火で祝う初滑りイベントを実施、約40人が参加した。

 こうした新たな試みが奏功し、シーズン全体について「来場数は把握していないが、リフト券の販売は前年よりよかった」と話す。

 来シーズンは地元や近隣県へのアピールに力を入れるとともに、団体客を取り込むため国内外の旅行会社への誘致活動を積極的に行う。

 日本一高い山頂テラスからの景色は抜群。天気がよければ北アルプスや富士山、日本海などを見ることができ、星空観察に最適の場所だ。

 山頂テラスの下に広いスペースがあるが、ここにベンチやテーブルを置き、9月をめどに「天空テラス満天ビューステージ」としてオープンする計画。

 テラス内には日本初というクランペット(英国発祥の家庭的な焼き菓子)専門店「クランペットカフェ」が営業しており、近くには「雲の上のパン屋さん」の愛称で知られる「横手山頂ヒュッテ」もある。これらと連携することで、食の楽しみも提供する。

 新しい取り組みとして、スカイレーター(標高差35メートル、全長約200メートル)を上りのみの一方通行にする。「のぞき」(横手山の中腹にある駐車場・展望所。ここからの眺めは抜群といわれる)から上り、渋峠へと降り、無料シャトルバスでのぞきへ戻るルートで、横手山の自然の雄大さを感じてもらう。

 志賀高原では6月29日から「天空フェス」が始まる。志賀高原山の駅でのイベントを皮切りに、「横手山のぞき」(9月21日)、「志賀高原歴史記念館」(9月7日)など5会場で開催。

 横手山のぞきイベント当日は足湯に浸かりながら星空観察ができる。料金は大人2千円、小学生千円。

 斉須氏は距離的に近い群馬の草津温泉や万座温泉とも連携した、広域観光ルート作りも視野に入れる。実現すれば四季を通じた楽しみ方が提供でき、「スキー場の運営も軌道に乗る」と自信を見せる。


抜群の眺望を誇る山頂テラス

 
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