写真左:東京大学 社会連携本部長 津田敦氏、中央:能登町長 吉田義法氏、右:日本航空 ソリューション営業推進部長 鳥井大地氏
能登で顕在化した地域課題を次世代の学びへとつなげる」
石川県能登町と国立大学法人東京大学の社会連携本部、日本航空株式会社(JAL)の社内ベンチャーチーム「W-PIT」は5月14日、「創造的復興及び未来を担う人材育成に関する連携協定」を締結した。
本協定に基づき、三者がともに学び合う探究学習プログラムを2026年6月より実施する。
能登町の中高生、東京大学の学生及び教職員、JAL社員が地域を越えて学び合う仕組みを構築。東日本大震災からの復興の歩みを学び、地震から3年を迎えた能登において顕在化している地域課題と向き合い、その学びを将来の災害や地域課題への備えにつなげることで、日本の地域の未来を自ら考え、行動する人材の育成を目指す。
能登半島では、地震から3年目を迎える中で、復興に向けた歩みと並行して多くの課題が浮かび上がっている。
人口減少、高齢化、地域産業の継承、地域コミュニティの維持——これらは能登固有の問題にとどまらず、日本各地が直面し得る構造的な課題でもある。
能登町、東京大学、JALの三者は、それぞれ発災当初より能登に関わり、支援活動や地域との交流を重ねてきた。本協定は、これまでの連携をさらに深め、能登の復興に貢献するとともに、能登で顕在化した地域課題を次世代の学びへとつなげることを目指すものだ。
協定締結式では、能登町長の吉田義法氏、東京大学社会連携本部長の津田敦氏、日本航空ソリューション営業推進部長の鳥井大地氏が出席し、協定書を手に並んだ。

写真左:東京大学 社会連携本部長 津田敦氏、中央:能登町長 吉田義法氏、右:日本航空 ソリューション営業推進部長 鳥井大地氏
「過去」「現在」「未来」の3段階で構成される探究プログラム
探究学習プログラムは、「過去」「現在」「未来」の3段階からなる。
第1段階は「過去からの学び」だ。能登町の中高生、東京大学の学生及び教職員、JAL社員が東日本大震災を経験した東北地域を訪問する。15年間の復興の歩みや、被災地域が直面してきた課題に直接触れることで、理解を深める。
第2段階は「現在の能登の探究」。東京大学の学生とJAL社員が定期的に能登町を訪問し、能登町の中高生とともに地域の方々や事業者と交流・対話する。復興現場で起きている課題を見つけ、解決に向けた探究活動に取り組む。
第3段階は「未来への提言」。能登町の中高生、東京大学の学生及び教職員、JAL社員が、南海トラフ地震発生時に被害が想定される地域等を訪問し、能登や東北での学びを踏まえた提言活動を行う。被災地での学びをその地域に留めることなく、日本各地の地域づくりや防災・復興に活かすことを狙いとしている。
三者それぞれの役割と参加対象者
三者はそれぞれの知見や強みを活かし、地域を越えて学び合う探究学習プログラムを実施する。
能登町の役割は、町内の中学校・能登高校との連携、「のと未来共育協議会」の設立を通じた地域関係者との接点創出だ。参加対象者は能登町内の中高生となる。
東京大学の役割は、学生及び教職員の派遣、教育的・研究的観点からの本プログラムの意義深化と学びの質の向上。参加対象者は学部学生・大学院学生および教職員だ。
JALの役割は、「青空留学・Campus Everywhere」等で培った知見を活かした本プログラムの企画・推進、伴走社員の派遣、移動支援。参加対象者はJALグループ社員となる。
なお、東京大学ではこのたび基金を設立し、活動に賛同した幅広い方々からの寄付を原資として、学生及び教職員が本取り組みに係る活動を行う。
能登を「実践的な学びの場」と位置づけ
本協定では、能登を「日本の地域の未来を考える実践的な学びの場」と位置づけている。
「能登と東京大学とJALは、本協定に基づいた能登半島地域での先駆的な産学官連携の取り組みを通じ、地域を越えた学びと交流を促進し、未来を担う人材の育成と能登の復興に貢献してまいります」と、三者は共同で表明している。
産学官の三者がそれぞれの強みを持ち寄り、震災復興の現場を教育の場として活用するという試みは、被災地と都市部、そして民間企業を結ぶ新たな形の人材育成モデルとして位置づけられる。




