旅館は7ヵ月ぶり2桁 景気動向調査9月


 帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の9月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は、旅館・ホテルが12.4と、今年2月以来、7カ月ぶりの2桁台となったが、「依然として厳しい水準」(同社)。全業種計は31.6で、前月比1.9ポイント増と、4カ月連続で上昇した。「国内景気は、業種によって回復に差が見られたものの、持ち直しの動きが表れた」(同)。

 調査は全国の企業2万3695社に実施。1万1689社から有効回答を得た。

 DIが10業界中9業界、51業種中45業種で前月から上昇した。ただ、「サービスや建設などの業界で、業種により回復速度に差が見られた」(同)。

 10の業界のうち、サービスは前月比2.1ポイント増の33.9。サービスの中の15業種では、旅館・ホテルが前月比6.4ポイント増と、5カ月連続で上昇するとともに、7カ月ぶりの2桁台となった。このほか飲食店、情報サービスなど11業種が上昇。電気・ガス・水道・熱供給が前月並み。娯楽サービスと放送の2業種が低下した。

 小売は1.8ポイント増の32.1と、2カ月ぶりに上昇。9業種のうち、飲食料品小売など7業種で上昇、家具類小売など2業種で低下した。

 運輸・倉庫は2.7ポイント増の28.1と、3カ月連続で上昇した。

 不動産は2.5ポイント増の35.6と、5カ月連続で上昇。「他の業界と比べ、持ち直しの動きが強い。企業からは『リモートワークを考慮し、都市部から地方への住み替えが増えてきている』との声も見られた」(同)。

 10の地域別では、2カ月ぶりに全地域で上昇した。「各地域の主力産業の持ち直しが域内経済を押し上げた」(同)。

 南関東(1.9ポイント増の32.3)はテレワークの広がりで郊外住宅の需要が高まる中、不動産業の景況感が埼玉、神奈川などで新型コロナ前に迫る水準まで回復した。

 規模別では、大企業、中小企業、小規模企業の全規模が4カ月連続で上昇した。

   ◇   ◇

 景況感に関する企業からの主な声は次の通り。

 「Go Toトラベルや修学旅行などで、観光客は少し増えているようではあるが、大幅な売り上げ改善には結び付いていない」(現在、悪い、貸事務所)。

 「Go Toキャンペーンの恩恵もほとんどなく、バスが稼働しない」(現在、悪い、一般貸切旅客自動車運送)。

 「新型コロナウイルスの影響で国際間の人の移動が事実上ストップしているため、ビジネスが成り立たなくなっている」(現在、悪い、一般旅行)。

 「個人客はGo Toトラベルの影響で良いが、団体客の動きが悪い」(現在、どちらでもない、旅館)。

 「レンタカーの予約数が増えている」(現在、良い、自動車賃貸)。

 「生活様式の変化で移動需要も変わり、旅行需要が減退」(先行き、悪い、旅行代理店)。

 「業務渡航のみならず海外への観光旅行も復活の道は険しい」(先行き、悪い、一般旅行)。

 「Go Toトラベルが1月末で終了する予定であり、例年だと2月は最悪の月。大いに悪化すると想定している」(先行き、悪い、旅館)。

 「Go Toトラベルに期待も、感染症の動き次第では悪化する」(先行き、どちらでもない、一般貸切旅客自動車運送)。

 「東京五輪の開催やインバウンドの復活などがあると見込んでいる」(先行き、良い、貸事務所)。

 
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