ベトナムの人材を旅館で受け入れ 全旅連、政府機関・大学と調印


「常務理事・理事合同研修会」で事業を説明した

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、多田計介会長)はベトナムから労働者を受け入れる事業を行う(一部既報)。ベトナムのハノイ大学と7月17日、「人材交流・教育プログラム開発事業等に関する覚書」に調印。ベトナムの政府機関・観光総局とは同19日、「人材交流に関する覚書」に仮調印し、この10月にも本調印する。旅館・ホテルの人手不足対策とともに、ベトナムの人材が母国に帰国後も有利な条件で働けるよう、両国にとってメリットがある事業にする。

 秋の臨時国会で入管法が改正され、来年4月から外国人の新たな在留資格が設けられる予定だ。宿泊業など人手不足が深刻な業種で働く人を対象に、最長5年の在留資格を与える。資格を得るには業界ごとに実施する仕事の技能と日本語の試験に合格する必要がある。技能を学び、母国に持ち帰ることを目的に日本で働く最長5年の技能実習生は試験を免除。技能実習の修了後、新しい在留資格に移行すれば最長10年の在留が可能になる。

 全旅連はこれら技能実習生や新在留資格者らを日本の旅館・ホテルで受け入れる事業を行う。

 全旅連とハノイ大学が「越日高度人材育成委員会」を設立。日本の旅館・ホテルで働くことを希望する同大学の卒業生らを対象に、来日前の事前教育を行う。旅館・ホテルの接客の作法や、日本流の衛生管理を学んでもらうもので、良質な人材の確保や、労働者と受け入れ企業のミスマッチを防ぐ狙いがある。事業にはホーチミン市国家大学人文社会大学など、他の4大学も参加を予定。多くの大学の参加を得て人材の量を確保する。

 同委では日本での就労に期間などの制限がない「高度人材」や、留学生、インターンシップ生の職場紹介支援なども手掛ける。

 全旅連は新しい組織「全旅連・国際人材支援機関」(仮称)も創設。来日した技能実習生らを監理する監理団体に登録してもらい、その業務が適切に行われているかどうかを確認する。実習生の給与をピンハネするなど悪質な団体が宿泊業の外国人材受け入れに関与しないよう制度化する。

 外国人材を対象に「クールジャパン・マイスター認定制度」(仮称)も設ける。旅館・ホテルにおける仕事の技能や日本語スキル、茶道や華道、書道、着付けなど日本文化のスキルについて試験を行い、合格者を「クールジャパン・マイスター」と認定。認定を受けた技能実習生らが母国に帰った際、母国での就職が有利になるようにする。

 ベトナムに的を絞った理由について全旅連は(1)親日家である(2)勤勉である(3)宗教観が同じである(4)アジア圏の中で人口割合に対する大学数が最も多い(知識レベルが高い)(5)家族愛が強く、互助の精神が高い―などを挙げている。

 全旅連の多田計介会長らは10月17~22日の日程でベトナム入りし、ベトナム観光総局と人材交流に関する覚書に本調印する。

 事業は8月30日、東京で行われた全旅連の「常務理事・理事合同研修会」で竹村奉文アドバイザー(関東学園大学経済学部経済学科教授)らが説明した。

 竹村アドバイザーは「外国人材は国内のさまざまな業種にとどまらず、少子化が進む他の先進国との取り合いになる」と、事業を早急に進める考えを示した。


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