エクスペディアホールディングスの森本部長
宿泊予約サイトをはじめ世界規模で旅行プラットフォームを運営するエクスペディアグループはこのほど、宿泊施設向けのオンライン予約管理システム「パートナーセントラル」に顧客の旅行動向データの分析ツールを追加した。同グループが蓄積し、リアルタイムに更新している情報を基に、国・地域別の客室単価、宿泊数などの過去データや分析結果を宿泊施設に提供する。データに裏付けられた戦略の立案を支援し、販売拡大を後押しする。
追加された分析ツールは、「お客様情報（Ｇｕｅｓｔ Ｉｎｓｉｇｈｔｓ）」。期間、市場ごとに顧客の旅行動向データの把握が可能。居住地、同伴者、平均客室単価、平均宿泊数、平均リードタイム、平均キャンセル率などの実績や分析結果が表示される。
自社施設や競合施設に宿泊した顧客の旅行スタイルや旅行パターンが把握でき、宿泊プランの企画に活用したり、高単価の顧客グループにターゲットを設定したりできる。最新データに基づいて課題を見つけ、適切な対策が講じられそうだ。
エクスペディアホールディングス営業開発部の森美月本部長は「ビッグデータをスマートデータに変えて、宿泊施設にリアルタイムに提供している。新たに追加された『お客様情報』の活用によって的を絞ったマーケティングが可能だ」と説明している。
11月15日に東京都内で開かれた記者説明会では、パートナーセントラルの活用策について東武ホテルレバント東京（東京都墨田区）の宿泊部宿泊課セールス・予約レベニューマネジャー、池田穣氏が発表。競合施設の数値を下回っていた施設情報の閲覧数と平均宿泊日数を改善し、販売客室数の増加に成功した事例を紹介した。
同ホテルではパートナーセントラルの分析結果を基に、閲覧数の対策として掲載画像の見直しや販売客室タイプの拡大、1年先の販売対応などに取り組んだ。宿泊日数の対策では、「お客様情報」で把握したデータを活用し、連泊販促プランの設定、国・地域別プロモーションを強化した。
池田氏は「自社だけでは集められないデータが施設向けに分かりやすく表示され、時間をかけずに活用できる。そのデータに基づいて戦略を立てることで、販売客室数の増加を達成できた」「パートナーセントラルの利用にはサポート窓口もあり、専任担当者でなくても使いやすいのではないか」と語った。
パートナーセントラルでは他にも、「施設の分析」ツールで自社施設の露出度や予約転換率、単価などの状況がグラフやリポートで表示される。「競合施設」ツールでは、選択した競合施設5～20軒の平均値の各種データが把握できる。
エクスペディアホールディングスの森本部長
