【VOICE】観光DXと「人材」 静岡県観光協会 事業統括ディレクター 上田和佳氏


上田氏

観光DXのその先には!

 新型コロナウイルス感染症の影響により、観光マーケットが著しく縮小し、非常に厳しい状況が続いてきた。そのような状況からの脱却と、観光地が抱える課題の解決に向けて、地域や関係事業者とこれまで以上に連携を図りつつ、「観光DX」の推進が極めて速いスピードで行われ始めている。業務デジタル化による効率化はもとより、特にデジタル化によって収集できるデータ分析と活用により、ビジネス戦略の再検討や、新たなビジネスモデルの創出といった変革を行うことが重要となってくる。

 当協会においても、まさに「観光DX」を進化させるため、悪戦苦闘しながらも全力で推進している。そのきっかけは、振り返ると2019年実施の“とある”静岡キャンペーンであった。現状分析のためのマーケティングに資するデータが無い(少ない)ことが改めて認識され、静岡県内35市町・各DMO・各観光協会がいつでも自由にアクセスでき、分析でき、戦略を立てることができるデータの集まる場所が欲しい!となったのである。これが「観光DX」へつながる第一歩となるDMP構築の始まりだった。現在、「静岡県データ分析プラットフォーム」は構築途上であるが、その中身は「観光予報プラットフォーム」を基盤とした、宿泊データおよび人流データを集積している。今後は各市町・DMO独自データのアップロード、日本人・外国人の人流データ高度化と消費額データをプラットフォームへ加えることでDMPはさらに完成に近づくと確信している。

 しかしながら、ここで新たな課題が噴出した! 利用するのは「人」であるということだ。「静岡県データ分析プラットフォーム」の存在は知っていても「利用方法がわからない」「分析経験が無い」、習熟度が上がっても「部署異動による担当者の変更」等々。令和4年度はまさに観光デジタル人材育成の年となり、利用状況確認、説明会開催、モデル市町による伴走支援等を行っている。

 地域における観光消費額の拡大により、「地域経済の持続的な発展」と「観光を通じた旅行者・住民の幸せ」を目指しているわれわれにおいては、県内35市町・DMO・観光協会のすべてが「静岡県データ分析プラットフォーム」による個別エリアの分析・対策実行・PDCAを実行し、県域DMOを担っている当協会が県域データ分析・戦略や利便性の高いDMP構築と人材育成、各地伴走支援を行っていきたい。

 「観光DX」の先には、必ず「人材」が必要であり、その両輪がそろってこそ、未来が開かれるのではないだろうか。

 

上田氏

 
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