【2021新春トップ座談会】JTB × KNT-CTホールディングス × 日本旅行 × 東武トップツアーズ


旅行業、今年の巻き返しはいかに

国内活性化へ。旅館・ホテルとの連携が不可欠

 2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催。世界中から観戦する人々が来日し、国内の隅々まで多くの観光客が押し寄せる―。旅行業界の誰もがそんな光景を予想したが、新型コロナウイルスの発生によって無残に打ち砕かれた。政府によるGo Toトラベルキャンペーンで客足は一時、回復をみせたが、先行きは不透明だ。ウィズコロナ・アフターコロナ時代の旅行業はどうあるべきか。本紙恒例の旅行業大手4社トップによる新春座談会で語っていただいた。

出席者(順不同)

JTB社長 山北栄二郎氏

KNT-CTホールディングス社長 米田昭正氏

日本旅行社長 堀坂明弘氏

東武トップツアーズ社長 坂巻伸昭氏

司会=本社取締役編集長・森田 淳

20年の旅行業界を回顧

 ――(司会)2020年は新型コロナウイルスの影響を大きく受け、旅行業界にとってかつてない厳しい1年となった。改めてこの1年の回顧を。

 

山北氏

 

 山北 年初はまさかここまで長引くとは、予想をしていなかった。3月ごろから売り上げが少しずつ減少し始め、4月、5月はほぼゼロに近い状態にまで陥ってしまった。

 そうした中で、まずは会社の体質を変え、この状況を乗り越えるために、さまざまな緊急対策、経費削減策を3月の段階で打ち出した。

 ただ、想定以上に売り上げの減少幅が大きく、対策をしてもなかなか追いつけない状況だった。

 一方で、需要回復に向けた動きとしては、JTB旅ホ連(JTB協定旅館ホテル連盟)の皆さまのご協力を得て、地域の需要喚起のための事業を、Go Toトラベルキャンペーンが始まる前に行った。個人のお客さま向けのクーポン施策は、特定の地域については非常に効果があって、起爆剤になったのだが、まだまだ本格的な回復までには至らなかった。

 また、旅ホ連の皆さまのご協力をいただきながら、社員に現地を体験させる研修を行った。緊急事態宣言の時はさすがに実施できなかったが、宣言解除後に現地へ足を運び、各地の状況を学ぶとともに、少しでも現地の最新情報や魅力を発信できるように取り組んだ。そのような取り組みを年度の上半期に行った。

 Go Toキャンペーンが始まってからは、風向きがずいぶん変わった。東京都の除外が解除されるまで、なかなかお客さまが戻らないところがあったが、10月以降東京都がキャンペーンに加わってからは、ロング方面が少しずつ動き始めた。ただ、感染状況によってお客さまの動向も変化し、いまだに先が読めないところがある。

 

米田氏

 

 米田 ニューヨークでテロがあった01年9月11日、私は同じ米国のロサンゼルスにいた。その時思ったのは、われわれの産業は平和産業だということ。その時と同じ感覚を約20年たった今、感じている。

 こんなに一気に人の動きが止まるとは思わなかった。ただ、7月にGo Toが始まり、10月に東京が解禁になった時のお客さまの動きを見て、皆さんやはり旅行が好きなのだと、改めて実感した。

 ワクチンが普及するなどして収束に向かえば、今までの反動もあって、お客さまが一気に動くだろうと期待している。

 ただ、今回のことを契機に、時代が大きく変わるだろうと感じている。時計が早く回っている感じがする。

 DX(デジタル・トランスフォーメーション)、ITの分野で、当社はすさまじく遅れていると分かった。お客さま、あるいは全てのステークホルダーの皆さまと当社の間に情報格差があって、当社の方が先導している意識が今まであったが、今回、そうではないことが分かった。これから逆にわれわれの方から格差を埋めていかなければと思っている。

 年度の前半は経費節減のため、消しゴムで消すように事業を見直してきた。社員にも面倒をかけて、一度絞ったタオルをもう一度絞るようなことを行った。

 ただ、夏になると絞った分をはるかに上回る赤字となり、さあ、どうすると考えたのが、全ての事業を一度すごろくの駒のようにテーブルに投げ出して、将来性のあるものや、何とか黒字が続くだろうという部分だけを拾おうとした。

 こうやって作り上げたのが11月11日に発表した事業構造改革だ。

 相当メスを入れた。これから新たな旅行業を作るという意識で、今、改革のさなかというところだ。

 

堀坂氏

 

 堀坂 とにかく人の動きが消滅してしまった。国鉄、JR西日本時代も含めて40年以上、この業界にいるが、このような経験は初めてだ。われわれは12月決算で、20年度はコロナ前の1、2月の売り上げも入っているのだが、トータルすると今までにない厳しい数字になることは間違いない。

 ただ、米田社長のお話通り、人は動きたいという欲求を持っている。Go Toトラベル開始、あるいは東京解禁によって、その意識が表に現れた。このような状況の中でも、どこか行けるところはないかというお問い合わせをいただいている。

 ニーズは確実にある。そこをどう、リアルエージェントとして取り込むか。宿泊単品ももちろん大事だが、JRや航空機を利用した商品など、われわれが得意とする分野、経済効果が広く波及する分野に、さらにギアを入れて取り組まなければならない。

 しかし、感染状況により年末から、全国一斉停止となり、今後も予断を許さない状況だ。

 われわれはグループ全体の中期経営計画「TRANSFORM(トランスフォーム)2025」を20年にスタートした矢先であった。収支計画を含め修正が必要であり、現在、今までにない構造改革を策定中だ。従来から検討を進めていた課題で方向性は変わらないものもある。特にデジタル化への対応。昨年設置したデジタルイノベーション推進本部を充実させ、昨年末から社長を委員長としたDX推進委員会を設置し、待ったなしの喫緊の課題として、強力に推進する。

 ワクチンが普及し、オリンピック・パラリンピックが開催された後かもしれないが、いずれは国際交流が再開する時期が来る。それまでしばらくはウィズコロナで、感染を抑え込みながら経済を動かす。坂巻社長が会長のJATA(日本旅行業協会)のメンバーともしっかりタッグを組んで、マイクロツーリズムにとどまらず、しっかりと需要を喚起することをわれわれは行わなければならない。

 

坂巻氏

 

 坂巻 20年は旅行業界にとって、かつて経験したことがない1年だった。今までもいろいろな危機があったが、ここまで人と事業が動かなくなったことはかつてなかった。

 旅行業は人を動かし人を集めて、人を交流させる仕組みを作ることが事業のメインだ。ところがそれが全てアウトと言われた。その時、旅行業は本当に何ができるのだろうかと最初に思った。

 Go Toキャンペーンを国に実施してもらったことで、人が動く、人が集い交流するということが素晴らしいことなのだと改めて認識させてもらった。

 いろいろと模索をした。今の状況で何ができるのか、一般の従業員も含めてZoomを使い、議論をした。その中で出たのは、原点に返り、私たちが行動指針で定めている「地域の暮らしと豊かな社会に貢献する」ことだった。

 親会社の東武鉄道と連携し、「ソーシャルディスタンスを保って日光・鬼怒川へ」という商品を作った。人が動かなければ物を動かそうと、各地の自慢の食を家庭に届けるお取り寄せサイト「TABI YOSE(タビヨセ)」を立ち上げたりもした。

 人々の働き方が変わってくるだろうと、新潟県の妙高市とは、ワーケーションに関する業務提携をした。神奈川県の大磯町とも観光振興で提携した。

 これから先、Go Toに頼り過ぎては必ず「Go Toロス」が起きる。Go Toでつないでいる間、次の展開について、しっかり見極めたいと考えている。

21年の旅行業界を展望

――21年の業界展望と御社の取り組み、また業界挙げて取り組むべきことは。

 米田 当社にとっては事業構造改革を遂行することだ。収入面では、個人旅行では10月にスタートしたウェブでのダイナミックパッケージに販売を集中させ、数字を伸ばすこと。

 クラブツーリズムは、従来型の旅行のほかに、「新・クラブ1000事業」を進める。趣味嗜好の合った人たちによるクラブを、最初から千は難しいが、とりあえず100を目指して作り、その後どんどん増やしていこうというものだ。クラブ活動の中で、旅行も派生するだろうという考えだ。6月ごろの始動を目指している。

 個人旅行店舗は縮小するのだが、代わりにウェブでのサービスを充実させる。今まで店頭のテレビ電話システムを使い、行っていた「旅のコンシェルジュ」サービスを、ダイナミックパッケージで展開する。

 今年の大きなイベントは、延期された東京オリンピック・パラリンピックだ。当社はオリ・パラのチームを以前のまま残しており、開催に向けて準備を進めている。大会関係者のバス輸送の仕事を頂いており、1日当たり2500台、ドライバー3千人の確保を先頃できた。観戦ツアーについては、客席の制限がどうなるか分からず、状況を見ながらになる。とにかく成功に導き、次の北京オリ・パラにつなげられればと考えている。

 業界挙げて取り組まなければならないことは国際交流の推進。一気にはいかないだろうから、まずは1国ずつ。例えば台湾、ベトナム、オーストラリアなど、徐々に開国してもらう。行く方も、来る方も、盛り上げないといけない。

 堀坂 Go Toは延長が決まったが、終了後もしっかりと、お客さまの動きを継続させる取り組みが必要だ。

 今年は東北デスティネーションキャンペーン(DC)が4月から半年間行われる。東北全体や、半年間のDCは初めてだ。東日本大震災から10年がたち、復興をアピールする意味合いもある。ウィズコロナでの開催になるかもしれないが、コロナ禍を克服する起爆剤になればと思っている。

 東北以外にも今年は例年の京都に始まり、10~12月は四国4県のDCがある。アフターGo Toになるかもしれないが、いずれにしてもお客さまをしっかり送ることがわれわれの責務と考える。

 オリンピック・パラリンピックは、われわれは公式スポンサーではないが、われわれなりの役割を果たしたい。

 業界としては米田社長が言われた通り、止まっている国際交流に風穴を開けること。全て同時は難しいし、感染状況にもよるが、少しずつでも進めなければならない。予算的な問題はあるが、オリ・パラ後にGo Toのインバウンド版も検討すべきではないか。お客さまの行程を厳密に管理することが前提となるが、効果的なプロモーションになるだろう。

 坂巻 最近、社内で言っているのは、何でも受け身でお客さまの言う通りにする会社は逆に良くないと。お客さまを動かす存在になっていかねばならない。

 今は団体が全く動いていない。どう動かすかだ。今年はオリ・パラという大きな機会がある。安心、安全を確保し、認識してもらうこと。われわれの腕の見せどころだ。

 11月に行われた体操の4カ国の国際大会で、感染対策と導線管理をさせていただいた。初めはお客さまを入れずにと思ったが、それでは進歩がないのでとにかく入れてみようと、2千人のお客さまに入場していただき対応した。

 人的なものだけでは難しいだろうと、お客さまにアプリに登録してもらい、座った場所や動いたところが全部分かるようにした。この方法はオリ・パラの組織委員会やIOC(国際オリンピック委員会)の方にも見ていただいた。

 大会の時、内村選手が「(オリ・パラを)できないとあきらめるのではなく、どうしたらできるかを考えてほしい」と言った。あの言葉はわれわれの胸に突き刺さった。

 われわれ旅行業にとって、人を動かすことが大事だが、感染という観点から諦めたり、思い切ったことができなかったりした。

 「なぜ動かない」ではなく、「どうしたら動くか」を考える。ここが重要だ。

 山北 今年は変わらなければならない年。需要は必ず戻る。今のこの状況で生き延びるとともに、その先に向けて、今までの自分たちを見直さなければならない。

 坂巻社長が原点に返ると言われたが、われわれも同じだ。旅行業の原点とは何か。単に、予約を受けるのではなく、お客さまに旅を楽しんでいただくためのサポートをすることだ。個人、法人と、さまざまなお客さまがいらっしゃるが、お客さまに徹底して寄り添うことが、今年改めてやらねばならないことだ。

 今後は特に着地を意識しなければならないと考えている。観光素材の開発を現地の方々としっかり行っているか。われわれの価値である旅の魅力を生み出す力をもう一度見直さなければならない。

 今はデジタルを抜きには考えられない。米田社長が旅のコンシェルジュとおっしゃったが、こういう寄り添い方をデジタルの力でサポートすることが必要だ。

 良い商品を作っても、流通の仕組みや、伝える力がなければお客さまが知らないままで終わってしまう。デジタルチャネルでしっかりお伝えしなければならない。

 法人のお客さまにも、ただ、サービスを提供するというだけではなく、目的の達成の瞬間にまでしっかりと寄り添うことが大切だ。ここでもデジタルを使うことで、さまざまなソリューションができると考えている。

 オリ・パラは開催することを前提に、この経験を今後のグローバルな事業展開に生かしたい。

 密の状態が問題視される中、旅行も分散化が大きなテーマとなっている。曜日における分散、シーズンにおける分散。実現しないとインバウンドが戻った時も、オーバーツーリズムの問題が再び起きてしまう。この仕組み作りが必要だ。

各社の中期展望

 ――会社の中長期展望について。OTAの台頭もあり、コロナ前から変革が叫ばれてきた。5年後、10年後の自社の姿をどう描くか。

 堀坂 デジタル化と働き方改革。将来を見据えて加速をしなければならない。

 働き方改革は、今回のコロナ禍の一連の対応で特に突き付けられた。会社内での仕事や打ち合わせ、接客、セールスでも、どこまでリアルが必要か。「訪問は遠慮してほしい」というお客さまもいる中で、デジタルの技術を使うことで多くの課題をクリアできた。変えるべきところは、変えていかねばならない。

 ただ、これから5年、10年の中で、リアルがゼロになることはないと思う。コンシェルジュ型など、お客さまにとって魅力的な人的サービスをこれからも模索する。

 オリ・パラの後も22年に北京の冬季オリ・パラと関西でのワールドマスターズゲームズ、25年に大阪・関西万博と、国際行事が目白押しだ。コロナが終息しても、何かが起きる可能性があることを視野に入れながら万全の準備を行っていく。

 ブレジャーやワーケーションなど、新たな人の動きが出始めている。鉄道会社も新しい運賃料金体系を模索している。われわれもこれらの動きを注視したい。

 SDGsもわれわれにとっての大きなテーマだ。課題である一方、ビジネスにもできるテーマだと思っている。

 また、本来の旅行業以外の収益の柱を創っていく必要がある。

 坂巻 すみ分けが必要だ。OTAにはOTAの役割があるのだろう。われわれはその分野に果敢に挑むというよりも、得意分野を伸ばして旅行全体のパイを広げることが大事だと思っている。

 先ほどお話しした体操の国際大会は、LINEさんと組んだ。ここでもすみ分けをした。技術的にできることとできないことがある。明確に打ち出して、できないことは他者と協業する。われわれの事業の今後の方向性だ。

 今までは地域からの人の「出」ばかりを考えていたが、これからは「入り」にも力を入れる。日本は観光立国を目指しているが、首都圏やいくつかの都市だけがお客さまにしっかり対応できるというのでは駄目だ。地域が特色を出すことが大事。金太郎あめではなく、それぞれの良いところを地域の人々と見つけて伸ばすことが今後のわれわれの役割だと思っている。

 山北 坂巻社長がお話された原点回帰。そして着の目線がわれわれも必要となる。「送客」と「誘客」。ともにしっかりと行わなければならない。

 われわれの役割はただ単に宿や交通の予約をデジタル上で受け付けて、動かすことではない。旅先である着地の魅力を広く伝えることが肝要で、そのためには伝える手段を持たなければならない。

 旅マエ、旅ナカ、旅アト、そして日常と旅行にはさまざまなシーンがあるが、お客さまの旅ナカの経験を豊かにすることもわれわれにとっての重要な役割だ。そこにわれわれの存在価値があると思っている。

 米田 今回、私どもが発表した事業構造改革。今はこれを力強く進めていく。

 当社のブランド「メイト」と「ホリデイ」は今回の改革で廃止を決めた。先人が築き上げたブランドをどうするのかと、大激論になったが、結果的に終止符を打つことになり、代わりに新たな旅を提案することにした。今後はブランドではなく社名を前面に打ち出し、近畿日本ツーリスト「国内の旅」「海外の旅」とする。クラブツーリズムは、そのままである。名前とともに商品の作り方も今までとは違ったものにする。

 5年後と10年後は全く違うだろう。今回の改革は4年後を見据えたものだ。ただ、10年後を担う人材は社内に十分いる。このほど社内に「10年後プロジェクト」を立ち上げた。若い社員に会社の10年後を考えてもらう。私はメンバーに三つだけお願いした。一つ目は「アーティストになってほしい」、二つ目は「ホスピタリティの心を維持してほしい」、最後は「業界のリーダーになってほしい」。

 10年後の旅行の姿。私には正確には分からないが、旅そのものがなくなることはないはずだ。われわれの変わらぬ役割は、山北社長が言われた通り、旅中を充実させることだろう。平和産業としてグローバルな動きもより一層活発化しているだろう。

旅館・ホテルとの関係

 ――各社には協定旅館・ホテルと、その組織がある。どのような存在と認識し、今後どのような関係を築いていくべきか。

 坂巻 当社の行動指針「地域の暮らしと豊かな社会に貢献する」。これは連盟の方々とのパートナーシップなしには実現できない。

 地域のことを一番見ているのが地域の方々だ。「送る」「送られる」という関係だけではなく、地域をしっかりと作り上げるパートナーとして、関係を一層強化しなければならない。

 コロナ下で現地を訪問することがなかなかできない。ただ、逆に、メールが従来よりたくさん来ている。今、困っていることとか、当社に対するさまざまなご指摘。直接お会いするとオブラートに包むが、文章では結構辛らつなことも指摘される。若い会員から厳しい指摘を受けて、後でそのお父さまから「すみません」と電話で言われたこともある(笑い)。

 ただ、いずれにしても、連盟はわれわれにとって重要なパートナーであることは間違いない。今まで以上の関係を築いていければと思う。

 山北 私も全く同感だ。今まで以上に(JTB旅ホ連とは)強固な関係を築いていかねばならない。

 コロナでお互い苦しい中、さまざまなアイデアをいただいている。「送る」「送られる」という関係にとどまらず、観光全体の今後について、さまざまな議論ができる関係になっていければ素晴らしい。

 旅ホ連のメンバーにはLINEで連絡を取り合う仲の方もいる。「今日はこんなことがあった」など、忌憚(きたん)なく話をしているが、そのようなパートナーシップが大事だと思っている。

 米田 私もホテルの経験が長く、会員の皆さまの気持ちはよく分かっているつもりだ。パートナーズ会(KNT―CTパートナーズ会)や旅丸会(提携店連合会)の重要性はいささかも変わりはないし、今後もさらに連携を密にしなければならないと考える。

 旅行の分散化が言われているが、閑散期にお客さまをお送りすることがわれわれ旅行会社の大事な役割だと思っている。付加価値を付けるなど、お客さまに喜んでもらえる新たな企画を会員の皆さまとクリエートしたい。

 堀坂 日旅連(日本旅行協定旅館ホテル連盟)には営業推進委員会という若手の経営者の組織があり、テーマを絞ってわれわれ社員と丁々発止議論している。過去の委員会メンバーは今の連盟の中心メンバーにもなっている。

 旅館・ホテルの皆さまもずいぶん世代交代をした。世代は変わっても、私にとっては重要なパートナーであることは間違いない。

 毎年、台湾で行っている「日本の観光・物産博」は、毎回旅連の皆さまに参加をいただき、それぞれの地域のPRに努めていただいている。昨年はコロナの関係で現地入りがかなわず、オンラインでの参加となったが、地域ごとにさまざまな工夫、趣向を凝らして各地の魅力を発信していただいた。変わらぬご協力に改めて感謝を申し上げたい。

 長い歴史を持つ日旅連と当社との関係を、これからも大事にしたい。

各社長のプライベート

 ――社長のプライベートについて。普段の休日の過ごし方は。また、コロナ下での生活の変化など、まずは座談会初登場の山北社長からお聞きしたい。

 山北 休日はコロナの影響もあって、一時歩かなくなったので、今はできるだけ外に出て歩くようにしている。コロナ前より歩くようになったかもしれない。

 動画配信サービスの会員になったので、ひたすら映画を見るという日もある。

 ――どんなジャンルを。

 山北 それはいろいろ。一緒に見る人の趣味にもよる(笑い)。新作はたいてい見るようにしているが、最近は昔の映画にも凝っていて、「ムーラン・ルージュ」などの作品を見た。

 ――海外経験が長い山北社長だが、国内の温泉地などは。

 山北 10年以上海外にいたので、旅ホ連の宿泊施設も意識しながら各地に行くようにしている。

 ――お気に入りの場所などは。

 山北 具体的な場所はなかなか言えないが(笑い)、ジップラインやグランピングなど、体験型のところに結構行っている。

 米田 東京に赴任して1年半がたち、そのうち1年がコロナ下という状況だ。

 最近は大旅行ができず、2日の休みのうちの1日はたまった書類を読んで、もう1日は日帰りで行ける小旅行などをしている。

 各私鉄がお得なフリー切符を出している。最近は毎週のようにそれを使い、電車やケーブルカーやロープウエーに乗ったり、さまざまなところを歩き回ったりしている。来週は電車で南の方に行って、船に乗って房総半島に行く予定だ。とにかく電車が好きで、電車のモーター音を聞くだけでうれしくなる(笑い)。

 堀坂 私は「孫娘」。コロナ禍で私も在宅勤務を経験し、娘夫婦の子どもを預かる機会もあった。

 孫娘との接点ができて、コロナ禍だが素晴らしい日常が生まれた。在宅でもZoomで部下に指示ができたし、孫娘の面倒も見たりと、案外悪くなかった。

 ――お孫さんの年は。

 堀坂 5歳で小学校に入るまであと1年ちょっと。娘と同じでだんだん相手にされなくなるから、今は孫娘に見放されないようにと、接し方の中長期計画を立てている(笑い)。

 坂巻 今まで行ってきたことがコロナで全部できなくなった。落語も聞けず、アイドルのコンサートにも行けず(笑い)、お馬さんのレースも見に行けなくなった。

 何もすることがなくなり、昨年一番力を入れたのは「NiziUプロジェクト」(笑い)。オーディションの配信番組を毎回、フルで見ながら一喜一憂した。

 もう一つ、浅草の知り合いと江戸のファストフードを勉強している。文献を読んで、当時の人が何を食べていたのかを学んだり、実際に食べ物を再現したりした。当時の江戸のそばはみそ味で、再現してもあまり食べられたものではなかったが、結構面白い体験だった。

 でも、一番燃えたのが「NiziU」です。

 一同 (笑い)。

 

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