【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 452】成功する業務マニュアルの作り方7 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、業務マニュアルを上手に作成するための手順を紹介しよう。作成するに当たって重要となるポイントだけでなく、運用・定着化のコツも紹介したい。

 7、立ち方、座り方、歩き方、お辞儀の仕方

 お客さまにとって旅館・ホテルのスタッフの挙動は気になるものである。接客していない時でも常にお客さまに見られているという意識を持たせる必要がある。特に、手待ち時間があり、スタッフ同士の会話が多くなりがちな旅館・ホテルは気をつけよう。

 どうしても気が緩みがちになるので、マニュアルに記載するだけでなく、定期的に相互チェックすることが望ましい。

 正しい立ち方は、さまざまな接客マニュアルで紹介されている。皆さまの旅館・ホテルにあったものを参考にしたり、引用したりして作成すると良いだろう。基本的には、背筋を伸ばして胸を張ること、手は指先までまっすぐ伸ばすこと、両足はかかとをつけて拳一つ分(女性はその半分)開くことが正しい立ち方とされている。

 業務マニュアルには、正しい立ち方だけでなく、間違った立ち方も写真を添えて箇条書きで示すことをおすすめする。間違った立ち方をしているスタッフを注意しやすいからだ。

 代表的なものは、後ろで手を組むこと、重心が片方に寄っていること、足を投げ出していること、腹を突き出していることなどが挙げられる。どこまで許容範囲とするかは、自館がフォーマル路線かカジュアル路線かによるので、社内で相談して決めてほしい。

 正しい立ち方と同様に、座り方、歩き方、お辞儀の仕方も、あるべき姿勢だけでなく、間違った姿勢も写真付きで明示しよう。具体的な内容は、多くの接客マニュアルで言及されているので本コラムでは詳細について言及は割愛する。

 正しい接客動作をしたからといって、接客の口コミ評価で満点をもらえるわけではない。一人一人のスタッフが、お客さまが来館してくれたことに感謝し、また来ていただくことが生活の糧になるということを理解することが必要だ。このことが徹底されているかどうかは、お出迎え、お見送りの際のスタッフの態度に表れる。

 もし、満足のいく成果が出ていない場合には、正しい接客動作だけではなく、なぜこのような接客動作が必要なのかスタッフ教育に力を入れよう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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