【私の視点 観光羅針盤 259】感染症対策 第2フェーズ 地域ブランディング研究所代表取締役 吉田博詞


 感染症対策が各施設単位や業界団体主導で行われるようになり、宿泊施設、飲食店だけでなく体験施設や土産物店等でも展開されるようになってきた。感染症対策として、スクリーンやアクリル板パネル設置、消毒液設置、席の間引き、検温といったことを最低限実施して、感染症対策の掲示を張り出して展開するということは第1フェーズだと考えている。ここはどこも対策ができているが、若干安心している状況に少々危惧している。

 感染症対策は、講じることが目的ではなく、徹底されて、その徹底があるがゆえに、消費者の安心にもつながり、安定的な回復につなげていく必要がある。感染症対策に関しては、第2フェーズをしっかりとやることが求められている。では、その第2フェーズとはどんなものだろうか。七つのポイントとなる。

 1.感染症対策のアップデート

 業界別ガイドライン等も初期段階よりアップデートされており、そこを正しく認識して、常にアップデートし続けて最新対策が実施できている状況を作ってほしい。

 2.定期的なチェック体制

 感染症対策は作って終わりでなく、常に関係者が当たり前にできている状況を確立していく必要がある。飲食店等にトイレの定時チェックシートがあったりするが、それと同じような感覚でチェックされている状況を作って、初めて浸透するといえるだろう。

 3.スタッフ育成

 関係するスタッフには常にリスク理解をしてもらい、当たり前に立ち振るまえる状況と、家族等含めたリスク対策が徹底される状況を作り上げていくことが望ましい。新人等が入った場合の研修はもちろん、関係者全員で定期研修を行うくらいで初めて浸透する。

 4.積極発信

 感染症対策を実施していることを積極的に発信していくことも必要だ。お店の入り口や主要場所、HP等でも最新情報を具体的かつ積極的に掲出して、初めて消費者の安心が確保される。

 5.顧客にお願い・注意徹底

 顧客の誰か1人の不徹底から感染してしまうことも考えられる。頑固な方もいらして、なかなか受け入れてもらえないケースもあるかもしれないが、ここは勇気をもってお願いをしていくしかない。

 6.感染時対策の立案

 どう防いでも、感染者が出てしまうこともあるかもしれないが、その時の対策を立案し、拡大を最小限にするとともに、早期回復シナリオを描く必要がある。

 7.地域全体の取り組み

 地域全体で一定の水準をどう担保できるかも大事なポイントとなる。DMO、観光協会等がより率先して統一基準を設けていくとともに、エリア全体の定期チェック体制やその実施状況の発信も期待したい。

 これら七つの項目を徹底するのは非常に大変だが、当たり前にできる地域はこれから選ばれる地域になるといっても過言ではない。コロナ危機を地域全体での課題解決へ取り組む基盤として定着させ、地域全体の信頼醸成につなげて、なんとか早期回復していってほしい。

 (地域ブランディング研究所代表取締役)

 
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