【私の視点 観光羅針盤 205】まだ間に合うW杯1000億円消費 地域ブランディング研究所代表取締役 吉田博詞


 間もなく、ラグビーワールドカップ(W杯)2019がやって来る。9月20日から11月2日までの全44日間と長期にわたり、約40万人の欧米豪の富裕層を中心とした方が日本にやって来る。決勝リーグ前のプール選だけで10月13日までと24日間にわたって全20チーム、およびその応援団が日本に滞在してくれることになる。

 試合会場が全国12会場、試合と試合の間に日本各地を巡ってくれ、欧米豪のラグビーファンは比較的富裕層で、滞在中に1人当たりの消費金額は100万円以上を使ってくれるとの話もある。

 組織委員会の発表では1057億円の消費が観客からもたらされると予測されている。例えば強豪ニュージーランドの場合、プールBに所属し、全4試合の中で、9/21横浜、10/2大分、10/6東京、10/12豊田と続く。そのあと、仮に1位通過した場合、決勝リーグで10/19東京、10/26横浜、11/2横浜と移動する。

 別の強豪イングランドの場合、9/22札幌、9/26神戸、10/5東京、10/12横浜、10/19大分、10/26横浜、11/2横浜と、北海道から関西、九州と日本各地をぐるりと巡ってくれることが理解できるだろう。かつ、試合と試合の間が移動日であることを考えると、開催地以外の周辺地域にも数多くの人が周遊してくれることが期待される。

 これらの観客において訪日の航空券・ホテルは既に予約済みである。ただ、タビナカでの訪問地やそこにおける食や体験といったものは、滞在中に決める人も多い。欧米豪の方々は、日本文化や食・自然といったローカルなものへの興味関心が高い。一つの体験に1~3万円程度支払ってくれることもよくある。

 ただし、そこにはよりホンモノ性やガイドなどにおける背景の物語の説明があるといい。アクセスが少々悪くてもいいものであれば、タクシーを使ってでも訪ねてくれるものである。

 2020年のオリンピックのタイミングに、世界の方にわが町に来てもらいたいと躍起になっている地域も多いが、オリンピックで飛躍させたいなら、なおさらこのラグビーW杯の期間でできることをやってみてはいかがだろうか。滞在時間・日本各地への誘客効果どちらをとっても地域への効果で考えると、ラグビーW杯にこそ大きな可能性があることに気づいてもらえるだろう。

 オリンピックを前にスポーツメディアの記者やインフルエンサーがこのタイミングで、あなたの地域のことを知って、発信してくれれば、オリンピックのタイミングで、より大きな特集や口コミ効果も期待されるだろう。1年後に控えたオリンピックでの地域の大躍進をさせてほしい。

 主力の10月を考えると1カ月あれば、まだまだできることは豊富に残っている。究極いうと、当日興味を持ってもらい、誘客につなげてもいいわけだ。チャンスをつかめるかどうかはあなた次第。ぜひ今日できることからアイデアを徹底的に書き出してアクションしてみてほしい。

(地域ブランディング研究所代表取締役)

 
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