【焦点課題】Booking.com 北アジア地区統括リージョナルディレクター 竹村章美氏に聞く


竹村氏

北アジア地区代表に就任

日本は旅行に魅力的な国 サステナビリティに注力

 ――アメリカン・エキスプレス、アマデウスを経てブッキング・ドットコムの北アジア地区統括リージョナル・ディレクターに就任された。

 「主にビジネストラベルを扱うアメックス日本旅行の代表、旅行会社、航空会社などの観光関連企業にITソリューションを提供するアマデウスの日本代表を務めさせていただいた。ブッキング・ドットコムを含む各OTAはアマデウスの取引先。日本旅行の方々ともお付き合いは長い。新型コロナ禍で、グローバルOTAは展開先の域内・国内需要を最重要視するようになった。私の前任者はインド人、前々任者は米国人だったのだが、日本国内外の旅行市場に詳しい日本人ということで、私に白羽の矢が立った」

 ――北アジア地区代表としての担当エリアは。

 「日本、韓国、香港&マカオ、台湾の代表という位置づけだ。当社は『すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を』を企業理念に掲げ、世界中のお客さまに思い出に残る旅行体験を提供している。当サイトの検索結果を見ても、日本は旅行先として依然世界からの注目が高く、特にアジアの旅行者にとってとても魅力的な国だ。新型コロナの影響で観光業界はこれまでに経験したことのない事態に直面してきたが、再び安全に旅行ができる日に向けて、国内だけでなく、世界中の旅行者とパートナー施設の皆さまをさまざまな面からサポートさせていただきたいと思っている」

 ――2021年の実績で特徴的な部分は。

 「グローバルベースで見ると、宿泊予約全体における海外宿泊予約(居住国外の宿泊施設の予約)の比率が、第1四半期(1~3月)に15%、第2四半期(4~6月)は25%、第3四半期(7~9月)は33%と徐々に上がった。しかし、オミクロン株の出現により今後の先行きは不透明になってしまった」

 ――第3四半期での海外宿泊予約増の要因は。

 「第3四半期にワクチン接種率が世界的に上昇し、多くの国が新たな旅行形態を発表したことで、主にレジャーを目的とした旅行の再開に対する人々の期待と興奮が高まった」

 ――人々は、旅行したい気持ちを抑えるのが限界に近づいていると。

 「当社では、31カ国・地域の2万4千人の旅行者を対象に『2022年の旅行に関する調査』を実施し、11月に発表した。『来年は、今までに行けなかった旅行の埋め合わせをしたい』と回答した世界の旅行者が昨年比で52%増加した。また日本人の旅行者の74%が『旅はどんな休息やリラクゼーションよりも幸福(ウェルネス)につながる』と、同61%が『旅に出かけられなくなるまで、旅がいかに自分の幸せにとって重要であるかに気付かなかった』と回答している」

 ――在宅リモートワークによるストレスもおそらく蓄積している。

 「2021年は、自宅での仕事とプライベートの時間の境界線が明確でないことが、問題視されるようになった。先ほどの調査では、日本の旅行者の70%が『2022年には休暇の時間は一切仕事をしない時間にしたい』と答えている」

 ――SDGsに対する取り組み状況は。

 「ブッキング・ドットコムとしては『サステナブル・トラベル』バッジの運用を11月から世界中で始めた。地域によって異なる評価基準は、サステナビリティ関連のコンサルティングを行うSustainalize社の協力も得て作成した。当サイトでは、21年初頭から『廃棄物の削減』『エネルギーや温室効果ガス』『節水』『地元コミュニティ支援』『自然環境』に対する各宿泊施設の取り組みの表示を開始。現在、世界60万軒以上の取り組み状況を掲載している。この仕組みを一歩前進させ、宿泊施設が実施している取り組みが、その地域で効果が高いことを示す『サステナブル・トラベル』バッジの発行と掲載を始めた。現在6万を超える宿泊施設がバッジを取得している」

 たけむら・あきみ=名古屋大学卒業後、ニューヨーク大学でMBAを取得。1988年にアメリカン・エキスプレスに入社し、パリ、ニューヨークで勤務。アメリカンエキスプレス・グローバルトラベル・日本旅行(GBT NTA)社長を経て、2016年アマデウス・ジャパン社長に就任。21年7月から現職。

【聞き手・江口英一】

 
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