【日本茶インストラクターが勧める 素敵なお茶生活 18】お茶教室は出会いの場です2 繁田聡子


 最終回はティーパーティーです。

 焙(ほう)じ茶、玄米茶など、淹(い)れ方を実習しなかったお茶も含めて、各自お好みの茶種を選び、他の方々のためにお茶を淹れていただきます。皆さん、すっかり打ち解けて話も弾み、盛り上がります。お茶の持つ力とご縁に感謝です。

 「お茶はあくまで嗜好(しこう)品です。淹れ方の基本を理解した皆さんには、ご自身や相手の方の好み、体調、状況などを考慮し、微調整する柔軟性を持っていただきたいと思います。そして、お茶の魅力を周りの方々に伝えて下さるとうれしいです」と最後にお伝えし、ご参加に感謝しつつ終了します。

 「楽しかった」「おいしいお茶を家族が喜んでいます」「日本茶の世界がこんなに面白いなんて」「お茶がもっと好きになりました」といただいたお声は何よりの励みです。

 また、受講者の中から、日本茶インストラクター、アドバイザーも数名誕生しています。もちろん、ご本人たちの努力のたまものです。

 基礎コースを終え、さらに深くお茶のことを知りたいと、不定期の開催ですが、10年以上続いている上級クラスもあります。茶歌舞伎も楽しみます。これは、お茶を飲み比べ、種類や産地を当てたりするゲームのことです。闘茶(とうちゃ)とも言われ、茶業専門家が茶の特質を判別するなど、審査技術向上のための競技としても行われています。

 「この次は何をお伝えしようかしら」と考えるのは大変ではありますが、話題によっては、ベテラン参加者の方々から教えていただくことも多く、「どっちが受講生?」と思うような場面もあります。

 子どもの頃からずっと教師になりたかった私。結婚相手はお茶屋の長男。嫁の義務で資格を取った日本茶インストラクター。資格取得の動機は純粋なものではありませんでしたが、そのおかげでこのような出会いを得ていることに、「人生、何がどう転ぶか分からない」と、しみじみ感じています。ただし、日本茶インストラクターは「先生」ではありません。教師と医師以外に先生と呼ばれるべき人はいないと昔から思っていますので、外部の依頼で講座を開く時も、紹介の際、先生とおっしゃらないで下さいと事前にお伝えします。

 「学ぶとは、誠実を胸に刻むこと。教えるとは共に希望を語ること」フランスの小説家、詩人でもあるルイ・アラゴンの言葉です。青春時代にひかれたこの言葉を心にとめ、これからも日本茶を伝えていくつもりです。

 
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