【日本政府観光局インバウンド最新リポート 79】スペインの旅行動向 JNTOマドリード事務所 山下 広 所長


外出制限のないマドリードの街

意欲旺盛、訪日に高い関心

 スペインでは、コロナウイルス感染者がピーク時に比べ減少しているものの、コロナ禍の状況は今もって不透明である。ワクチンの2回接種者は77%を超え、海外への出国、国内の移動制限はなく、屋外において1.5メートル以上のソーシャルディスタンスが保たれている場合マスク着用の義務はない(9月29日現在)。

 旅行会社は依然厳しい状況で営業停止状態の会社が多い。スペイン全国の9500店舗の8~10%は引き続きレイオフを継続中だ。レイオフ期間中の職員給与を一部補填(ほてん)する補助制度(ERTE)は、2021年9月末までであったが、22年2月末まで延長となった。

 スペイン旅行会社連盟によると、21年の観光業界の回復率は19年の30%程度、全体的な回復は23年までは見られないとの見方。まずは欧州近隣諸国への旅行再開が期待され、ロングホールの需要回復は21年の年末もしくは22年の上旬との見通しである。

 20年の累計旅行者総数は、延べ1億152万人(国内旅行者を含む)、うち外国旅行者は507万人(前年比=総数47.6%減、外国旅行者数74.8%減)で21年の夏季シーズンは国内旅行が中心であった。

 コロナ禍前と比較し、旅行者層としては、若年層(30歳以下)の旅行意欲がより高くなっており、「高収入」や「大都市居住者」「カップル(パートナー、夫婦単位)旅行」といった層は早く回復する見通しである。一般消費者としては、屋外(アウトドア)で過ごすことや混雑の少なさ、安全・衛生面、柔軟な予約変更・取り消しを求めている。

 スペイン発訪日客は、旅行先としての人気の高まりにより大幅に増加し、14年からの5年間で19年には約2倍、13万243人に達したが、20年はコロナ禍の影響により1万1741人と前年と比べ大幅減となった。
他方、前述の通りすでに国内旅行が回復途上にあり、旺盛な旅行意欲と相まって、スペインの一般消費者の訪日旅行への関心は今なお高い。

 JNTOマドリード事務所では、将来の訪日につなげていくため、当事務所のウェブサイトやSNSのオウンドメディアを中心に継続的に情報発信を行っている。内容としては今すぐの訪日ではないものの、デスティネーションの多様化、テーマ性を高めて紹介し、日本への興味・関心の向上を図っている。また、将来的な商品造成・販売へつなげるため、スペインの旅行会社を対象としたウェビナーにおいて、紹介するデスティネーションを拡充する予定である。

 ※出典=CEAV(スペイン旅行会社連盟)、BRAINTRUST、LA VANGUARDIA、日本政府観光局(JNTO)、RTVE(スペイン放送協会)

外出制限のないマドリードの街

 
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