【体験型観光が日本を変える289】五島市で3年ぶりの総会開催 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染者数は増え続けている。1月15日で日本に初めての感染者が出てから3年になる。数十人で右往左往し、数百人で自粛が要請され、数千人で人流が抑制された。今、20万人近くになっても、社会経済活動は制限されず、全国旅行支援まで再開された。

 正体不明の未知のウイルスだけに警戒したが随分変化した。私も、全国各地に飛んでいるが、航空機の搭乗率は確実に上り、宿泊施設は金額だけではなく、コスパのいい宿は旅行支援の後押しもあり盛況である。

 しかし、それに乗じてもうけに走っての値上げや、ホスピタリティの低下は、いずれしっぺ返しも待ち構えている。多くのお客がある時は、絶好のセールスチャンスになる。絶えず、より良いおもてなしを考え行動する前向きな宿が勝ち組への階段を昇る。

 今日は、ツバキの花咲く長崎県五島市に来ている。ツバキは伊豆大島や奄美大島、足摺岬など南方の温暖な気候の地域で1月から3月に咲く印象がある。緯度的にはかなり北にあるが、対馬海流のおかげで比較的温暖な五島はあちらこちらで赤い花を見つけることができる。空港の愛称も五島つばき空港である。

 長崎から100キロも離れた東シナ海に中にある島で、釣りのメッカでもある。そんな中で、東北から九州までの全国各地から集まり、全国ほんもの体験ネットワーク・全国教育民泊協会の総会を開催した。直接一堂に会しての会議は3年ぶりとなる。

 2023年度からの、教育民泊再開に向けての課題や手順について、インバウンドの対応について、またSDGsのプログラムの商品化や、進行するファシリテーターの人材育成研修も行うなど、ウイズコロナからアフターコロナに向けての取り組みについて熱心な議論が展開された。

 メンバーの中でも、教育民泊を3年間休止していたり、22年度から受け入れ再開したり、3年間受け続けてきた地域があるなど対応はさまざまだが、受け入れを実施した地域の課題や安全対策等が大いに参考になり、それぞれが、ノウハウを共有し、元気をチャージし、23年度再開に向けて動きだすこととなった。

 コロナ下での開催となり、参加予定者の中には身内に陽性者が出るなど急きょ参加ができなかった人もいたが、参加者は一様に「やはり人と人が直接会って話をし、交流するに勝るものはない」との認識を新たにした。

 つまり、旅行も美しい自然景観や歴史文化に触れるのは当然の目的であるが、人それぞれが傍観者ではなく主人公となる体験が感動につながる。さらには、人と人の交流こそが互いの信頼関係を深め、心高まることになる。

 この3年間、コロナで、学校も十分に行けなかった。直接会う機会も少なくなった。仕事もリモートが増えた。何もかもがコロナ前に戻し、3年間の止まった時計の針が動きだすだけでは進歩がない。明らかに希薄になった人間関係構築機会を取り戻す機会こそが、求められている旅の姿である。

 「体験交流」と「人の心高まり」がさらに重要な旅のトレンドになるはずだ。

 
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